feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

2026年8月アーカイブ

THE PIANO ERA 2026:ライブ情報 / LIVE INFO

pianoera2026title.tif


"THE PIANO ERA" 


今聴くべき世界の「ピアノ音楽の現在」にフォーカス
ジャンルを越境し、オリジナリティ溢れるピアノ音楽を創造し続けるピアニストを国内外から招聘し
世界でも類を見ないコンセプトと内容で注目を集めてきたピアノの祭典です。

2013年より隔年開催。
第7回目となる今年は、12月5日(土)・6日(日)に開催決定。
出演は、アントニオ・ロウレイロ・ニュートリオ<アントニオ・ロウレイロ(pf,key,vo)、石若 駿(dr)、マーティ・ホロベック(b)>、アンドレス・ベエウサエルト、中村佳穂、スワヴェク・ヤスクウケ、The Vernon Spring、橋本秀幸。
ピアノエラのファンには馴染み深いアーティストを中心に、ブラジル・アルゼンチン・ポーランド・UK・日本から、個性的で創造性溢れる音楽家が6組出演します。

世界のピアノ音楽の現在と未来に出会う二日間。
THE PIANO ERAでしか味わうことのできない、純度の高いピアノ音楽に
ぜひ、ご期待ください。




THE PIANO ERA 2026 SNS_5_4 With Artist Names.jpg

【THE PIANO ERA 2026】

世界のピアノ音楽の現在と未来に出会う二日間。
ジャンルレスに世界の"今"のピアノ音楽を集めた世界でも類を見ない画期的フェスティバル。

誰もが親しみのあるもっともポピュラーな楽器のひとつ、『ピアノ』をキーワードに、ジャンルでくくらずにオリジナリティ溢れるピアノ音楽を創造し演奏するピアニストたちを国内外から招聘し一挙に紹介するTHE PIANO ERA(ザ・ピアノエラ)。

"今聴くべき世界の「ピアノ音楽の現在」"にフォーカスし
世界で多様に発展しているピアノ音楽の"今"を体感できるともに、ピアノから放たれる、弾く者の音から染み出る音楽性や個性、生まれ育った文化や地域性までも感じ取ろうという画期的なフェスティバル。

7回目を迎える今回は、ブラジル、アルゼンチン、ポーランド、イギリス、日本から、ジャンルを超越した独自のピアノ音楽を創造するアーティスト6組が出演します。
いま誰もが体感すべきピアノ音楽、ピアニストの魅力に出会える二日間です。


【日時】

2026年12月5日(土)・12月6日(日)
15:00開場 16:00開演(両日とも)


【出演】

12月5日(土)day1
◼︎ アントニオ・ロウレイロ・ニュートリオ
[Antonio Loureiro New Trio / Brazil, Japan, Australia]
members : アントニオ・ロウレイロ(pf,key,vo) 石若 駿(dr) マーティ・ホロベック(b)
◼︎ アンドレス・ベエウサエルト [Andrés Beeuwsaert / Argentina]
◼︎ 中村佳穂 [Japan]



12月6日(日)day2
◼︎ スワヴェク・ヤスクウケ [Sławek Jaskułke / Poland]
◼︎ The Vernon Spring [The Vernon Spring / UK]
◼︎ 橋本秀幸 [Japan]


【場所】
めぐろパーシモンホール 大ホール
東京都目黒区八雲1-1-1
https://www.persimmon.or.jp/


【料金】
・2日通し券 [指定席]:18,000 円
・単日券 [指定席]:9,500 円 
・単日券U25割 [指定席]:7,500 円
・親子券 [自由席]:9,500 円


※未就学児入場不可
※自由席親子券は大人1名+中学生以下1名ご入場可。入場時お子様同伴の確認あり。席は自由席エリア。
※U25割は25歳以下割引チケットです。入場時に年齢が分かる身分証明書を確認させていただきます。


【プレイガイド】  ※チケット一般発売日:8月22日(土)10:00
・イープラス https://eplus.jp/thepianoera2026
・チケットぴあ
・ローチケ
・めぐろパーシモンホールチケットセンター  https://www.persimmon.or.jp
  TEL 03-5701-2904 (10:00-19:00)
※2日通し券はイープラスでのみ取り扱い。


【お問合せ】
ディスクガレージ https://info.diskgarage.com/
ザ・ピアノエラ・アソシエーション contact@novusaxis.com


【THE PIANO ERA Official Website】
http://www.thepianoera.com


【主催】ザ・ピアノエラ・アソシエーション/スキヤキ・オフィス
【共催】公益財団法人目黒区芸術文化振興財団
【助成】アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
【協賛】合同会社nest
【企画】ザ ・ピアノエラ・アソシエーション
【制作】ザ ・ピアノエラ・アソシエーション/ノーヴァスアクシス/スキヤキ・オフィス
【制作協力】ディスクガレージ
【招聘】スキヤキ・オフィス
【後援】出演者各国大使館等関係機関(予定)
【協力】RYU/Kentec/Inpartmaint Inc./CORE PORT, INC./Takagi Klavier/TONIKAK/FRUE/diskunion/NRT 他
【メインビジュアルイラスト】山口洋佑


-Artists-

Day1 | 12.5(sat)

◉アントニオ・ロウレイロ・ニュートリオ / Antonio Loureiro New Trio

Antonio Loureiro_2.jpg
Antonio Loureiro -Brazil
ピアノの他にもドラムス、ヴィブラフォンほか10種類近い楽器を自ら演奏、<ソング>と<インストゥルメンタル>が有機的に絡み合う革新的なサウンドによって、21世紀のブラジル・ミナス/南米シーンをリードする現代ブラジル最注目の若きアイコン。ブラジルのミナス・ジェライス連邦大学にて作曲と鍵盤打楽器を学び、2000年からプロキャリアをスタート。トニーニョ・オルタ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート、カート・ローゼンウィンケルら多くのミュージシャンと共演歴を持つ。2013年の初来日時には芳垣安洋、鈴木正人、佐藤芳明とのバンド編成による衝撃の東京公演を行い、2015年、くるり主催のフェスティバル「京都音楽博覧会」の招聘で再来日。10,000人以上の観衆を前に行ったピアノソロパフォーマンスは語り草に。初来日時より日本の音楽家や文化と交流することを積極的に行う。アルバム『Livre』『Só』の2作品がミュージック・マガジン「ブラジル音楽オールタイム・アルバム・ベスト100」に選出されるなど、いま最も動向が注目されるアーティストの一人。


Ishiwaka Shun_2.jpg
石若 駿 (Dr) -Japan
打楽器奏者、作曲家。1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。自身のプロジェクトとしてAnswer to Remember、SMTK、Songbook PROJECT、石若駿トリオを展開。また作編曲家として様々なアーティストや映像作品のサウンドプロデュース、楽曲提供を行う。 これまでに日野皓正、くるり、椎名林檎、米津玄師、星野源、KID FRESINO、君島大空 合奏形態ほか、国内外の数多くのミュージシャンのライブ、レコーディングに参加。2023年 劇場版アニメ「BLUE GIANT」では登場人物"玉田俊二"のドラム・パート実演奏を手がける。2024年 Answer to Remember 『Answer to Remember Ⅱ』が第17回CDショップ大賞2025ジャズ賞を受賞。最新アルバムとして、石若駿トリオ『Live at ALFIE "Temporal Cubic"』、石若駿、市野元彦、カノア・メンデンホール『TEINE』の2作を同時リリース。(2025年12月)


マーティホロベック_1.jpg
Marty Holoubek (B) -Australia
南オーストラリアのアデレード出身のMarty Holoubekは、現在東京を拠点にするミュージシャン。幼少期から音楽への情熱を抱き、10代でベースを始め、まもなく優れたミュージシャンとしての評判を獲得した。21歳の時メルボルンに移住し、その芸術性が開花、メルボルン時代にはAllan Browne、Paul Grabowsky、Scott Tinkler, James Morrison、James Bowers、Clio Renner、Sex on Toastなどのアーティストと共演を重ねました。2018年8月、新たな音楽の探求を深めるために東京への移住を決断。この賑やかな大都市に広がる豊かな文化的背景とダイナミックな音楽シーンは、彼の創造性がさらに発展する理想的な環境となった。東京に来て以来、Martyは日本の音楽シーンで急速に注目され、日野皓正、Jim O'Rourke、石橋英子、ermhoi、崎山蒼志、HIMI、a子、角銅真実、石若駿、岡田拓郎、Answer to Rememberなどの著名なアーティストと共演を重ねる。多様な影響が組み合わさり独自かつ魅力的なサウンドを生み出す。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


Andrés Beeuwsaert_2.jpg
◉アンドレス・ベエウサエルト/ Andrés Beeuwsaert -Argentina
1978年、アルゼンチン・ブエノスアイレス州生まれ。国立ラプラタ大学にて作曲を学ぶ。
優れた音楽性、高い演奏性と対位法を駆使したヴォーカル・ワークによって現代アルゼンチン音楽の筆頭グループと評されるAca Seca Trioのメンバーであり、アルゼンチンを代表するだけでなく南米最重要ピアニスト/コンポーザーの一人としてカリスマ的な人気を誇る。
世界的マルチ奏者ペドロ・アスナールのグループに2004年より参加。他チャーリー・ガルシア、モノ・フォンタナ、イヴァン・リンス、アントニオ・ロウレイロ、ウーゴ・ファットルーソ、ジョー・ロヴァーノ、ディエゴ・スキッシ・キンテート、現代ブラジル随一の実力派女性歌手タチアナ・パーハ、など海外のトップ・アーティストとの共演・共作も多い。
彼の音楽には、ラテンアメリカのフォークロアや、アメリカのジャズ、静謐な現代音楽の様相も漂う。ミクスチャーでオルタナティブな作風は、2016年発表されたソロアルバム『Andrés Beeuwsaert』で爆発。世界中の批評家から賞賛を集めている。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


kahonakamura.JPG
中村佳穂 / Kaho Nakamura -Japan
1992年生まれ。ミュージシャン。
ソロ、デュオ、バンドなど様々な編成で活動し、演奏のたびに形を変えながら歌い続ける。
映画『竜とそばかすの姫』では主人公・すず/Belleの声と歌唱を担当。
同年、millennium parade × Belleとして『第72回NHK紅白歌合戦』に出演。
https://nakamurakaho.com


Day2 | 12.6(sun)

Sławek Jaskułke_2 - photo @mybestphoto.jpg
◉スワヴェク・ヤスクウケ/ Sławek Jaskułke -Poland
ポーランドを代表するピアニスト/作曲家。1979年、バルト海沿岸でポーランド最北部の街プツク生まれ。自身のピアノ・トリオや自国出身であるショパンのカヴァー・プロジェクト他、多方面で活躍している。ジャズ・スタイルとモダン・コンポジション、ポスト・クラシカルを横断し、また交差させる才能溢れるアーティストとして評価され、ポーランドの文化・国家遺産省から「ポーランド文化功労者」の名誉勲章も授与されている。グランドピアノ、アップライトピアノをその表現方法によって効果的に選びソロ演奏する。またピアノの機能を知り尽くしたその演奏スタイルはモジュレイターのセット、フェルトの使用、調律の調整他でプリペアード化し自在に独特のアンビエントな音響世界を作り上げる。共演を含め既に14枚のアルバムをリリースしている。自身が住んでいたバルト海沿岸ソポトの海をテーマにした『Sea』、眠る時の音楽を聴きたいという娘からのリクエストに 応えた『夢の中へ』、ポーランド・ジャズ史上最高の作曲家 / 映画音楽家クシシュトフ・コメダの作品を再構築した『コメダ (RECOMPOSED)』、ソポト・ミュージアムの野外庭園で鳥の鳴き声などと共に演奏した『パーク・ライヴ』、ポーランド現代美術シーンの先端を走るラファウ・ブイノフスキのペインティング画とコラボレイトした『ミュージック・オン・キャンバス』他、名作を数多くリリースしている。近年の活動はプロジェクト形態も多彩になっており、2024年にはポーランド文化省と国家遺産省が共同出資した大型プロジェクトとしてアルトゥール・ルービンシュタイン・フィルハーモニー交響楽団(旧ウッチ・フィル ) からの依頼で、自身のジャズ・セプテットとの共演曲を作・編曲した。2025 年にはスワヴェクを含めた 5 人のピアニストたちによるショパンの新解釈プロジェク"CHOPIN NA 5 FORTEPIANÓW"コンサートを企画して大きな話題を集めた。
https://jaskulke.com/


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


The Vernon Spring.jpg
◉The Vernon Spring -UK
UKノース・ロンドン生まれブライトン在住のアーティスト/作曲家/ピアニスト/プロデューサーのThe Vernon Spring(ザ・ヴァーノン・スプリング)ことサム・ベステ。
弱冠17歳にして故エイミー・ワインハウスのワールド・ツアーのピアニストに抜擢され注目され、2019年にソロ・プロジェクトThe Vernon Springをスタートさせる。ジャズのバックグラウンドと現代的なエレクトロニック・プロダクションを融合させ、ジャズでもポスト・クラシカルでもない幽玄で繊細なピアノ・ミュージックを確立し、2021年のデビュー・アルバム『A Plane Over Woods』はロングセラーを記録。その後、LPのみでリリースしたマーヴィン・ゲイの名作『What's Going On』を独自に解釈したアルバム
『What's Going On』も高い評価を獲得した。親密なテーマと普遍的なテーマの間を揺れ動き、交差する現実が音楽そのものをはるかに超えて共鳴する音空間を構築。個人的な献身と道徳的意識を融合させながら、新たなサウンドの可能性を追求するアーティストの姿を示しており、知覚がきらめく新たな光のなかで反響する深遠な音楽性は、優雅でありながら勇敢なアプローチに驚嘆する音楽として前人未到のサウンドスケープを描き出している。
https://thevernonspring.com


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


HasimotoHideyuki.jpg
◉橋本秀幸/ Hideyuki Hashimoto -Japan
Piano : Hideyuki Hashimoto
Violin : Yuri Kawai
Cello : Robin Dupuy

2012年に1stアルバムを発表以降、空間を活かした即興演奏と作曲作品を軸に、これまで多数のソロアルバムをリリース。2014年、瀬戸内海の島の小学校に眠っていたピアノを窓を開き、島の自然音と共に奏でた小曲集「home」を発表。2017年、ピアノソロ2部作となる「room」「out room」、2019年、ピアノと足踏みオルガンによる読書のための音楽集「草稿」をリリース。2020年より定期的な配信リリースを継続、ドイツ・ベルリンを拠点とする音楽レーベルXXIM Records(Sony Masterworks)よりアルバム「Time」を2025年リリース。映像音楽の作曲、コラボレーションなど、幅広い活動を行っている。
https://hideyukihashimoto.com


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

曽根麻央 Monthly Disc Review2026.8_Tony Bennett : The Art of Excellence:Monthly Disc Review


tony500.jpg


Title : 『The Art of Excellence』
Artist : Tony Bennett



みなさん、こんにちは。ピアニスト/トランペッターの曽根麻央です。今日は私が最も聴き込んだヴォーカル作品の一つを紹介しようと思います。


決して有名曲を集めた作品ではないのですが、どの曲も一流の作詞&作曲家たちが書き残した名作と言える曲ばかりです。そのマイナーさゆえに他のバージョンを知る由もないのですが、もはやベネットの歌唱とオーケストラが一体となっていて、その感情豊かな表現力によって「これがオリジナルではないか」とすら思わされてしまうほど、高い完成度を誇っている作品です。


今日はトニー・ベネットの『The Art of Excellence』を紹介します。
1986年の作品で、ベネットの声がちょうどいい具合に枯れ始めていて、晩年のハスキー・ヴォイスと若い頃の超絶テクニックを併せ持った作品といえます。


トニー・ベネットは改めて私から紹介するまでもないのですが、20世紀の最も偉大なシンガーです。1926年に生まれたベネットは2021年まで90才を超えて活動していましたが、彼のルーツであるイタリアの伝統的な技巧的歌唱、ベルカントを身につけていたこともあり、生涯にわたり声が衰えることを知らないシンガーでもありました。50年代にデビューしてからはヒットソングを多く出しましたが、特筆すべきは62年の「I Left My Heart in San Francisco」です。もちろんメロディー自体も素晴らしい曲ですが、ベネットの歌唱と一体となって20世紀を代表するヒットソングの一つと今でも愛されています。このようにベネットは、名曲をただ名曲として歌うだけでなく、メロディーと歌詞を一度噛み砕き、どこかに自分のストーリーを織り交ぜながら、本当に特別なアートに仕上げてしまう、そんなシンガーではないでしょうか?


参加ミュージシャンの中でも特筆すべきは、1957年からベネットのピアニスト、ミュージック・ディレクターとして多くの作品/コンサートに参加している名手、ラルフ・シャーロンの存在です。シャーロンは1923年にロンドンで生まれたジャズピアニストで、ローズマリー・クルーニーやメル・トーメなど多くの偉大なシンガーのピアニストを務めています。もちろんベネット最大のヒット曲「I Left My Heart in San Francisco」の制作にも深く関わっていて、この曲をベネットに渡したのはシャーロンだと言われています。おそらくこのアルバムでも、クレジットとしては見当たりませんでしたが、基本アレンジやディレクションにはシャーロンが深く関わっているものと思われます。


オーケストラのアレンジと指揮はホルヘ・カランドレッリ。バーブラ・ストライザンドやセリーヌ・ディオン、ヨーヨー・マ等、ジャンルを超えた世界的アーティストのアレンジや指揮をしてきた人物です。


さて、最初にご紹介したように、このアルバムは、全て今では演奏機会の減っている認知度の低めの曲を集めた作品です。しかし、曲自体はアメリカのソングブックの代表曲になりえた素晴らしい楽曲ですので、ぜひゆっくり聴いていただきたいのですが、いくつか必聴トラックをご紹介します。


M1「Why Do People Fall In Love」
(Dennis Lambert, Brian Potter, Bob Merrill, Jule Styne)
4人の作家が関わっている曲ですが、これはデニス・ランバートとブライアン・ポッターの曲に、ジュール・スタインとボブ・メリルの手によるミュージカル曲「People」の一節がアレンジとして組み込まれているためです。ジャズファンならばJule Styneは「I Fall In Love Too Easily」を作曲した人物として知っている方が多い気がします。
楽曲の前半パートは囁くように、語るように、言葉にメロディーを乗っけるようにベネットが表現をつけています。一方でコーラスパートはオペラのような力強い歌唱へとギアを上げ、ベネットの持つ歌唱のテクニック、表現力、味わい深さを全て体験できる名演になっています。



M3「What Are You Afraid Of?」
(Jack Segal, Robert Wells)
「The Christmas Song」をメル・トーメとともに書いたウェルズの曲。「もう少し近くにおいでよ、シナトラでもかけて、何を怯えてるの?」という歌詞で始まりますが、途中コーラスではシナトラの代表曲の「All The Way」が一フレーズだけ引用されているのが非常に憎いアレンジになっています。一曲目とは打って変わって、軽めのスウィングの曲なので、ジャズシンガーとしてのベネットを聴くことができます。



M5「So Many Stars」
(Alan Bergman, Marilyn Bergman, Sérgio Mendes)
セルジオ・メンデス&ブラジル '66でも演奏されている曲なので、知っている方も多いかもしれません。オーケストレーションもストリングスとホーンのバランスが美しく、オリジナルに敬意を払いつつリアレンジした様子がうかがえます。



M6「Everybody Has the Blues」
(James Taylor)
こちらはレイ・チャールズがゲストとして入り、ピアノもシャーロンからチャールズに交代しています。私が聴き込んだCD版と現在配信されているリマスター版では歌のテイクが違ったようで、今回執筆中に配信で聴き驚きました。ピアノソロは一緒だったので、おそらく歌だけ何らかの理由で差し替えたようです。どちらかというと思い入れのあるCD版がオススメですが、こちらも素晴らしく、二人の全く違ったスタイルの名手の意外な掛け合いを楽しむことができます。



M7「How Do You Keep the Music Playing?」
(Alan and Marilyn Bergman, Michel Legrand)
おそらくこのアルバムで取り上げられている最も有名な曲で、なおかつ、このアルバムのメインと言えるトラックです。ベネットのレパートリーとしても晩年のライヴ映像で見たことがありますので、生涯にわたって歌い続けた曲かと思います。
ミシェル・ルグランらしいシネマティックで叙情的なコード進行とメロディーが特徴です。そのメロディーを歌い切った後のベネットによるカデンツァ、そして圧倒的なエンディングが音楽ファン必聴のトラックとなっています。こちらも細かいところが部分部分でボーカルのトラックが差し替わっている気配があります。昔聴いた記憶とタイミングが違ったりするので、何らかの理由でテイクが違うパートがあるようです。


この後も、フレッド・アステアが書いた「City of Angels」や、「Alone Together」の作曲者(アーサー・シュワルツ)による「A Rainy Day」など名曲が続きますが、ぜひ全体を通して聴いていただけると嬉しいです。尺も約40分ととても聴きやすい長さに、今まで知らなかった名曲が詰まった宝箱のような作品になっていると思います。 それではまた次回!



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

tony200.jpg
Title :『The Art of Excellence』
Artist : Tony Bennett
LABEL : Columbia
発売年 : 1986年



アマゾン 


【SONG LIST】

1. Why Do People Fall In Love
2. Moments Like This
3. What Are You Afraid Of?
4. When Love Was All We Had
5. So Many Stars
6. Everybody Has The Blues
7. How Do You Keep The Music Playing?
8. City Of The Angels
9. Forget The Woman
10. A Rainy Day
11. I Got Lost In Her Arms
12. The Day You Leave Me



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』2026.03『Live at the Piano / Cory Henry』2026.04『The Melody At Night, With You / Keith Jarrett』2026.05『Ifrikya / Karim Ziadt』2026.06『Sonny Side Up / Dizzy Gillespie, Sonny Rollins, Sonny Stitt』2026.07『Round Midnight / Herbie Hancock』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

アーカイブ