高校一年生のとき、近所の図書館に行って何枚かジャズのCDを借りてきた中の一枚 『Bill Evans At The Montreux Jazz Festival』。この中に収録されている「Someday My Prince Will Come」が僕の運命を変えました。
知っている曲のはずなのに、全く聴いたことのないピアノ。。本当に痺れました。音楽を聴いて稲妻に打たれたような感覚、衝撃を受けたのは初めてでしたし、その後もほとんどない経験かもしれません。それだけ自分にとって衝撃的で、ジャズを始めると決意した瞬間でした。
今 Bill Evansを聴いてもたくさんの発見がありますし、大好きな、尊敬するジャズピアニストです。
林正樹
My First Jazz
Title : 『At The Montreux Jazz Festival』
Artist : Bill Evans
LABEL : Verve Records
RELEASE : 1968年
【SONG LIST】
01. One For Helen
02. A Sleeping Bee
03. Mother Of Earl
04. Nardis
05. I Loves You Porgy
06. The Touch Of Your Lips
07. Embraceable You
08. Someday My Prince Will Come
09. Walkin' Up
Title : 『Ten To Sen』
Artist : 相川瞳・林正樹
LABEL : 相川瞳
RELEASE : 2025年7月30日
【SONG LIST】
01. Marigold
02. Ambiguous
03. Empty Cages
04. Pulsating
05. Translucent
06. Ten To Sen
07. 紅碧
08. At the Boundary Between Green and Blue
09. 童話で書かれた生態系
10. 日日是好日
【KKBOX Podcast「My First Jazz」】
JJazz.Netとの連動によるオリジナルコンテンツ。
ジャズ・ミュージシャン本人の音声コメントをお届けしています。 KKBOX Podcast
皆さんこんにちは、トランペッター/ピアニストの曽根麻央です。
今日は、ジャズ史においてもっともジャズらしく、しかも完璧に美しく整ったアルバムを改めてご紹介します。トランペッターのクリフォード・ブラウンとドラマーのマックス・ローチによるクインテットの名を冠したアルバム――『Clifford Brown and Max Roach』(1954年録音、1955年発表)です。
そんな二人が率いたクインテットは、1954年の結成からわずか2年の間に、ジャズ史に残る名盤を残しました。『Clifford Brown and Max Roach』(1955)、『Study in Brown』(1955)、『At Basin Street』(1956)。そしてライブ盤『Live at the Bee Hive』なども後に発表され、彼らの熱気を今に伝えています。
しかし1956年6月26日、クリフォードは交通事故でわずか25歳の生涯を閉じます。その短い活動期間で残した録音は、今もなお多くのミュージシャンの教科書となり続けています。
Delilah
ヴィクター・ヤング作、映画『Samson and Delilah』(1949)の主題歌。ローチのマレットによるエスニックな響きが印象的です。テナーのハロルド・ランドの落ち着いたソロと、リッチー・パウエルの若さが同居し、ハードバップの新時代を告げる一曲。ブラウンのソロにはディジーやファッツの影響が色濃く表れ、彼がその正統な後継者であることを示しています。
What Am I Here For?
デューク・エリントン作。快活なファスト・スウィングでアルバムを締めくくります。シンプルながらもエネルギッシュな演奏です。
『Clifford Brown and Max Roach』は、わずか2年間の活動の中で生まれた輝ける記録です。ブラウンの透徹した音色とローチの揺るぎないリズム、そして若き仲間たちの演奏が、ハードバップの黄金時代の幕開けを告げています。
まさに「完璧に美しく整ったジャズ」を体現した一枚として、何度でも聴き返す価値があります。
文:曽根麻央 Mao Soné
Recommend Disc
Title :『Clifford Brown And Max Roach』
Artist : Clifford Brown And Max Roach
LABEL : Emarcy
発売年 : 1954年
【SONG LIST】
01. Delilah
02. Parisian Thoroughfare
03. The Blues Walk
04. Daahoud
05. Joy Spring
06. Jordu
07. What Am I Here for
【草田一駿】 ピアニスト、作・編曲家
1999年広島県生まれ。5歳よりクラシックピアノを始める。13歳よりジャズやロック等を聴き始め同時に作曲も始める。Seiko Summer Jazz Camp 2016にてBest Composition and Arrangement Award 受賞。2020、2021年に2年連続でフジロックフェスティバルに出演。2022年6月、Playwrightより1st アルバム「Flumina」をリリース、9月に東京・丸の内コットンクラブを含む初の全国7ヶ所リリースツアーを開催。2025年5月、Reborn Woodよりピアノトリオとしての1st アルバム「Trionfi」をリリース。その他著名アーティストとの共演やサポート、レコーディング、CM音楽制作など精力的な音楽活動を行っている。
Latest Album
Title : 『Trionfi』
Artist : 草田一駿
LABEL : ReBorn Wood
RELEASE : 2025年5月14日
台湾を代表するサックス奏者・謝明諺(シェ・ミンイェン)と日本のフリージャズ界を牽引してきた山崎比呂志、大友良英、須川崇志の4名によるライブアルバム『Punctum Visus -視角-』が7月2日にリリース。2024年6月に都内で行われたセッションをそのままパッケージ。即興の極限、激しくも繊細なインタープレイを聴くことができる作品です。
さて今日は2人の偉大なアーティスト、Nat King ColeとGeorge Shearingの共演アルバム
『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays』(1962)をご紹介します。
Title : 『Nat King Cole Sings George Shearing Plays』
Artist : Nat King Cole / George Shearing
Nat King Coleといえば、ジャズの歴史に残る弾き語りの名手で、一般的には彼の独特な歌のスタイルで知られていますね。しかしジャズピアノの歴史においても、ジャズピアノの祖のような存在・Earl Hines直径のスタイルをColeは独自に発展させ、後世に多大な影響を与えた人物でもあります。
リズミカルで親しみやすいピアノのプレイ・スタイルの持ち主で、まさに名手です。
King Coleの歌はその濃厚な伴奏の上でさらに存在感を示しています。彼はの魅力はどちらかというと低音ヴォイスにあるのですが、それでもバンドの音を飛び越えてしっかりと我々の耳に届いてきます。アタックの強い音の切り出し方、しかしそれに続くハスキーでメローな声質がたまらなく、今だに世界中から愛されるキャラクターですね。
それに続く「Pick Yourself Up」はJerome Kernがフレッド・アステアのミュージカル映画『Swing Time』に書いた曲です。この映画では他に「The Way You Look Tonight」など他多数の名曲が披露されています。各セクション転調に転調を重ねるコミカルな曲で聴いていて楽しくなります。
続く「I Got It Bad (And That Ain't Good)」「Let There Be Love」はKing Coleの最も有名なヒットソングと言っていいでしょう。「Let There Be Love」でスウィンギーなピアノソロも楽しめる一曲になっています。
「Fly Me To The Moon」はみんながよく知るメロディーの前にあるverseという前奏部分がとても美しいのですが、このアルバムでもKing Coleが素晴らしい歌唱でverseから歌い上げてくれています。verseはDb、メロディーはBbという不思議なアレンジになっていますが、シームレスに転調して曲の雰囲気を変えていくアレンジ・テクニックも素晴らしいです。
Title :『Nat King Cole Sings George Shearing Plays』
Artist : Nat King Cole / George Shearing
LABEL : Capitol Records
発売年 : 1961年
【SONG LIST】
01. September Song
02. Pick Yourself Up
03. I Got It Bad (And That Ain't Good)
04. Let There Be Love
05. Azure-Té
06. Lost April
07. A Beautiful Friendship
08. In Other Words
09. Serenata
10. I'm Lost
11. There's A Lull In My Life
12. Don't Go