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bar bossa vol.82:bar bossa

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vol.82 - お客様:横山起朗さん

【テーマ:夜に聞きたい5曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今日はピアニストの横山起朗さんをお迎えしました。


林;こんばんは。早速ですがお飲物はどうしましょうか?


横山;何か冷えた白ワインをお願いします。少し暑いのでヴィーニョ・ヴェルデのような軽やかなものだと嬉しいです。


林;横山さん、ワインの趣味がいつも良いんですよね。じゃあヴィーニョ・ヴェルデ開けますね。どうぞ。


横山;いただきます。


林;お生まれは?


横山;1989年8月15日宮崎県宮崎市出生。盆の忙しい時期に生まれてしまいました。僕の祖父はクラシック音楽がとても好きな人で、物心ついた頃には、耳元でバッハやショパンなどが流れていました。祖父のCD棚から好きな曲を見つけては、テープに好き勝手に録音をして、車の中で聴くのが楽しみでした。交響曲などがあれば、作曲家をバラバラにして、第一楽章をベートヴェンの第7番から、第二楽章を、ラフマニノフの第2番から、と構成して聴くのが好きでした。


林;え、すごく面白い聴き方ですね。初めて買ったCDは?


横山;初めて買ったCDはクラシックではなく、宇多田ヒカルの『automatic』でした。


林;なるほど。ピアノはどういうきっかけで?


横山;僕がクラシック音楽を好んで聴いていたこともあって、母がピアノを習うことを提案し、母の友人だった先生にレッスンをしてもらう事になりました。6歳くらいだったと思います。一度レッスンの見学に行ったのですが、レッスンは厳しく、僕と同い年の生徒は泣いていて、レッスン後に生徒に鍵盤を背にして先生が鳴らした音を当てるクイズ(聴音)をしていて、僕にはすごく難しいことをしているように見えたので、なんだがやばいところに来ちゃったな、と思った記憶があります。この頃の僕は音楽家として何かしたいというより、お笑い芸人になって人を笑わす事が出来たら、と思っていました。


林;お笑い芸人... 全然そんなキャラじゃないですよね。その後は?


横山;中学に入ると、僕は友人の影響もあってヒップホップを聴くようになりました。宮崎は今でもヒップホップやレゲエの人気があります。ダンジョンモンスターでラップが注目をまた浴びましたが、 GODOROという人気ラッパーも宮崎出身です。雑誌はいわゆるb-boy系のものを読み、ファッションもサイズ感の大きいものを着るようになりました。


林;正しい若者ですね。その後は?


横山;高校生になると、音楽科のある高校だったのでクラシック音楽を勉強という形で触れていくようになりました。その反発も少しあったのか、もう知ってるからいいや、という生意気さもあって、別の音楽ばかり聴くようになりました。ヒップホップはやはり好きで、ロックも聴くようになったし、エレクトロニカにも興味を持つようになりました。その頃までは僕は学校で演奏することをほとんどしませんでした。ピアノは女の子がするものだと思われているような気がしていたし、単純に恥ずかしかったからです。

普段の自分と、ピアノを弾く自分はちょっと違う人間で、休日と仕事をしている時のような切り替えが自分の中ではありました。しかし、当時はバンドが盛んで、キーボードとして入って欲しいなど、クラシックとは違う形で鍵盤を弾くこともあり、徐々に人前で演奏することに恥ずかしさを感じなくなり、より僕の日常にピアノが入り込んできました。作曲を始めたのはこの頃でした。と言っても、練習の合間に遊びで旋律を作る程度のものです。でも、なんだか新しい喜びを見出し初めていたように思います。高校時代は楽しい記憶ばかりだから。


林;ピアノ男子特有の悩みと喜びですね。その後は?


横山;大学に入るとまず悲しいことがありました。僕にピアノを教えてくれた厳しかったけれど優しかった先生が、亡くなってしまいました。僕はあまり涙を流したりすることが少ないのですが、その時もうまく泣く事が出来ませんでした。実感がなかったからです。しかし、武蔵野音楽大学の入学試験近くになると、先生の体調は芳しくなくなり、ソファーに横になったままレッスンをするようになりました。気丈な女性でしたから、よほどきつかったのだと思います。大学に入ったら、クラシックだけではなくて色々な音楽を聴いて演奏して、楽しくやっていきなさいね、と先生はよく言っていました。クラシック音楽をとても愛した先生だったから、その言葉は意外な気がしたし、だからこそ言ってくれたようにも思います。音楽はここだけじゃないのよ、と。


林;うわ、すごく良い言葉ですね。


横山;クラシック音楽では、まだ師弟関係が強く、僕も先生を失ってから演奏する自分の音楽が正しいかどうか分からなくなってしまいました。正しいかどうかなんて愚問であることは今では分かります。でも、その頃までの僕は真剣に、自分の音楽、について考えた事はなかったのかも知れません。

大学には、僕より優秀な連中もたくさんいて、途方にくれました。音楽が楽しくなくなり、お酒を飲む量が増えていきました。でも、その中で音楽とは違う世界、例えば、小説だったり、映画だったり、と新しい世界を覗いていくことで、クラシック以外の種類の音楽を聴き、また音楽の楽しさを感じていくようになりました。


林;そうでしたか。


横山;ジャズの世界に興味を持つようにもなりました。父が東京に来ていたとき、新宿ピットインのフライヤーをくれて、そこに白髪のかっこいいジャズピアニストが写っていました。南博さんでした。ライブを聴きにいき、クラシックにはないかっこよさを覚え、僕はレッスンを受けるようになりました。体験レッスンの折、先生の口にするタバコの灰が鍵盤に落ちていきました。白鍵と黒鍵の間に落ちていく灰を見て、なんてかっこいいんだ、と痺れました。

先生から教わるジャズのレッスンでは、ジャズだけではなく、男性の色気のようなものを学んだように思います。ダンディズムでありニヒリズムであり、それ故の、反ニヒリズム。僕のピアノに対する姿勢を教えてくれたのは南先生だと思います。


林;南博さんとはそういう出会いだったんですね。ポーランドを選んだのは?


横山;留学先にポーランドを選んだのは、ポーランドの方には失礼ですが、他の音楽家があまり行っていない場所だと思ったからです。多くの音楽を学ぶ人々は、ドイツ、オーストリア、フランス、アメリカを選んでいました。共産圏であったこともあり、他のヨーロッパとは違うものに触れる事が出来る気がしました。

ショパン音楽大学に入学したあと、担当教授のイエジェイ・ロマニウク先生がピアノの奏法に力を入れている人だったので、ピアノの弾き方を意識して勉強しました。端的にいうと、それは音の出し方なのですが、今とポーランドで学んでからは随分と演奏が変わったように、自分では感じています。
大切な友人とも知り合うことが出来ました。Tomasz Betka というピアニストです。彼は作曲家としても作品を残しています。ポーランドでは名前のあるピアニストです。僕にとって初めて作曲をするピアニストとの出会いとなり、彼に影響されたこともあって、作曲活動に力を入れるようになりました。ポーランド国内でも共に様々な街で演奏活動をし、日本でも一度ツアーを僕が組んで、公演を果たしました。


【Tomasz Betka - "The Way He Has To Go Through" Miniatures Piano Solo (Prologue)】



ちょうどその折、ポーランドと日本の国交復興60周年だったので、僕とトマシュは互いに作曲した曲をその式典で演奏させてもらいました。両国の架け橋という意味もあったのだと思います。いずれにせよ、とても光栄でした。


林;良い経験でしたね。帰国後は?


横山;日本に帰国して、僕にとって大きな出会いがありました。それは聖歌隊CANTUSを主宰する太田美帆さんとの出会いです。ワルシャワに住んでいる頃より、僕は太田さんの活動を見ていました。そこで、ある日、今度有名無名を問わずに様々なアーティストと演奏します、という告知が出ていて、これだな、と思いすぐにメールと音源とお送りしました。お返事が返ってきた時は嬉しかったです。それから、ライブに参加させてもらったり、一緒に曲を作ったりするようになりました。中でも『concone』というCDを共作出来た事は嬉しかったです。山梨にある田辺玄さんのスタジオ、camel house に泊まり込みで二日かけて仕上げました。良き思い出です。

帰国してから、東京ではなく故郷の宮崎に住むことにしました。拠点は東京とワルシャワにもあるのですが、宮崎の海のそばで音楽を作りたいと思うようになりました。いつの頃か自然と海に惹かれていくようになりました。特段、夜の静かな海が好きです。海は国境や宗教もなく、どこまでも続いています。そういう世界に僕自身どこか惹かれているのかもしれません。


林;宮崎の海のそばですか。良いですね。今回のアルバムの話をお伺いしてもいいですか?


横山;今回のアルバム『SHE WAS THE SEA』に収録された曲は、最後の一曲をのぞいて、全てポーランドで作曲しました。一曲一曲が間を置いて演奏しているのは、電気を消した夜に手探りでピアノを弾いて作曲する事が多かったからです。アルバムのタイトルになる「she was the sea」は古いピアノを弾いて作曲しました。この曲がポーランドに滞在中最後に作曲した曲となりました。

「umi」という曲はもともと太田美帆さんとのアルバム『concone』に収録されていた「vocalise」という曲に、歌詞を付けたものです。当初、『SHE WAS THE SEA』というこのアルバムはピアノだけで完結する予定でした。しかし、全ての曲が揃った後聞き直すと、声が欲しくなりました。何か良い案はないだろうか、と考えているときに、太田さんに「vocalise」に歌詞を付けたものを、最後に入れたらどうか、と提案してもらい、アルバムの最後に入れる事になりました。最後に鳴り響くエピローグのような優しい余韻を残せることが出来たと思います。

『SHE WAS THE SEA』というアルバムには端的に言って、訴えたいものはありません。伝えないことだってあるか怪しいものです。海を見つめる時に、海のことを真剣に考えている人はきっと少ないはずです。おそらく、過去や未来、会いたい人、悩み事など、それぞれの時間がそこには流れていると思うのです。海はこうしろああしろ、と僕らに直接的に何かを言うわけではありませ。『SHE WAS THE SEA』で流れる時間が、海を見つめるあの時間のように、波の音と共に静かに寄り添う事が出来たら幸いです。

誰もが言いたいことを叫ぶ世の中を黒とするなら、たった一言静かに垂らされた白いインクの側でいたいです。小さい声で喋った方が相手は聞こうとより耳を澄ますように思うのです。

このアルバムはきっと特別真新しいものではないでしょう。サウンドには気を使っていますが、奇を衒うようなところは一切ないアルバムです。しかし、一度の衝撃を与えて聴かれなくなる音楽よりは、今の僕はずっと誰かに聴かれ続ける音楽を好みます。このアルバムもそうなって欲しいです。


林;素晴らしいアルバムですね。僕もすごく大好きです。これからはどうされるご予定ですか?


横山;これからは弦楽器を取り入れてどこまでも静謐で力強い作品を作りたいです。そして、CMや映画の映像関係の作品の作曲に挑戦してみたいです。お仕事で関わることもあって、映像の力の強さと素晴らしさと、同時に怖さも知り、より一層関わりたいと思うようなりました。


林;良いですね。これを読んでいる方、是非!
それではみんなが待っている選曲ですが、テーマは何でしょうか?


横山;「夜に聞きたい5曲」です。


01. Bill Evans / Symbiosis 2nd



横山;夜の散歩の時によく聴いています。Bill Evans の音楽は、日本の音大に通う頃に初めて知りました。こうべを垂らしピアノに向かって弾く姿をみて、最初率直に、どうしてこの人のピアノはこんなに寂しそうなのだろう、と思いました。誤解を恐れずに言えば、人生は音楽に反映されていくことを教えてくれました。


林;おお、ビル・エヴァンスはこれですか。すごいですよね、これ。なるほど、横山さんそういう人なんですね。


02. 坂本龍一 / energy flow



横山;最近、久しぶりに食事を終えた夜にソファーに座って聴きました。恐らく、作曲した曲を弾くピアニストが多かれ少なかれ通るのが坂本さんの音楽だと思います。この曲を初めて聞いたのは、小学生の頃でした。クラシックしか知らなかった僕に、ピアノという楽器の可能性を教えてくれました。


林;うわ、小学生の時にこれでピアノの可能性を知ったんですか。


03. Cantus / Hodie



横山;ポーランドの冬の夜はとても長く、午後3時には日が暮れます。分厚い雲に覆われて太陽の姿も滅多に見れません。その中でこの曲は僕の光になりました。Cantusは、『SHE WAS THE SEA』 の「umi」という曲で歌ってもらっている太田美帆さんが主宰されています。


林;良いですねえ。太田美帆さん、身体からエネルギーがあふれるすごい女性ですよね。


04. トベタ・バジュン fest 大貫妙子 / 静かの海



横山;夜に会いたくなる人よりも、朝に会いたくなる人を信用しなさい。そう言われた時に、この曲を思い出しました。大貫さんの声はもちろんですが、トベタさんのストリングスの使い方が僕は好きです。


林;「夜に会いたくなる人よりも、朝に会いたくなる人を信用しなさい」ってすごく良い言葉ですね。なるほどです。


05. 南博 / B minor walz



横山;理由はない、ただどうしようもなく切ない夜に、何度も聴きました。知的と官能。これほど両者が美しく共存する音楽を僕は知りません。


林;おおお、素晴らしいですね。


横山;今回のアルバム『SHE WAS THE SEA』は自分で言うのも何ですが、けして衝撃的なものはないし、音楽としては真新しい試みがたくさん詰まっている訳ではないです。

でも、きっと長い間聴き続けることの出来る作品になっていると思います。海がずっとそこにあるように、この音楽も聴く人の隣で鳴り続けたら嬉しいです。ありがとうございました。


林;こちらこそどうもありがとうございました。みなさんも是非、聞いてみてください。

bar bossa 林伸次


【SHE WAS THE SEA -trailer-】



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■タイトル:『SHE WAS THE SEA』
■アーティスト:横山起朗
■発売日:2019年4月19日
■レーベル: IS QUIET
■品番:IPM-8112

アマゾン詳細ページへ


http://www.tatsuroyokoyama.com


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【林 伸次 近著】

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■タイトル:『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』
■著者:林 伸次
■発売日:2018年7月12日
■金額:¥1,512 単行本

アマゾン詳細ページへ


恋はいつか消えてしまう。ならば、せめて私が書き留めて、世界に残しておこう――。
スタンダードナンバーの音楽とお酒のエピソードとともに綴られるのは、

燃え上がる恋が次第に冷め、恋の秋がやってきたと嘆く女性。
1年間だけと決めた不倫の恋。
女優の卵を好きになった高校時代の初恋。
かつての彼女とよく通ったパン屋さんを訪ねた男性。
学生時代はモテた女性の後悔。
などなど、世界の片隅に存在した恋のカケラたち。

誰かを強く思った気持ちは、あのとき、たしかに存在したのだ。切なさの記憶溢れる恋愛小説。

できることなら永遠に続編を読んでいたい気持ちと、このすこし物足りないような感覚こそが贅沢なのだ、という気持ちとが交錯する。恋愛を人生のすべてと考えている人々のための一冊。
――小西康陽(音楽家)


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bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
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bar bossa vol.81:bar bossa

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vol.81 - お客様:三枝伸太郎さん

【テーマ:自分に影響を与えた10曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はピアニストの三枝伸太郎さんをゲストに迎えました。


林;こんばんは。早速ですがお飲み物はどうされますか?


三枝;ちょっと個性的な感じの面白い赤ワインをお願いします。


林;かしこまりました。でしたら、アンジュ・ヴィラージュはいかがでしょうか。白檀の香りがしますよ。


三枝;ではそれを。


林;ではこちらになります。三枝さんの簡単なプロフィールと小さい頃の音楽環境を教えていただけますか?


三枝;1985年生まれ、母親の実家近くの病院で生まれたので、一応大阪生まれということになりますが、家は横浜にあったので、生まれてすぐ横浜に帰ってきて、ほぼ横浜育ちですね。母親がピアノの先生をしていたので、自然とピアノには触れていました。練習は嫌いだけど人前で弾くのは好き、という子供だったみたいです。小学校五年生の時に親の転勤で札幌に引っ越しをすることになり、札幌でピアノを習っていた先生が田代慎之介さんというピアニストなのですが、ハンガリーのリスト音楽院で勉強された方で、ベラ・バルトークという作曲家の作品を得意にされていて、そこで僕もバルトークの音楽をたくさん弾くようになって、これは今まで聞いたことがないしかっこいいぞ、と、改めて音楽の魅力というものを感じました。


林;なるほど、お母さんがピアノの先生だったんですね。初めて買ったCDは?


三枝;小学校の時は学校でとんねるず が流行っていて(仮面ノリダーとか)、初めて買ったのはとんねるず のCDだったのですが(笑)、それはノーカウントとすると、最初に買った記憶があるのは矢野顕子さんの「スーパーフォークソング」だったと思います。多分テレビで矢野さんの曲が流れていて、CDショップとかでなんとなく手に取ったのだと思いますが、記憶があんまり。。。今でも矢野顕子さんの中ではこのアルバムが一番好きです。学校ではみんなミスチルとかゆずのシングルを聞いていて、僕は全く意味がわからなかったという記憶があります。ダサいな、と感じたとかじゃなくて、意味がわからない、みたいな感じで、自分がおかしいのかも、と思っていました。(ちなみにこれは高校卒業するくらいまでそうで、みんなが好きなものなんだから良さが分からないってことはないはずだし、頑張って聞こう、と思って、テレビの歌番組とかもきちんとチェックしていました。)


林;そういう環境だとミスチルやゆず、分からないのかもですね。その後は?


三枝;そのうち色々音楽を聴くようになるのですが、The Residentsというバンドがあって、音楽もですがビジュアルがかなり強烈でそれにはまってしまって、そこから急激にアヴァンギャルドよりなものを聴くようになりました。当時札幌には個性的なレコードショップが何件かあって、一番覚えているのはMONTONSONというノイズミュージックと現代音楽を主に扱っていた店なんですが、そこで色々聞かせてもらって、一時期はノイズミュージックばっかり聞いていたりとか。。いわゆる現代音楽みたいなものもたくさん聞きました。

同時にジャズも好きで、ビル・エヴァンスのCDを聞きながら見よう見まねで真似してみたりとかやってました。高校受験を機に横浜に帰ってくることになって、都内の高校を受験しようと思って調べていると、青山学院の付属高校にはモダンジャズ部というのがあるのを知って、そこを受けました。後から聞くと、矢野顕子さんとか桑田佳祐さんとかはそこの出身らしく、結構歴史のある部活だったらしいのですが、僕が入学したころには実質はただの軽音楽部になっていて、みんなMr.Bigとかをやっているような感じでがっかりした記憶があります。でも一応在籍はしていて、ロックって、あんまりキーボーディストは目立たなくて困るので、色々自分で探して友達にプレゼンして、かっこいいオルガンソロがあるディープパープルとか、イエスとかの曲を混ぜてもらってやっていました。あとはブラバンの人たちと一緒に、ちょっとジャズっぽい、当時流行ってたエゴラッピンとかオレンジペコーとかをやったりして。


林;そこ、有名な部ですよね。そんな感じなんですね。さて、高校の後はどういう展開になったでしょうか?


三枝;高校に入ってから作曲の勉強を始めて、大学は青山に行かずに音大の作曲学科に行くことになりました。作曲を学んでいたのですが、同時にピアノも弾いていたし、もし音楽でうまくいかなかったら普通に就職活動しよう、くらいに思っていたのですが、ある時、先輩の紹介でバンドネオン奏者の早川純さんのグループに入ることになって、アルゼンチンタンゴという音楽に出会いました。そのグループで扱っていたのは、タンゴの中でもかなりモダンなもの、ピアソラよりも新しいもの、という感じで、ピアソラ、モサリーニ、ロビーラ、ディエゴスキッシのアレンジなんかもありました。その後、早川さんの師匠にあたる小松亮太さんの現場にも行くようになって、小松さんはタンゴ への愛がとても深い方で、タンゴって何、みたいなことをしばらくみっちり教えて頂きました。

あとは、のちにサンダンス映画祭で短編部門のグランプリを取ることになる長久允くんっていう高校の同級生がいて、彼が映画を撮りたいっていうことで連絡をくれて、映画音楽を初めて作ってみたりとかして、その繋がりで演劇やダンス、映画のための音楽も少しずつ作って行くことになりました。


林;そういう形でタンゴに出会ったんですね。


三枝;大学院まで行かせてもらって、いろんな現場で勉強もしながら、仲間がやっているバンドにも参加したりしながら、のんびりとやっていたのですが、自分のバンドをやりたいな、という思いはずっとあって。アルゼンチンタンゴを演奏する機会がたくさんあったんですが、でも自分はジャズも好きだし、ブラジル音楽も好きだし、映画音楽も書いていたし、好きなものを全部ひっくるめてやれるような音楽を目指してて、キップ・ハンラハンのビューティフルスカーズってバンドとか、ピアソラのコンフントヌエベってバンドとか、要するに大編成のバンドがやりたかったので、実際に動き出すのは大変だなあと思って足踏みしていたのですが、当時よく共演していた沖増菜摘さんというヴァイオリニストが、いいからとりあえずやってみろ、という風に言ってくれて、自分のバンドを作ることになりました。

これは現在でも続いているのですが、まずはピアノ、バイオリン、チェロのトリオ、のちにピアノ+バンドネオン+弦楽四重奏、やがて現在の形の、ピアノ+バンドネオン+弦楽四重奏+ベース+パーカッション+ボーカル、という形に、少しずつ増やして行く形で活動してます。三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanzaというグループです。





ピアノもひいて、自分で譜面も書く、メンバーも集める、みたいなことが最近は多いです。映画や舞台の音楽の仕事でもそうだし、歌手のサポートをする、みたいなコンサートでも、そういう形で参加することが多いです。必要に迫られれば、指揮みたいなことも最近はします。けど難しいです。


林;大編成のバンドがやりたいって、現代だとすごくレアな発想ですよね。三枝さん独特ですね。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


三枝;これからの音楽がどうなるか、というような大きな話は自分にはなかなかできません。僕はまだ配信では一曲も音楽を買ったことがなく、ずっとCDを買い続けています。けど、仕事の資料集めとかの関係で、今年に入ってからApple Musicを使い始めました。使ってみると確かに便利で、これはCDも買わなくなりそうだな、という気はします。便利になることは悪ではないので、この流れは止められないだろうとは思いますが。

僕がなんとなく思うのは、音楽って、ほかの五感と組み合わさったときに印象がより強くなるっていう気がしていて、例えばその音楽を聞いていた時の季節だったり、パッケージのアートワークとか紙の手触りとか、時間が経ってボロボロになって行く感じだったり、よく行っていたレコードショップへの道のりだったり、あるいは誰から借りたCDだとか、そういう物と一緒になって記憶してたりするのが、フィジカルの良さだとは思うので、そういう配信技術が削ぎ落としている無駄な部分、みたいなものをどうやって残して行くか、みたいな努力は必要かなと思います。まあみんなが言っているような話だとは思いますが。。。

逆に、若い人たちがそういう要素をどこから感じているのかってことは気になります。

あとは、PAの技術の進歩についてはすごく興味があります。僕のバンドはいつもPAを入れずに、完全に生音でやる事が多いのですが、メリットとデメリットがあって、メリットはダイナミクスレンジの広さ、音色のゆたかさ、デメリットは音量の限界やバランスの調整が難しい事、など。僕のバンドでやっている音楽はクラシック音楽みたいな繊細さも、ポップスのような迫力やノリも両方欲しいので、やがて技術的に、どちらもできるようになるといいなあ、と思っています。


林;配信、買ったことないんですか... さて、今後の予定は?


三枝;今年3月に小田朋美さんとのデュオのアルバムを出しました。そしてこの秋にはOrquesta de la Esperanzaの2枚目のアルバムを録音します。曲がまだ二曲くらい足りてなくて、書かなきゃ。。な感じです。ホドロフスキーの最近の映画、「リアリティのダンス」「エンドレス・ポエトリー」の二本にすごく感動して、私小説的なんだけどすごく外に開かれている、みたいな組曲を書きたいなと思ってずっと作っています。人の一生を花の成長になぞらえています。しかし僕は今33で、そのあとのことは分からないので、途中からいきなりフィクションになって行く、みたいな構成になっていて、種があって、芽が出て、花が咲く、そこまではいいんだけど、そのあとは鳥になって、宇宙に行って星になって。。。みたいな。

あと、アコーディオンを手に入れる予定があって、アコーディオン始めようと思ってます。ここ数年、日本のシャンソンの女王と言われる越路吹雪さんにまつわるコンサートに関わって、演奏したりアレンジしたり音楽監督みたいなことをやっているのですが、去年、越路さんの事務所を整理していたら、古いアコーディオンが出てきて、越路さんの旦那さんであり音楽監督であった内藤法美さんの遺品だったんです。事務所の方が、自分で直すなら弾いてもいいよ、と言ってくださって。これも何かの縁だと思うので、練習して、やがて人前で演奏できるようになりたいな、と思っています。

決まっていない予定としては、もっと大きな規模のものをやってみたいです。オーケストラもそうだし、舞台作品みたいなものも作ってみたいです。あとは「忘れないと誓った僕がいた」という作品以降長編映画はやっていないので、映画音楽もやりたいです。フェデリコモンポウという作曲家の自作自演のレコーディングが好きで、自分もそろそろソロピアノをやろうかな、という気持ちもあります。とはいえ、思わぬ方向に行く方が面白い人生だとも思うし、今までもそうだったので、変な出会いがあるといいな、と思っています。


林;33歳から新しい楽器を始めるっていいですね。今後も期待しております。それでは選曲ですが、テーマは?


三枝;「自分に影響を与えた10曲」です。肌触りとか、嗅覚とか、そういう感覚に働きかけて来る音楽が好きです。そんな10曲。


林;いいですねえ。面白そうです。


01. Akiko Yano - Super Folk Song - 3. Someday
https://youtu.be/8ZOhp8x9T8U


三枝;ピアノの弾き語りというジャンルで、圧倒的に一番好きなのが矢野顕子さんです。いつ聞いても打ちのめされます。だいたい原曲より先にこのアルバムのバージョンを聴いていて、のちに原曲を聴いてハッとしたりしていました。リハーモナイズの思想とはかくあるべき、という意味でも素晴らしいです。


林;これ、僕はもちろん原曲が先で、矢野顕子ヴァージョンが後だったので、すごく驚きました。素晴らしいですよね。


02. Bill Evans - Symbiosis 2nd Movement (Largo - Andante - Maestoso - Largo) - A



三枝;クラウスオガーマンはとても好きなアレンジャーですが、作曲も素晴らしい。手に入らないアルバムも多いので全てを聴いている訳ではないのですが、聴いた中ではこれが一番好きです。二楽章が特に。トリオとオーケストラでクラシックの曲をやっているアルバムも素晴らしくて、エヴァンスとオガーマンで10枚くらい作ってほしかった、と思います。


林;いやほんと、10枚くらい作ってほしかったですね。激しく同意です!


03. Fred Frith Iva Bittova Pavel Fajt Morning Song



三枝;中学の時すごく聴いていたチェコのシンガーソングライターのイヴァビドヴァ。ヴァイオリンやヴィオラを弾き語りするアーティスト。歌声だけでなく、ヴォイスパフォーマンスとしていろんな表現をする人で、しかし常にナチュラルに音楽、というのが素晴らしいです。また元々女優さんですごく美人なのもポイントです。フレッドフリスのドキュメンタリーからのワンシーン。ほっこりします。


林;これ、中学の時ですか。早熟すぎです! でもカッコいいですね。


04. Morton Feldman - For John Cage



三枝;大学の時ずっと聴いていたフェルドマン。ビロードの絨毯をずっと撫でている様な音楽。フェルドマンは、特に後期は長い曲が多く、中には五時間以上かかる曲もあって、演奏者がオムツをつけて演奏したりもするそうです。。触覚的、という言葉が一番似合う音楽だと思います。こういうゾクゾクする響きを自分の音楽でも出したいです。


林;おお、ビロードの絨毯をずっと撫でている様な音楽ですか。すごい表現ですね。


05. Astor Piazzolla - Musica popular contemporanea de la ciudad de Buenos Aires (Vol. 1)



三枝;ブエノスアイレス市の現代ポビュラー音楽、という変なタイトルのアルバム(ちなみに二枚あります。これは一枚目)。
一曲目の弦のトゥッティからもう痺れます。タンゴの弦楽器奏者にしか出せないビブラートというのがあるとずっと思っています。一曲目のタイトル「ドブレアーの悲しみ」のドブレアーとはバンドネオンの有名なブランドの名前だそうです。僕のバンドの楽器編成はこのバンドをモデルにしています。


林;うわ、すごい切ない良い曲ですね。タンゴの弦楽器奏者にしか出せないビブラートですか。そういうのあるんですね。


06. Maria de Buenos Aires ? Astor Piazzolla & Horacio



三枝;ピアソラがオラシオフェレールと一緒に作ったオペラ。アメリータバルタール、地獄から呼んでいるような声。こういう舞台作品をいつか作ってみたいです。


林;もちろん日本語オペラですよね。三枝さん的世界観のオペラ、すごく面白そうです!


07: Mompou: Damunt de tu, nomes les flors.



三枝;スペインの作曲家、フェデリコ・モンポウの自演。間奏が素晴らしい。死の匂いが漂って来るようでゾクゾクします。モンポウには、自作自演のソロピアノ集が4枚あり、どれも素晴らしいです。よく聞くと、楽譜と違うことを平然と弾いていたりして、クラシックだって結局のところは自由なものなんだということを再認識させられます。録音技術が発明される前の作曲家の自作自演はどうだったんだろう、とか想像すると楽しいです。


林;モンポウ自演好きな人、僕の周りにすごく多いです。クラシックの本来の自由さって僕もよく気になるテーマです。その辺りのこと、もっと知りたいです。


08: CINEMA PARADISO -LOVE THEME -Hamilton de Holanda e Andre Mehmari



三枝;アンドレ・メマーリというブラジルのピアニスト。大好きで、来日の際にはよく観にいっているのですが、凄すぎて、年下だと思うとゾッとします。うますぎて鼻につく、というような側面がないこともないですが、タッチの正確さ、ダイナミクスと音色のコントロール、ブラジル音楽ならではのグルーヴ、など、どれを取っても完璧。


林;ああ、三枝さん、メマーリ好きなんですね。すごくわかります。


09: he Residents - One-Minute Movies



三枝;小学校高学年の時はまっていたバンド。PVが変すぎて痺れます。去年二度目の来日をして、やっと生で観れたのですが、もう明らかにおじいちゃんになっていて、こんな変な事を40年以上もやり続けるってすげえなあ、と思いました。音楽的には初期の頃の感じが好きですが。


林;変ですね。こういうのに三枝さん、痺れるんですね...


10: くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝 / Quruli - Amber Colored City, The Morning of The Shanghai Crab (Japanese ver.)



三枝;最近のヒット。スタンディングで盛り上がるような音楽にずっと憧れがありますが、自分がやるのは中々難しいなあ、と感じています。ブラックミュージックのフィールに日本語を普通に乗せるのって結構難しいんだろうなあと思いますが、これはすごくうまくいっていると感じます。


林;クラシックを勉強してきた人にとってポップ・ミュージックって難しいらしいですね。くるり、素晴らしいです。では、最後に三枝さんと小田朋美さんのアルバムについて教えていただけますか?


三枝;日本語って、しゃべるときは普通にみんなしゃべるのに、歌うと急にみんな変な発音になるのはなんでだろう、と常々思っていて、あとは、桜が舞い散ったりとか、会いたいけど会えないとか、じゃなくて、もっと大人がちゃんと共感できる言葉で歌モノを作りたいなあ、という事で、小田朋美さんという天才アーティストとデュオでアルバムを作りました。テクストとして、主に戦後の文芸詩を扱っています。と、書くとお堅く感じられそうですが、茨木のり子や萩原朔太郎のような先人たちから、僕と同じ1980年代生まれの詩人の三角みづ紀さんや映画監督の長久允くん、まで、あとは僕と小田さんの作詞が一曲ずつ、という感じで、時代やジャンルを超えて同じ言葉を使っていて、それが今の歌モノとして聞 こえる、ということが新鮮に感じられるようなアルバムになりました。皆様ぜひ聞いてみてください。






『わたしが一番きれいだったとき / 三枝伸太郎&小田朋美』

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■タイトル:『わたしが一番きれいだったとき』
■アーティスト:三枝伸太郎&小田朋美
■発売日:2018年3月21日
■レーベル: OTTAVA Records
■品番:OTVA-0022

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http://shintaromieda.jugem.jp
三枝伸太郎Twitter


三枝さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
このアルバム、本当に素晴らしいです。
三枝さんのこれまでの音楽体験のことを知ると、もっと楽しめますね。みなさんも是非。

GW真っただ中ですが、みなさん良い音楽は聴いてますか? 良い音楽を。
bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨 ・vol.77 林伸次 ・vol.78 永山マキ ・vol.79 脇田洋二 ・vol.80 三橋有


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.80:bar bossa

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vol.80 - お客様:三橋有さん(nisica)

【テーマ:アナログ盤で聴きたい「nisica × Quiet Corner」が選ぶおすすめ曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はnisicaの三橋有さんをゲストに迎えました。


林;いらっしゃいませ。早速ですがお飲物はどういたしましょうか?


三橋;林さんのオススメの白ワインをお願いします。


林;そうですね。でしたらしっかりした南仏のシャルドネをお出ししますね。さて、お生まれと小さい頃の音楽環境を教えていただけますか?


三橋;1975年生まれで、出身は東京の祖師谷大蔵です。母親の影響が強いと思います。小さい頃から、家ではチェット・ベイカーやヘレン・メレルから、ビートルズ、ストーンズ、矢沢永吉、研ナオコまで、色々な音楽が流れていました。ちなみに小学生の時は、研ナオコが好きでした


林;おお! 最初からカッコいいですね。研ナオコいいですよね。その後は?


三橋;中学生になって、パンクにはまりました。それは、音楽はもちろんなんですが、ファッションとしてのパンクにも惹かれました。あと、好きな女の子に、よくカセットテープを作っていました。ビートルズの後にカーリーサイモンとか入れたりして、特に「Yes It Is」 から、「Nobody Does It Better」への流れが気に入って、女の子にイチオシしていました。全くモテませんでしたが...。


林;もう予想通りの中学生ですね。モテませんでしたか(笑)。高校は?


三橋;高校生の頃は、帰宅部だったので、とにかくアルバイト漬けで、原宿とか渋谷によく買い物に出かけていました。洋服屋に行って、レコード屋に行ってという、そんな毎日でした。
あとこの時期は、フリー・ソウルとか藤原ヒロシにかなり影響を受けていました。特に、藤原ヒロシは中学生の頃から影響を受けていましたね。宝島やキューティーの雑誌も、穴が空くぐらい読みこんでいました。発売日の前日は、楽しみで眠れなかったです。


林;もう典型的な世田谷おしゃれさんですね。地方出身の僕としては羨ましいです。高校卒業後は?


三橋;高校を卒業してから、文化服装学園に入ったんですが、どうしても馴染めずに1週間で行かなくなって...その後、辞めてしまいました(笑)。それから、色んなアルバイトして過ごしていました。そういえば、六本木のWAVEでもアルバイトしていました。


林;え、六本木WAVE経験者なんですね。王道中の王道ですね。nisicaは?


三橋;nisica は2000年に、宇賀村英明という友人と始めました。ずっと二人でやっていますね。彼とは、たまたま原宿のお店でその人と出会ったのがきっかけで、趣味も合ったし仲良くなって。それから、二人で何かやりたいって話になって、それで少しお金を貯めて、nisicaを立ち上げました。ちなみに、最初は、"HOME MADE"というブランド名でした。トニー・ジョー・ホワイトの「Home Made Icecream」という曲が大好きで、そこからとったんです。


【Tony Joe White - Homemade Ice Cream】



林;なるほどです。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


三橋;これからの音楽は、良いものであれば残ると思います。音楽なので、音源が良いのは当たり前ですが、例えばデザインが良いとか、所有して手元に置いておきたいとか...そういう本当に良いと思えるもの、他に替えがきかないものが残っていくと考えています。
だから、そういう意味では、やっぱりアナログ盤が一番魅力があって、ずっと残っていくフォーマットだと思います。実は、僕、配信で音源を買ったこと、一度もないので(笑)。


林;僕も配信、まだ買ったことないです(笑)。


三橋;今回、クワイエット・コーナーの山本勇樹くんと一緒に作った、「nisica × Quiet Corner」 のCDも、ありがたいことにしっかり売れているし、きちんとしたものを作れば、届く人には届くんだと、改めて実感しました。


林;これからはどうされるご予定ですか? 


三橋;これからも、コツコツとnisicaをしっかりやるだけですね。僕はこれしかできないですから。洋服以外だと、今回、山本くんと物を作ってみて、趣味も合うし、考え方も近いのが再確認できたので、今後も一緒に何かやっていきたいです。
あと、人に喜んでもらいたいというか、昔はそういう風に思わなかったんですが、今は自分が楽しいというより、人が喜んでいるのを見る方が楽しいので、これからも、そういう仕事がしたいし、何か人の役に立つことをしたいなと思います。


林;素敵な言葉をありがとうございます。それではみんなが待っている選曲に移りたいのですが、テーマは何でしょうか?


三橋;アナログ盤で聴きたい「nisica × Quiet Corner」が選ぶおすすめ曲。


林;おお、期待します。


01. The Unthanks "What Can a Song Do to You?"



三橋 アンサンクスはUKのフォーク・グループで、ロバート・ワイアットのカヴァー集を出していたり、どの作品も素晴らしいのですが、これは今年になって発売されたモーリー・ドレイクの楽曲集です。モーリーはニック・ドレイクのお母さんですね。これはモノクロのジャケット・デザインが良いのでぜひアナログ盤で。


林;ロバート・ワイアット、ニック・ドレイクの母をカヴァー、もう文句なしのセンスですね。朗読も素敵です。


02. Hem "Tourniquet"



三橋;ヘムはアメリカのカントリー系のグループなのですが、ジャズとかポップス、クラシックの要素が絶妙に入っていて、とても個性的な音楽を作っています。この曲は2013年に、彼ら自身のレーベルから発売された作品で、実は初めてのアナログなんです。ジャケットは人のシルエットに地図を描いているのですが、CDサイズだと気がつかないほど、繊細なデザインなんです。


林;僕、カントリー、全く聞かないのですが、すごく良いですね。うわあ、こういうのあるんですね。


03. Bedouine "One of These Days"



三橋;僕と山本くんが大好きなマシュー.E.ホワイトというシンガー・ソングライターがいて、彼女は彼のレーベルから、今年デビューしたばかりの新人です。歌声もルックスも、70年代のシンガー・ソングライターのような雰囲気で、やっぱりこういうのは針を落として聴きたくなりますね。


林;確かに70年代だけど、今の音で良いですねえ。


04. Daniel Martin Moore "Turned Over To Dream"



三橋;アメリカのシンガー・ソングライターです。マイルドな歌声が好みで、サウンドもシンプルだけど洗練されていて、なかなかこういう絶妙なバランスを持った人はいません。これも発売されたばかりの新作で、クローバーを散りばめたジャケット・デザインが素敵です。


林;シンプルですね。これ、ジャケットがすごく良いですね。


05. William Fizsimmons "Nothing Can Be Changed"



三橋;こちらも僕と山本くんの大好きなシンガー・ソングライターです。こういうシンプルでフォーキーな雰囲気に惹かれますね。この曲は2年前に出たもので、CDだと2枚のミニ・アルバムなんですけど、アナログ盤はそれらが1枚にまとめられて、しかもジャケット・デザインが特別仕様になっています。これは絶対にアナログ盤で欲しくなります。今、フィッツシモンズの来日を、本気で山本くんと計画しています。


林;おおお、すごい胸にせまる曲ですね。是非、来日公演、頑張ってください!


06. Emilana Torrini "Nothing Brings Me Down"



三橋;これは2005年に出た作品で、当時もアナログ盤が出ていたんですけど、買いそびれてしまって。だからずっと廃盤で手に入りにくかったんですけど、最近、再発されました。2000年代のアナログはプレス数も少ないから、見つけたら買うようにしています。エミリアーナ・トリーニはジャケット含め、この曲は入っている『Fisherman's Woman』がベストだと思っています。


林;やっと知っている名前が。いやあ、今回、三橋さんの世界観が伝わりますね。


07: Cass Mccombs "Opposite House"



三橋;こちらもアメリカですが、よりメロウでリズムもタイトだし、70年代の西海岸のAORを彷彿させます。アナログ盤は2枚組で、赤茶色のマーブル・コーティングされたカラー・ヴィニールなんです。こういうのはCDだと絶対に味わえない魅力ですね。


林;おお、こんな感じでAORよりになると、かなり反応してしまいます。良いですねえ。


08: Dakota Suite & Quentin Sirjacq "In The Stillness Of This Night"



三橋;つい先日まで来日公演を行っていた、フランス人のピアニストと、イギリス人のシンガー・ソングライターです。これもレコード盤がすごくて、白いクリア・ヴィニール仕様なんです。クリスマスの作品なので、内容とデザインがマッチしている最良の形だと思います。こういうのを手に取ると「いい仕事しているな」と思いますね。


林;三橋さん、音楽もモノのデザインも語れる珍しいタイプですね。意外といないですよね。思いつくところでは他には青野賢一さんくらいでしょうか。


09: Stacey Kent "Double Rainbow "



三橋;最近、オーケストレーションが入っているジャズをよく聴いていまして、そういうタイミングで大好きなステイシー・ケントの新作が届きました。このアナログ盤は2枚組で、重量盤だから、まず音質が抜群にいいんです。スピーカーで鳴らすと、ふわっと包み込まれる感じ。Bar bossaのBGMにも合うと思いますよ。


林;おおお、確かにうちにぴったりですね。アナログもあるし、買います! 


10: Diana Panton "In a World of My Own"



三橋;彼女も、10月に来日していて観に行ってきました。アットホームなステージで良かったです。最近、新作が発売されましたが、こちらはその一つ前に出た子守歌のアルバムからで、ブックレットが絵本のようなイラスト集になっているんです。だからアナログのサイズだと本当に絵本のような体裁で、思わず誰かにプレゼントしたくなるような、僕はこういう物をもっているだけでワクワクしてしまいます。


林;うわ、最後に、良いですね。可愛いですね。


三橋さんが選曲したCD、こちらに詳しい情報があります。
『nisica × Quiet Corner : fabric 01』発売記念鼎談


nisica


三橋さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
山本さんとの独特の世界観、今後の展開も期待しております。

桜も散ってしまいましたが、春まっさかりですね。良い音楽は聴いていますか? 
それでは来月もこちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨 ・vol.77 林伸次 ・vol.78 永山マキ ・vol.79 脇田洋二


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林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
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bar bossa vol.79:bar bossa

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vol.79 - お客様:脇田洋二さん

【テーマ:近頃気になる10人の女性たち ~冬から春へ~】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月は広告・デザイン会社に勤務する音楽リスナーの脇田洋二さんをお迎えしました。


林;こんばんは。さて、早速ですがお飲物はどうされますか?


脇田;爽やかめの赤ワインでおすすめがあればお願いします。


林;でしたら、最近おすすめの南フランスのピノ・ノワールがあるのでそちらにしますね。さて、簡単なプロフィールを教えていただけますか?


脇田;1962年に本州最南端にある和歌山県の潮岬という所で生まれました。潮岬には3歳までいて、その後父の転勤に伴って、広島、千葉、和歌山、大阪と住み、大学は仙台、就職してからは横浜、札幌、兵庫県の西宮、東京、その後は横浜市内をウロウロ、数えてみたら16回引っ越しを経験しています。会社も3つめだし、転校生の人生ですね。でもおかげで知らない人と話すのもわりと平気ですし、いろいろな街に土地勘があるので便利です。


林;そんなにいろんな場所を! 人生観、変わりそうですね。さて小さい頃の音楽環境は?


脇田;11歳年の離れた兄(1951年生まれ)がいて、兄がかけるビートルズの曲や60年代のロックサウンドを幼児期にさんざん浴びていたみたいです。テレビに映るグループサウンズのバンドの真似をして兄貴のエレキを抱えている3歳頃の写真があります。

これは千葉に住んでいた小学生の頃のことですが、当時東京の大学に通っていた兄の部屋に潜り込んでこっそり棚のレコードを聴いていて、その中に1枚、ジャケットになぜか裸の外国人のお姉さん2人が写っているレコードがあってですね......まあ小学生の男子なら手に取りますよね(笑)。で、聴いてみたら、びっくり。どの曲もどの曲も全部メロディを知っている。それはビートルズの曲をオーケストラがイージーリスニング風にカバーしたアルバムだったんですけど、子守歌がわりに聴かされて耳に歌が刷り込まれていたのだから当然ですよね。


林;なるほど、1951年生まれのお兄さんだと、東京の大学でオーケストラがビートルズをカバーしたアルバムを持ってるんですね。時代ですねえ。


脇田;それで俄然ビートルズに興味が湧き、LPレコードが欲しいと思っていたら、兄貴がその年のクリスマスプレゼントに青盤を買って来てくれました。でも、青盤って後期中心のベスト盤で1曲目がストロベリー・フィールズ・フォーエバーなんですよね。子供には難解で最初に聴いた時はショックでした(笑)。その後は急速にマニア化していって、近所のレコード屋だけでは飽き足らなくなり、千葉から当時秋葉原にあった石丸電気のレコード館や西新宿のお店に海賊盤を探しに行ったり、ビートルズ映画の4本立てを有楽町の映画館に見に行ったり。それが小学校6年生とか中学1年生のことですから、ちょっと異常な少年ですよね(笑)。当時から小遣いやお年玉は、ほぼ100%音楽関係に遣っていました。これ、40年経った今もあまり変わっていません(笑)。


林;(笑)最初に買ったレコードは?


脇田;カーペンターズの『イエスタデイ・ワンスモア』です。父が気象観測の仕事をしていて、小笠原諸島の父島や南鳥島の測候所に単身赴任していたんですが、父島に小学5年生の時に行った時、島のとあるご家庭で「今アメリカで流行っている曲」と聴かせてもらいました。小笠原は当時アメリカから返還されて間がなかったので、米国の音楽がリアルタイムで入ってきていました。素敵なメロディにやられ、家に帰って近所のレコード屋さんで注文しました。


林;妻も脇田さんと同世代ですが、小学生の時カーペンターズのファンだったみたいです。その後は?


脇田;その後、中学2年で千葉から和歌山市に引っ越しますが、いろいろあって音楽にますますのめり込んでいきます。そんな頃、同級生のお父さんが近所でレコード屋を開業して、ヒマさえあれば店に行きレジ横のプレーヤーでいろいろ試聴させてもらいました。もうお亡くなりになりましたが僕の音楽人生の恩人の一人です。


林;昔のレコード屋さんって、新品をお店でも試聴させてくれましたよね。


脇田;前の千葉の学校の友達とは「交換テープ」なるミックステープのやりとりをしていました。FM局の番組からエアチェック(録音)した曲やレコードからダビングした曲の合間にコメントを入れて仮想ラジオ番組のナビゲーター気取りでした。その頃は、渋谷陽一さんのFM音楽番組が好きで、音楽雑誌も「ミュージックライフ」「音楽専科」やエフエム雑誌などを毎号隅から隅まで読んでいました。

中学高校時代には、ビートルズだけでなく、10CCやジェフ・ベック、YESやピンクフロイド、ディープ・パープルをはじめブリティッシュ・ロックをひと通り聴いた後、ドゥービーブラザーズやそこから派生してスティーリー・ダンなど。渡辺貞夫さんの和歌山公演を聴きに行ってフュージョンやジャズにも興味が出始めた頃ですね。当時流行っていた日本の人たちも聴いてました。例えばツイストやChar、柳ジョージ&レイニーウッド、クリエイション、チューリップなど。あと好きだったのはジュリーと庄野真代かな、あの頃の日本の人だと。


林;なるほど、すごくよくわかります。


脇田;高校卒業と同時に大阪に引っ越して1年受験浪人をしていましたが、心の中ではLPコーナーとかダンとか当時梅田にあったレコード屋が近くなって喜んでいました。大学は仙台ですけど、ステレオを持って行かなかったので下宿にはラジカセだけ。自然に流行り物の音楽をラジオで聴くのが中心になりました。でもたまにバイト代が入ると、背伸びして仙台の駅前にあったジャズ喫茶や国分町のジャズバーなどに通ったり、ソニー・ロリンズやMJQ、ケニー・ドリュー・トリオなどジャズのアーティストが仙台に来ると公演を聴きに行ったりしていました。


林;仙台ってバー文化が素晴らしいってよく聞きます。MJQも見てるんですね。


脇田;大学卒業後は、東京の会社に就職しますが、最初のボーナスをはたいてCDプレーヤーのステレオセットを買い、音楽熱が再燃しました。それから30年、現在に至るという感じです。聴く音楽はロック&ポップスからシンガー・ソングライターもの、ソウル、ファンク、ジャズなど欧米の洋楽中心でしたが、2011年の震災の前後に、たまたまミルトン・ナシメントの『トラヴェシア』をFMで聴いて魂を抜かれ(笑)、突如として南米音楽の魅力に目覚めました。それからは関連の本を読みあさり(林さんのボサノヴァの本も読みました)、試聴会やトークショーに出かけたりして猛烈な勢いで知識を吸収しました。今はブラジルやアルゼンチンの新しい音楽と最近のジャズにハマりっぱなしです。聴く傾向としては広く浅く、古いものより新譜、伝統的なものより都会的なものが好きです。生まれは、けっこうな田舎なんですけどね(笑)。


林;え、僕の本読んでくれたんですか。ありがとうございます。


脇田;遊びでバンドを組んだり、宅録にハマった時期もありましたが、基本的には「聴き専」ですね。音楽を仕事にすることは考えたことがありませんでした。「働く」ということに対して必要以上に身構えるところがあって...嫌いになりたくなかったのかも。音楽を心の避難場所として大切に考えていたのかもしれません。でも今は、好きな音楽に関連する仕事も何かできたら幸せかもと思います。


林;音楽を心の避難所って表現、いいですね。わかります。音楽を仕事に、これからでも出来ると思います。そんなにお金は入ってこないと思いますが。あと、これ、みんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


脇田;どうなるんでしょうね。自分も以前のようにCDを月に何十枚も買うということはなくなり、Spotifyなどで試聴して、好きなものがあるとCDで買い、さらに良ければ保存用にアナログレコードという感じになりつつあります。カタチがないと不安な昭和世代のせいか、いまだにフィジカルで買いたい方です。ネット上で「CDは消えゆくメディア」とか言う人がいると、「愛がないなぁ」と心の中でdisってます(笑)。

まあ、メディアがどうなるかはともかく、今は古今東西の音楽を自由に聴ける時代になりましたよね。逆に言えば音楽の作り手も直接世界中のリスナーに作品を届けられるようになったわけで、これまで以上に世界中の様々な音楽が互いに刺激し合って面白いものが生まれていくのではないでしょうか。マーケットも国を超えて広がるし、質の高い音楽を創り、届けるための努力をちゃんとしているアーティストにとっては、いい時代になると思います。


林;なるほど。努力をしているアーティストにとってはいい時代、ってほんとそうですね。さて、これからのご予定は?


脇田;会社員として定年までカウントダウンに入ったのですが、年金もなかなか出そうにないし(笑)、どのみち一生働かないといけないので、何をやって生き延びていくか、まさに今あれこれ考えているところです。表現・制作にかかわる仕事をしていますが、それだけやっていては疲弊するので、今年からは個人的な創作活動もやっていきたいと思います。それは音楽かもしれないし、絵や文章、本をつくることかもしれません。林さんの、あのレコード・ジャケットのイラストシリーズにも大いに刺激されています。ともかく残された人生、これからはできる限り「魂が喜ぶこと」を選んでやっていきたいですね。


林;魂、喜びたいですね。さて、みんなが待っている選曲ですが、テーマは何ですか?


脇田;基本的に歌モノが好きで、とくに女性ボーカルものは昔から大好物。今日は最近聴いている中から、おすすめの女性シンガーやソングライターをセレクトしてみました。題して『近頃気になる10人の女性たち ~冬から春へ~』です。寒い季節に似合う静かで暗めの曲から、だんだん明るくなって最後には春が来ます(笑)。


林;おおお、いいですねえ。それでは1曲目は?


レベッカ・マーティン
01. Rebecca Martin / On a Sunday Morning



脇田;アメリカのシンガー・ソングライターですが、メロディラインが良くて、声に癖になる味があります。ギジェルモ・クレインとの共作『The Upstate Project』は、2017年の個人的ベストアルバムに選んだくらいよく聴いていて、めちゃ中毒性が高いです。これはそのアルバムの収録曲で、少し前の映像。ベースはラリー・グレナディアですね。


林;うーん、沁みますねえ。やっぱり声ですよね。


ジェニフェル・ソウザ
02. Jennifer Souza Ao Vivo Com Marcus Abjaud - Retiro



脇田;アルバム『Impossivel Breve』の噂は聞いていたのですが、ちゃんと聴いたのが去年で...そしたら曲とボーカルの素晴らしさにビックリしてしまって。その頃にちょうど来日したので見に行きました。ブラジル・ミナスのアーティストですが、欧米のロックやフォーク、ジャズの影響も感じられますし、幅広いジャンルの音楽ファンに響く音かと。


林;脇田さん、こういうライブ、必ず足を運ばれてますね。ちなみにブラジル人女性って、この声のパターン、多いですよね。前から謎です。


リサ・パピノー
03. Jun Miyake feat. Lisa Papineau - tHe heRe aNd after



脇田;三宅純さんの近年の作品がすごく好きで、彼女はシンガーとして参加しているんですけど、その存在感というかボーカルが生みだす世界観に強烈に引き込まれます。ライブも見ましたが、すごい歌手だと思います。これは2008年のアルバム『Stolen Moments』に入っている曲で、彼女の特徴がよく出ているので選びました。


林;ああ、脇田さん、三宅純、お好きそうですね。これ、カッコいいですねえ。


メロディ・ガルドー
04. Melody Gardot - Baby I'm A Fool (Live Faddergalan 2009)



脇田;2009年の映像なのですが、翌年に初来日したときの渋谷クアトロでのライブが強烈に印象的だったので選びました。最近はより小さな声で囁くように歌うスタイルになっていて、これまた繊細で素晴らしいです。最近ライブアルバムも出ましたね。一瞬にして彼女の世界に引き込まれるライブは多くの人に体験してもらいたいです。


林;確かに引き込まれますね。脇田さん、これもクアトロ行ってるんですね。すごい...


マシャ・ガリビアン
05. Macha Gharibian - Saskatchewan



脇田;フランスのジャズ・ピアニスト&シンガー・ソングライター。たまたま見つけたアルバム『Trans Extended』が良くて、詳しいプロフィールはわかりませんが、アルメニアとかそちらの方にルーツがありそうです。ジャズと東欧の民族音楽が融合した感じの面白い曲ですよね。これはインストですが、ボーカルも味があっていいです。Twitterでつぶやいたらフォローしてくれたので、よかったらチェックしてあげてください。


林;うわ、すごくカッコいい! 東欧ルーツ系の音ですね。ツイッターでフォローしてくれたんですか。インターネットすごい...


エスペランサ・スポルディング
06. Esperanza Spalding BLACK GOLD- OFFICIAL



脇田;もう、この姐さんには一生ついていくと決めたので(笑)。2011年、ブルーノート東京で行われた初来日公演では、演出上ステージにソファが置かれていて、その真下で見たのが一生の自慢です(笑)。香りを嗅げそうな至近距離だったんですが意外に無臭でした。どうでもいいですね。


林;(笑)。エスペランサの香り、確かに気になります。結構、高そうな香水使ってそうですが違うんですか。ほんと、素敵ですよね。


ヴィトリア・マルドナード
07: Vitoria Maldonado - Pura energia



脇田;最近はジャズシンガーとしてロン・カーターとアルバムを出していますが、元々はバークリー音大出身のブラジリアン・ソングライターです。2011年のアルバム『O que está acontecendo comigo』は、ゆったりとしたテンポの美メロ揃いで、捨て曲なし。でもDVD付で5,000円以上もしたせいか知ってる人少ない...でも絶対好きになる人いるはずなので再発希望。


林;ロン・カーターとのアルバムがあるんですか。DVD付きで5000円で脇田さん、買う人なんですね。そっちが気になります...


カミラ・メサ
08: Camila Meza / Traces Live



脇田;この人も、初来日ライブを見に行きました。ボーカルも曲も素晴らしかったのですが、何よりギタリストとしての腕前には目を見張りました。エスペランサがベースの天才ならこの人はギターの達人。今年は新譜が出ますね。


林;え、こういうのも初来日ライブ、行ってるんですか。そっちが気になります。可愛くて楽器がうまいって最高ですよね。


ヴァネッサ・モレノ
09: Serena do Olhar - Vanessa Moreno



脇田;ミナスの音楽も好きですが、サンパウロあたりの都会的なサウンドも大好物です。この曲が入ったアルバムも去年によく聴きました。華やかなボーカルも素敵だし、曲も多彩。コンポーザーとしても素晴らしいです。


林;うわあ、いいですねえ。というか脇田さん、ほんとチェックしてるんですね。お金、大変じゃないですか?


リヴィア・ネストロフスキー
10: Lívia Nestrovski e Arthur Nestrovski - Pós Você e Eu



脇田;この人もサンパウロかな? お父上であるマエストロ、アルチュール・ネストロフスキーのギターと共演したアルバムの一曲目です。リヴィア・ネストロフスキーの声には、品の良さが感じられ、それでいて伸びやか。彼女の素直な歌声を聴くと、気持ちがパッと明るくなりますね。生で聴いてみたいアーティストの一人です。


林;確かに、素直で品の良さを感じますね。春ですね。脇田さん、ほんと、是非、音楽の仕事やってほしいです。今回、実感しました。


脇田洋二
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脇田さん、お忙しいところどうもありがとうございました。いや是非、何か音楽の仕事始めてください。海外のアーティストを招致するのとかどうですか? それにあわせて、コンピCDとか、期待しております。

もう春ですね。花粉が始まっているかとは思いますが、もう桜が近づいていますね。
いい音楽、聴いてますか? それではまた来月、こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨 ・vol.77 林伸次 ・vol.78 永山マキ


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.78:bar bossa

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vol.78 - お客様:永山マキさん(iima)

【テーマ:自分のラジオ番組『iimaな時間』でよく流した10曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はシンガー・ソング・ライターの永山マキさんをゲストにお迎えしました。


林;こんばんは。お久しぶりですね。


マキ;林さんお久しぶりです。やっと来れました!福岡に引っ越しちゃったので、なかなかこれなくて‥ 飲み物は...どうしようかな。あ!そうだ、あれ覚えてますか? 昔よく飲んでた、マンゴー色のカクテル! 「いつものあれ」とか通(ツウ)ぶってお願いしてましたが‥笑。言っちゃおう。「いつものあれ」をお願いします。


林;かしこまりました。懐かしいですね。モダーン今夜の頃ですから、10年以上前でしょうか。
はい、お待たせしました。どうぞ。では、簡単にマキさんのプロフィールを教えていただけますか。


マキ;私の家は、文京区で洋服の仕立て屋さん(テーラー) をしていました。祖母は民謡を歌っていましたし、父はJAZZが好きで針仕事をしていないときはいつもギターを弾いてました。音響にもこだわりをもっていて、家では大きいスピーカーから年中音楽が流れていました。


林;お父さんがギターを弾いてたんですか。なるほど。


マキ;父は、JAZZだけでなく、POPSもよく聴いていました。細野晴臣やユーミン、山下達郎など... その音にたくさんの刺激を受けました。そして私は4歳からエレクトーンを、6歳からピアノを習いました。


林;もう完全にミュージシャンへの道ですね。初めて買ったCDは?


マキ;細野晴臣の「銀河鉄道の夜」 サウンドトラックです。父が見せてくれたアニメーション映画の世界観と音楽がとても好きでお金をためて買いました。


林;おお、素晴らしいですね。中学に入ってからの音楽はどうでしたか。


マキ;中学から吹奏楽部に入りクラリネットをはじめました。その吹奏楽部はとても上手で、その界隈では少し有名でした。現代音楽をやることが多く、それを通じて自分の出す音が複雑なハーモニーの一部になることを経験しました。それがものすごく楽しくて無我夢中でした。人をまとめるのは下手でしたけど楽器はそれなりに上手かったのでコンダクターと部長を兼任。でも、当時は思春期真っ最中。女子社会の間でうまく仕事をこなすことが出来ず、人間関係にうんざりして、大好きだったはずの「音楽」に対しても同じような感情を抱くようになってしまいました。


林;なるほど。女の子のそういうの、難しいですよね。うまくこなせそうなのに意外と不器用なんですね。さて、高校ですが。


マキ;進学した高校で選んだのは「帰宅部」。何かに燃えることもなく、時間を持て余し、腐っていきました。そんな私とは裏腹に、中学・高校と楽しそうに吹奏楽を続けている弟の姿がとてもまぶしく映ったのを覚えています。ある時、家の近くの大通りを歩いていると、 心がザワめく懐かしい音楽が聞こえてきました。弟のマーチングバンドの行進に出くわしてしまったのです‥!

私は焦って、 追い抜かれないように早足でその場から逃げようとしたんですけど、彼らが目を輝かせながら音楽を楽しんでいる姿と、 全身で鳴らしている音の束を前にし、気づくと立ち止まり、そのまま動けない自分が。

彼らは私の前を通り過ぎていき、だんだん小さくなっていく。私は全身が震え、涙をこらえるのに必死でした。私は一体ここで何をしているんだろう...。大学に行ったら、バンドを作る。そしてもう一度、音楽をやる...!と心に誓いました。


林;そうだったんですか。かなり鬱屈してますね。想像では高校生くらいの頃からクラスでギター弾いて歌ったりしてたんだと思ってました。それは音楽への想いが純粋になりそうですね。さて大学ですがどうでしょうか。


マキ;大学に入ったらバンドは組もうと決めてはいましたが、もともとは文章を書くのが好きで、 作家を志し文芸学科に進みました。そして大学入学後に作ったのが「モダーン今夜」というバンド。吹奏楽部にいたものの、いわゆる「バンド」の経験はなく、楽器編成もどうしたらいいか全然わからない。管楽器は沢山いるものだと思っていたので、 結成当時は多い時で管楽器だけで5人、いや、もっといたかな、パーカッションも二人いるという、大所帯バンドになりました。音楽は身近にありましたし好きでしたが、音楽を仕事にしようとは全く思っていませんでした。

でもバンドをやっているうちにメンバーが、オリジナルやるべきじゃない?って言いだして。それまでコピーとかカバーとか、すでにあるものを演奏するということが当たり前だったので「自分でつくる」って発発想が全くなかったんです。それで、はじめて歌詞を書くようになって、それに曲をつけて、そのとき無心でつくってて、楽しくて、あっという間に時間が流れて...。

細胞すべてが喜んでる感覚を知ったのです。これまで音楽も文章も別々に考えていたけれど、その時「私がやりたい表現方法はこれだ‥!」って解ったんです。


林;そういえば文芸って言ってましたね。そうなんですか。すごく紆余曲折してますね。こういうの改めて本人から聞かないとわからないですね。もう最初から普通に歌詞も曲もあふれてきた人だと思ってました。さて。


マキ;都内のライブハウスに出演しているうちに、 デビューの話をいただき、インディースレーベルMOTELBLEからアルバムを出すように なりました。


林;僕がマキさんに出会ったのもその時期ですね。レーベルの人たちがうちの常連でしたから。デビュー後は一気に注目されましたよね。


マキ;デビュー後は本当に沢山のライブを経験しました。今までは雲の上の人だと思っていたアーティストと一緒のステージに立つようにもなりました。嬉しかったです。

新宿ゴールデン街で『黒猫船』というBARでママもはじめて(BARBOSSAのような素敵なBARではなくて、いわゆる「笑うセールスマン」の世界観でしたけど。笑)そこで弾き語りライブをしたりもしていました。音楽三昧な毎日でした。そのうちインディーズバンドの中でも少しずつ存在を知られるようになっていきチャートも上位をキープするようになり、またソロ活動もするようになっていきました。

活動を続けるにつれ、メンバーも、そして私も結婚したり、出産したり、人生の節目を迎えるようになりました。子育て時期に入り、だいぶマイペースな、 ゆるやかな活動になりましたね。


林;モダーン今夜は大所帯だから維持が難しいですよね。


マキ;娘が生後5ヶ月の時、震災が起こりました。オムツも水もお店から姿を消し、どうしようとオロオロしていると福岡の友達が、「うちにおいで!いつまででも居ていいけん」 と言ってくれました。それではじめて東京以外の場所、海や山の自然がすぐ近くにある福岡に惹かれて思い切って引っ越してみました。はじめはほとんど知り合いがいなかった福岡ですが今ではたくさんの友達ができました。

福岡に移ってからはギタリストのイシイタカユキとDUOで活動するようになり、2016年の秋にはiima(イーマ) というユニット名が決まりました。
2017年からはiimaでLOVE FMのラジオ番組を毎週担当しつつ制作活動を続け、2018年2月にようやくデビュー・ アルバムをリリースすることになりました。


林;引っ越してより本来のマキさんらしくなれた感じですよね。素晴らしいと思います。さて、これはみんなに質問しているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


マキ;Jacob Collier等、今どんどん若い才能が出てきていていますね。簡単に宅録が出来たり、 YouTubeなどで作品を世界に発表できたりする環境がここ十数年でずいぶん整ってきたので、これまでとは違う音楽の進化や新しい出会いが楽しみです。販売方法もどんどんデジタル化していくでしょうが、一方で私はやはりCDやLPなど、 手に取れる素敵なデザインのものをよく購入しています。だからiimaのアルバムは、詩や音楽はもちろんですが、いつもそばに置いていただけるようデザインにもこだわりました。音楽は形がないのでダウンロード販売もありだとは思いますが、 私はそれだけじゃ不安なんです。

自分のMacにたくさん曲は入っていますが、 どういうわけかiPhoneやiPodと同期できなくなったりするし、やっぱり何か不具合があると嫌なので、 ちゃんと実物を持っていたいんです。飾りたくなる、 家に置いておきたくなるのは良質なデザインのものなので、 これからはパッケージデザインの進化も楽しみだなあと思ってます 。


林;なるほど。さて、これからはどうされるご予定でしょうか。


マキ;これから...そうですね。与えられたステージで全身全霊で歌うのみです。次のアルバムの構想はありますし、 早く2枚目の制作にも入りたいですね。そしてiimaで世界中をツアーしてみたいです。また絵本にも挑戦したいと思っています。


林;絵本って出すのすごく難しいらしいですよね。これからのマキさんの活躍、期待しております。それでは選曲にうつりますが、テーマは何でしょうか。


マキ;「自分のラジオ番組『iimaな時間』でよく流した10曲」です。2017年4月から、iimaのギター、イシイタカユキと共に福岡のLOVE FMで『iimaな時間』 というラジオ番組をさせていただき、こだわりの選曲をしております。そのなかでもよく流した良曲を選びました。


林;楽しみです。


01. Hideaway / Jacob Collier



02. Hajanga / Jacob Collier



マキ;1994年8月2日生まれ。ロンドンの音楽一家に生まれ育ち、16歳のときにアカペラや多重録音パフォーマンスをYouTubで配信し脚光を浴び、グラミー賞を受賞。現在23歳という...。私が去年最も聴いたアルバムは彼の『IN MY ROOM』という作品です。
そこからお気に入りの2曲「Hideaway」と「Hajanga」を紹介します。曲の展開も素晴らしくて、 いつでも楽園に連れて行ってくれるような曲です。彼の音楽が地球に生まれたことが嬉しい。


林;先日、現代の将棋の名人が昔の名人と戦ったら、必ず現代の名人が勝つという話を聞いたんですね。数学とかもそうらしいんです。音楽もそうなんだなあ、今までの音楽の歴史の全部の情報を知っていて、さらに才能がある音楽家であれば、すごい作品を作るんだなあってわかりました。


03. I'm All Over it / Jamie Cullum



マキ;同じくイギリスのシンガー、ピアニストであるJamie Cullumの作品を紹介したいです。リリースからしばらく経ちますが、 全く色褪せない。この曲をはじめて聴いた時のワクワク感はJacob Collierの時と同じでした。


林;いいですねえ。どうしてイギリスってこう良いアーティストが出てくるんでしょうか。


04. My Foolish Heart Gil Goldstein, Romero, Toninho / Infinite Love



マキ;この曲はBARBOSSAではじめて聴き、あまりにも美しくて、林さんに、この曲誰の作品ですか?と聴いてそのままレコード屋に走ったという思い出があります。
来たる2月22日には、 なんとこの作品に参加している憧れのギタリストROMERO LUBAMBOのライブで、 私達iimaがオープニングアクトさせていただくことに...。 人生ってわからないものですね。


林;おおお、ホメロと会えるんですね! 人生って面白いですね。


05. Animal Spirits / VULFPECK



マキ;2011年に結成されたアメリカのファンク・バンド。PVを見ると、音楽はとてもカッコイイのに全然カッコつけてない感じが素敵。音楽も活動方法も等身大で魅力的だと思います。ちなみに踊っているのがバンマスのJack Stratton。


林;ええ? これでPV、あってるの? ってチェックしなおしたくらい、ほんとカッコつけてないですね。でもカッコいいし、すごいです。


06. Table (Animation by Betsy Dadd) / Rachael Dadd



マキ;イギリスのアーティスト。歌詞や楽曲から垣間見える彼女の感性がとても好きです。音作りも、例えばこの曲はすごく遠くでドラムが鳴ってるのですがどうしてこうなったんだろう?って想像しながら聴くのも楽しいです。


林;本当ですね。確かにすごく遠くでドラムが鳴ってます。音の重ね方もいいですね。


07: Bizness / tUnE-yArDs



マキ;アメリカの女性ミュージシャン、メリル・ ガーバスによる音楽プロジェクト。一度聴いたら忘れられない、メリル・ガーバスの逞しい叫び声。そして実験的なサウンド。ベースラインがやたらとカッコイイし、ホーンアレンジも独特でとても刺激を受けます。


林;おお、女性なんですね。攻めてきますねえ。マキさん、こういうのお好きなんですね。


08: neuh / 宮内優里



マキ;『iimaな時間』では詩を読むコーナーがあるのですが詩に合わせてよく流させていただきました。宮内さんの音楽を流しながらの朗読、すっごく心地よいのです。自分の朗読がとても上手くなったように聞こえます。笑

iimaは数年前からカメラマンのいわいあやさんと一緒に様々な土地に訪れて、そこからインスパイアされた曲を作っています。 そしていわいさんが撮った写真や映像とコラボして「写真はうたう」というイベントを開催しています。その活動の中で宮内さんと共作させていただいたこともありました 。とても嬉しかったです。


林;ごめんなさい。そういうマキさんの活動、全然知らなくて。すごく面白そうですね。なんか、もっと簡単にマキさんの活動がわかるようなシステムを作っていただきたいです。


09: Miro una estrella / Mono Fontana



マキ;1959年、ブエノスアイレス生まれのキーボーディスト/ ピアニスト。本名フアン・カルロス・フォンタナ。 アルゼンチン音響シーンで活動する彼の曲はため息が出るほど美しく、 これもまた朗読コーナーでよく流させていただきました。
夜空の星を見る内容の詩にこの曲がぴったりだと思えて、あとでタイトルを調べてみたら、「彼は星を見る」というような意味でした。音楽は言葉よりも通じると改めて思いました。


林;ああ、モノ・フォンタナのこういう感じもお好きなんですね。ほんと、お話を聞かないとわからないものですね。美しいですよねえ。


10: 最終回のうた / iima



マキ;娘が小さいころ、絵本を読んであげると、最後のページで必ず泣いていました。どうやら物語が終わってしまうのが寂しいらしいのです。思い起こせば、 私もアニメやドラマの最終回を迎えると寂しい思いをしていました。でもその先が見れなくなるだけで、物語はまだ続いていく。そして私のストーリーに最終回がきても、世界はつづく。どうかしっかり生きてほしい。 そんなメッセージを込めて作った曲です。
...手前味噌なのですが、iimaのこの曲を最後に挙げたいです。

この作品は、南阿蘇村の震災復興イベントのためにKOO- KIの白川東一さんとコラボレーションしてつくりました。たくさんの方がシェアしてくださり、Facebookでの映像公開から1ヶ月で再生回数1万回を超えた作品です。この曲を聞いてシェアしてくださった方の中にはピアニストの林 正樹さんもいらして、お話しているうち、 レコーディングに参加してくだることになりました。 2月に発売されるiimaのアルバムでは、この「最終回のうた」 で林さんのすばらしいピアノをお聴きいただけます。


林;うわあ、すごく良いです。いつかあなたがしわっくちゃになったら私のことを思い出して、の辺りで涙腺がきました。いいですねえ。さて、マキさん、何か宣伝があるのではないでしょうか。


マキ;私、永山マキとギター・イシイタカユキとのDUOユニットiima[イーマ]デビュー・ アルバムを2月にリリースいたします。皆様是非よろしくお願いいたします。


林;みなさん、チェックしてくださ~い!↓


【iima[イーマ]待望のデビュー・アルバム『最終回のうた』2月2日発売!】



iima web
iima facebook
tsumikicode webshop


マキさん、お忙しいところどうもありがとうございました。
福岡に移住したの、いい選択でしたね。今後のご活躍も期待しております。

東京の雪、やっと溶け始めましたね。みなさんもいかがお過ごしでしょうか。
それではまたこちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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iima[イーマ]待望のデビュー・アルバム『最終回のうた』
2月2日発売!2800円(税別)
ライヴ会場、通販、ダウンロードでの販売

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■タイトル:『最終回のうた』
■アーティスト:iima
■発売日:2017年2月2日

購入はこちら

iimaデビュー・アルバム『最終回のうた』の特設サイト
http://www.iima-music.com/sp/


【今後のライブ予定】
2月2日(金)春待ち音楽会@佐賀CIEMA
時間:19:00開場/19:30開演
出演:iima(永山マキ×イシイタカユキ)/樽木栄一郎/ zerokichi
料金:予約3,000円/当日3,500円※ 別途1ドリンクオーダー
【予約窓口】0952-27-5116
info@yakuin-records.com
◎件名→2/2◎本文→名前・連絡先・予約人数


【iimaデビューアルバム『最終回のうた』 リリース記念LIVE】
<福岡公演>
日程:2月4日(日)
時間:14:00開場/15:00開演
料金:前売 3000円 当日3500円(共に+1d)(高校生以下半額 未就園児無料)
出演:iima(永山マキ・イシイタカユキ)
スペシャルゲスト 樽木栄一郎(vo.g)&zerokichi (uku)・いわいあや(写真)
会場:WEEKS GALLERY
福岡市中央区薬院1-8-8 WEEKS BLD 5F(1F・2F/B・B・B POTTERS)
【予約窓口】
ticket@tsumiki-code.com


<東京公演>
日程:2月12日(月・祝)
時間:12:00開場/13:00開演
金額:前売 3000円 当日3500円(共に+1d,1food)
(高校生以下半額 未就園児無料)
出演:iima(永山マキ・イシイタカユキ)
スペシャルゲスト 林正樹(pf)
会場:〒150-0034 東京都渋谷区代官山町1−1グラヴァ代官山
@Weekend Garage Tokyo
【予約窓口】
03-5428-5751(14:00〜18:00)
reserve@weekendgaragetokyo.jp

メールご予約方法
必要事項を明記の上、お申し込みください。
1.件名に公演日、iimaリリース記念ライブと明記の上、
2.お名前(代表者のフルネームをカタカナ表記を添えて)
3.お電話番号(当日ご連絡のつく番号をお願いします)
4.ご予約人数(高校生以下の場合はお知らせください)
5.遅れる場合はご来店予定時間
※ご予約申し込みメール受信後、 数日以内に受付確認のメールをお送り致します。
メール受信設定などでドメイン指定をされている方は、 ご確認をお願い致します。
確認次第、随時お席は押さえさせて頂きますが、 基本的には折り返しのメールにてご予約の完了となります。また店舗業務の関係上、 折り返しメールが遅れる場合がございます。予めご了承ください。
※ お席に限りがあるため予約キャンセルの場合は必ずご連絡を頂くようお願いいたします。
当日キャンセルの場合はキャンセル料チャージ全額分をご請求させて頂くことがございます。


【Romero Lubambo Japan Tour 2018】
Rio - New Orleans - Tokyo with Peter Martin 福岡公演
Special Opening Act - iima

ブラジリアン・ジャズを代表するミュージシャンとして、 ニューヨークの第一線を走り続けるギターの名手「ホメロ・ ルバンボ」が福岡初登場!!満を持して遂に決定しました。
ダイアン・リーブスBANDで数々のステージを共にしてきた、 ニューオーリンズにルーツを持つピアニスト、ピーター・ マーティンと共に、31回目の来日を果たします。ブラジル・ アメリカ・そして日本への想いが、 音になる瞬間をぜひ福岡でお楽しみください!
オープニングアクトには、LOVE FM「iimaな時間」(毎週火曜日20時から放送中) でもお馴染み、2018年2月に1st.アルバムをリリースの、 iima(イーマ)が登場します。 ギタリストのイシイさんヴォーカルの永山さんお二人が熱烈なホメ ロさんのファンでもあり、本企画が実現しました。

日程:2月22日(木)
時間:18:00開場/18:30開演
出演:Romero Lubambo,Peter Martin
Opening Act - iima(永山マキ・イシイタカユキ)
会場:大名スクエアーガーデン
福岡市中央区大名2-1-4 ステージ1西通り8階
※天神西通り「一風堂スタンド」 向かいSTEREOと同じビルです。
料金:前売 5,800円(1ドリンク別途500円)
当日 6,300円(1ドリンク別途500円)
【予約窓口】
電話:092-753-7447(大名スクエアーガーデン 12:00〜22:00)
web:http://sgarden.jp/contact.htm

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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

アマゾン詳細ページへ


【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨 ・vol.77 林伸次


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.77:bar bossa

barbossabanner201507.jpg


vol.77 - お客様:林伸次さん(bar bossa)


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

あけましておめでとうございます。
今回は毎年恒例の、bar bossaの林伸次さんをお迎えしております。


林A;いらっしゃいませ。さっそくですがお飲み物はどうされますか?


林B;じゃあ、シャンパーニュをグラスでください。あ、bar bossaさん、シャンパーニュがグラスで1000円なんですね。安いですねえ。頑張ってますね。


林A;宣伝はやめてください。それでは2017年によく聞いた音楽の話をしていただきたいのですが。いかがですか?


林B;一番聞いたのはブックマークスですね。もうほんとこういう音楽が好きです。


林A;ブックマークスは洞澤さんにこちらでも出演していただきましたね。じゃあアルバムのダイジェストですが、聞いてみましょうか。


The Bookmarcs New album「BOOKMARC MUSIC」DIGEST



林B;いいですねえ。なんかのCMとかに使われたりしないのでしょうか。是非、これからも頑張ってほしいグループですね。


林A;さて、次はどういうのを聞きましたか?


林B;次はCHAIですね。名古屋出身のガールズバンドなのですが、「CHAIって何なの?」ってよく聞かれるので、ひとことで言いますと、「現代の少年ナイフかチボ・マット」です。最初から「海外で受ける可能性がある」というのも共通していますね。あと、ツイッターで、「CHAIが好き」と告白したところ、オシャレな友人知人からどんどん「いいよね!」とリプライが返ってきました。


林A;どんな人たちですか?


林B;例えばBEAMSの青野賢一さんとか、イラストレーターの松尾たいこさんとかですね。もう東京のオシャレ番長の二人が好きなわけです。まあ聞いてみましょうか。


CHAI「sayonara complex」



林B;あとはニカも良かったです。このJJazzにも出演していただいた金野さんにオススメしてもらったのですが、サチモスが売れるのなら、ニカも売れるべきです。


滲んだ - nica(Official Music Video)



林A;なるほど。さて、韓国はどうでしたか?


林B;ルシッド・フォールが新譜をだしましたね。なんかどんどん内省的になってます。なんとかして来日公演をしてほしいのですが、いかがでしょうか。


루시드 폴 Lucid Fall - 안녕, Salut, Official M/V



林A;林さんは南米音楽をよく聞くんですよね。


林B;もちろんです。去年の新譜、ギリギリ滑り込みの名盤が2枚です。カルロス・アギーレのカルマとジョアナ・ケイロス、ハファエル・マルチニ、ベルナルド・ハモスのジェストですね。なんと後者はアナログ・レコードが出てます。これは快挙ですよね。ジャケットが美しいです。


Voces de otra vida y otro lugar (Carlos Aguirre Trío) - Disco Calma



Joana Queiroz, Rafael Martini, Bernardo Ramos «GESTO»



林A;他はどんな音楽を聴いてましたか?


林B;正直に言いますと、基本的にアナログレコードしか買わないんです。だからどうしても「昔の音楽」になってしまいまして、今はカル・ジェイダーばかり買ってます。


林A;21世紀にカル・ジェイダー、全然オシャレじゃないですね。


林B;いいんです。もう自分が本当に聞きたい音楽を聴こうって決めてるんです。こういう音楽、最高ですよ。


Cal Tjader - Curtain Call



林A;なるほど。こういうの聞いてるんですね。ブロッサム・ディアリーの本を書きたいと言ってましたがどうなりましたか?


林B;いつか書いてみたいです。なんか思ったように、ブロッサムの情報が集まらないんです。もし僕が偉い作家先生なら、編集と取材のチームを作って、情報を集めるのですが、そんなことできないので... ブロッサムの43歳のころの映像でも見てください。


Blossom Dearie--My Gentleman Friend, Soon It's Gonna Rain, 1967 TV



2018年が始まりましたね。今年も良い音楽に出会えるといいですね。
それではまた来月もこちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
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その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
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●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.76:bar bossa

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vol.76 - お客様:金野和磨さん(Gerbera Music Agency)

【テーマ:最近のオススメの日本人アーティスト】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はミュージシャンのエージェント会社 Gerbera Music Agencyの代表をしている金野和磨さんをお迎えしました。


林;こんばんは。早速ですがお飲物をおうかがいしますね。


金野;林さんの今日のオススメのワインをお願いします!甘口のものだと嬉しいです。


林;でしたら、今は南仏のミュスカがありますからそちらにしますね。さて、お生まれと小さい頃の音楽環境のことを教えていただけますか。


金野;1987年に宮城県の気仙沼で生まれました。住んでいる地域の周辺にライブハウスもありませんでしたし、習い事もサッカーでしたし、両親も音楽関係の仕事をしているわけではなかったので、小さいころは音楽と無縁な生活でした。両親がよくCDをレンタルしてカセットに入れていたので、自宅では流行りの音楽には触れていましたが。CDも中学に入るまで買いませんでした。


林;気仙沼ですか。畠山美由紀さんと同郷ですね。なるほど、金野さんの世代だとご両親がレンタルCD世代なんですね。その後はどうですか?


金野;中学に入ってからもサッカー三昧だったのですが、音楽に詳しい友人の影響で音楽を自分で聴くようになりました。当時はMD全盛期だったので、『俺ベスト』的なMDをつくって貸し借りしていましたね。1文字1文字楽曲タイトルを入れないといけなかったので、その作業がMDへの愛着に繋がっていた気がします。


林;確かにMDは文字を入力しましたね。懐かしい。最初に買ったCDは?


金野;初めてCDを買ったのは中学1,2年ごろに買ったBUMP OF CHICKENのメジャー1枚目のアルバム『jupiter』でした。このアルバムは当時友人・知人の間でものすごい人気でして。たぶん軽く30回は貸したと思います。最後の方はパッケージも歌詞カードもボロボロになっていて、ディスクも傷がついて再生できなくなっていました。BUMP OF CHICKENの人気の凄まじさを肌で感じましたね。


林;そうかあ、中学でBUMP OF CHICKENのCDを30回は貸すっていうのが、ほんと時代ですね。その後は?


金野;大学進学に合わせて上京したのですが、最初の住むことになった学生会館(いろんな大学の学生が住む男子寮みたいな施設)で知り合った友人に勧められて聴いたのがBLANKEY JET CITYやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、THE YELLOW MONKEYでした。


林;お、カッコいいですね。


金野;この3組は周りに合わせて当時の流行りの音楽しか聴いてこなかった自分にとってかなりの衝撃で、そこから初めて音楽を自分で掘るようになります。1950~60年代のロックンロールとか、グラムロックとか、パンクとか。グラムロックやパンクはファッションも特徴的だったので、音楽とファッションのカルチャーについても調べたりしていました。


林;やっぱりみんなそこを通りますよね。


金野;社会人になってからも音楽を自分で掘る楽しみみたいなものに取り憑かれていたんですが、このころ(2010年ごろ)からオリコンの上位がアイドルやジャニーズで埋め尽くされるようになりまして、良い音楽がこれだけ溢れているのになぜそれが反映されないのか疑問に思ったんです。今思うと音楽ビジネスのことを何も知らなかったからこんなこと言えたんだなと思いますが、当時は率直に「日本の音楽業界は終わってる」と思いました。なので、自分で変えてやろうと思い、新卒で入った会社から音楽サービスの会社に転職して音楽の仕事に携わるようになりました。


林;なるほど。今のお仕事はどうでしょうか? 良いことや悪いことなどがあれば教えていただけますでしょうか。


金野;天職だと思っています。やりがいしかないので一生続けたいです。「良いこと」はとんでもないライブに出会う機会が多いこと、自分たちのサポートしているアーティストやチームのメンバーが活躍しているさまを見ることなど、たくさんあります。一方、「悪いこと」は自分の力不足でアーティストが活動休止したり、自分たちのもとを離れてしまうときなどです。これはもう経験や知識を積んでいって減らしていくしかないと思っています。


林;これからの音楽はどうなると思いますか?


金野;まず音楽とリスナーを取り巻く環境の話ですが、主にSpotifyをはじめとしたストリーミングサービスのさらなる普及によって、これからプレイリストを通じて新しい音楽と出会う機会が増えていくと思います。伴って、プレイリストの楽曲を選ぶ「キュレーター」と呼ばれる人たちの存在感も増していくと思います。


林;なるほど。


金野;また、SpotifyやApple musicは海外のリスナーとの接点になりますので、これからそれらのサービスを通じて、国内アーティストの海外進出がより積極的になっていくのだろうと思います。ライブホール「Zepp」がマレーシアやシンガポールなどアジア各都市に展開されていくことをはじめ、環境も整備されていくと思いますし。

ただ1つ補足しておきたいのが、ストリーミングによってCDが急速に淘汰されていくようなイメージは持っていません。現在ストリーミングサービスにはサザンオールスターズやジャニーズの楽曲など、解禁されていない人気アーティストの楽曲がまだまだたくさんあり、普及が思うように進まない要因の1つになっています。これらの楽曲は今後のストリーミングサービスの成長に合わせて少しずつ解禁されていくとは思いますが。そういった事情があるため、ストリーミングの普及とCDの衰退は今後もゆるやかに進んでいくイメージを持っています。また、ハイレゾとアナログはストリーミングとシェアを食い合うようなイメージは持ってませんので、今後も堅調に売上を伸ばしていくんじゃないかなと思います。


林;さすがすごく具体的で面白いです。


金野;最後にアーティストを取り巻く環境については、これからはアーティストがセルフマネジメントするための会社をつくったり、自らマネージャーや宣伝担当者を雇って活動していくケースが増えていくのではないかと思っています。これまでアーティストがのし上がっていくには事務所やレコード会社に所属する以外に選択肢がなく、自らがリスクを取って主体的にチームを動かしていきたいタイプのアーティストにはフィットしないケースが少なからずありました。そうした背景があり、所属している事務所やレコード会社から独立して活動するアーティストが少しずつ増えてきています。僕個人としては、アーティストは自らプロジェクトの責任者として全ての意思決定と実行に主体的に関わっていくべきだと思っているので、この流れをエージェントとしてサポートしていきたいと思っています。

この件に関しては先日ブログを書いたので、ご興味ある方にはぜひご覧になっていただきたいです。

http://gerbera-music.agency/course-of-action-2017/


林;すごくよくわかりました。最前線でやられている金野さんならではのお言葉ですね。さて、今後はどうされる予定でしょうか?


金野;まず、音楽業界でやりたいことをやるためには兎にも角にも実績が必要なため、いま弊社でサポートしているクライアントアーティストが成功できるよう全力を尽くしていきます。「成功」というのは武道館での単独公演やホールツアーをイメージしています。


林;まずそこからということですね。


金野;実績ができ、自社の知名度が上がってからどうするかはまだ決めていないのですが、候補としては2つあります。1つはアーティストのエージェント会社として、クライアントアーティストがより成功しやすいような環境を整備していくこと。例えばレコーディングスタジオを持つとか、ライブ制作事業をはじめるとか、グッズ制作事業をはじめるとか、そういったイメージです。

もう1つは、アーティストが音楽活動をしやすくなるようなプラットフォームをつくること。例えば自主で活動するアーティストがチームをつくりやすくなるよう、クリエイター(デザイナー、映像作家、VJ、照明)をアーティストとマッチングさせるようなプラットフォームですね。この2つのうちどちらの方向に進むかはいま現在では検討もつきませんが、より日本のアーティストが活動しやすくなるような、音楽を続けやすくなるような事業をしたいです。


林;期待しております。それではみんなが待っている選曲ですが、テーマは僕から「最近のオススメの日本人アーティスト」でお願いしたいのですが、いかがでしょうか。


金野;では、8曲、おすすめしますね。


01. ここにしかないって言って / ものんくる



金野;いま知名度を上げている「日本語ポップス×ジャズの新感覚ユニット」です。ベースはポップスでありつつもジャズの要素が自然と溶け込んでいて、身体を揺らしたくなるリズム感、グルーヴ感があります。ものんくるに限らず、最近ポップスとジャズをかけ合わせたアーティストが少しずつ増えてきている気がします。


林;ものんくる、すごくいいですよね。吉田沙良さん、すごく可愛いですし。


02. めたもるセブン / けもの



金野;女性ジャズ・ヴォーカリスト青羊(あめ)によるソロ・ユニット。80年代のシティ・ポップが好きな方には特にフィットするかもしれません。今年7月にリリースされたアルバムのリード曲で衝撃を受けてすぐにアルバム買ってライブ行きましたがどちらも素晴らしかったです。


林;この人も、僕のTLでみんながよく話題にしていますね。声の耳ざわりもいいですよね。


03. 滲んだ / nica



金野;『Urban Jazzy Pop』を掲げている男女デュオ・バンド。キャッチコピー通り、都会的で心地よいサウンドとグルーヴ感が特徴です。夜終電なくして歩いて家まで帰らないといけなくなったときにコンビニで買った酒飲みながら聴きたいです。


林;金野さんのそのコピーが秀逸です! これ、金野さんにおすすめいただいて、すごく聞いています。すごく売れてほしいですね。


04. Gospel In Terminal / bonobos



金野;6月に彼らのBillboard公演を観て感動したのですが、2017年のbonobosはネオ・ソウルや現代ジャズのグルーヴを纏っており、控えめに言って極上です。無限に聴き続けられます。すでにご存じの方も多いバンドだと思いますが、今観ておくべきだと思います。


林;確かに、控えめに言って極上ですね。曲もすごくいいですよね。


05. Midnight Cruise / WONK



金野;昨年彗星のように現れた、東京発〈エクスペリメンタル・ソウル〉 バンド。ハイエイタス・カイヨーテに代表されるフューチャーソウル/R&Bをこれだけ高いレベルで表現している日本人バンドは他にいないのではないかと思います。最初聴いたときはそのよれたリズムに面食らったんですが、何回も聴いているとそれが気持ち良く感じてくるんですよね。


林;なんか変な表現ですけど、日本人じゃないみたいですね。カッコいいです。


06. my hawaii "Setsuna" live at FEVER 2016.05.09



金野;LAで活動する日本人ミュージシャン鹿野洋平を中心に結成された6人組バンド。彼らに出会うまではこういう土っぽさを感じるゆったりとした音楽に興味を持てないでいたんですが、昨年彼らのライブを観てその魅力に気づきました。音の響きや音色に圧倒的な豊かさを感じられて、ああ、こういう音楽の魅力ってこれだったんだと、しみじみ思いました。この日のmy hawaiiは僕にとって2016年のベストライブでした。


林;へええ、LAで結成で、ジャパン・ツアーなんですね。いいですねえ。


07: ROTH BART BARON "BEAR NIGHT" | FULL SET | Dec 20th 2016



金野;三船雅也(vocal/guitar)と中原鉄也(drums/piano)の二人組からなるインディフォークバンド。昨年『hoshioto』という、星空の綺麗な岡山の野外フェスで彼らのライブを初めて観たのですが、my hawaiiのライブを観たときに近い豊かさ、美しさを感じました。
my hawaiiはメロディとハーモニーの美しさが際立っているバンドだと思っているのですが、ROTH BART BARONは生命力、力強さを感じさせる壮大なサウンドスケープが最大の魅力だと思います。


林;インディーフォークなんですね。たしかに曲はフォークですね。もう全然知らない世界でした。


08: 4AM Mellow Diver(山中さわおRemix) / ArtTheaterGuild



金野;先日チームのメンバーがTwitterでシェアしたのを聴いて知ったバンドです。最近のバンドでthe pillowsやスピッツを想起させるようなバンドに出会うことってほとんどないんですが、このバンドには似た成分を感じました。一生聴けそうなポップス。実際、この楽曲は彼らに惚れ込んだthe pillowsのリーダー、山中さわおさんがリミックスを担当しているようです。


林;おお、いいですね。抑制した感じですが少しづつじわじわ心に響きますね。


●金野さんのtwitter
https://twitter.com/konno108/

●Gerbera Music Agency
http://gerbera-music.agency/


金野さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
金野さんの今後のご活躍、期待しております。

みなさん、もうすっかり師走ですね。
街ではクリスマスソングが流れていますが、いい音楽は聴いていますか? 
それではまた来月もこちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

アマゾン詳細ページへ


【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

barbossa_cover450.jpg

■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.75:bar bossa

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vol.75 - お客様:太田美帆さん(cantus)

【テーマ:参加した思い出曲と、沢山の人に聞いて欲しい現代の音楽家の曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はcantusの太田美帆さんをお迎えしました。


林;こんばんは。お飲物はどうされますか?


太田;ご飯は済ませてきたので、食後酒が飲みたいです。ボンボンさんのガトーショコラに合うのがいい。


林;でしたら、シャンパーニュ地方のフィーヌなんてどうでしょうか?


太田;それをお願いします。


林;では、こちらどうぞ。お生まれは東京ですよね。


太田;1978年広尾の日赤病院で生まれました。


林;小さい頃から音楽と関わってたんですよね。


太田;歌うことが好きだったので、母親に合唱団を探してもらって、小学校2年生の時に、東京少年少女合唱隊に入隊しました。
代々木上原に住んでいたので、スタジオのある新大久保へは新宿から乗り換え1回で行けました。親は単純にアクセス的に子供が一人で通えるということで選んだと思うんだけど、東京少年少女合唱隊は「プエリ・カントレス」(カトリック系世界児童合唱連盟)の日本支部で、ルネッセンスの楽曲を主なレパートリーとする合唱隊でした。そこで宗教音楽とラテン語の洗礼を浴びました。合唱隊は宗派問わず学校もバラバラの小学生が「歌いたい」という気持ちだけで繋がっている特別な空間。教会旋法の響きは子供ながらにエモくて、すっかりハマってしまいました。


林;なるほど、そうだったんですね。初めて買ったCDって何でしたか?


太田;高校までは合唱隊が忙しく、音楽は聴くものではなく「やるもの」だったんです。だからCDを買って音楽を聴くという行為に目覚めたのは高校になってから。
多分初めて買ったCDは下北のディスクユニオンで買ったドアーズの『The DOORS』。「The end」という曲が好きでした。周りはエアロスミスとかボン・ジョヴィとか聞いてたんだけどしっくりこなくてドアーズに行き着きました。


林;うーん、最初がドアーズですか。なんか都心の女の子って感じですねえ。合唱、どうでしたか?


太田;とにかく合唱隊が忙しかったです。先生には「習い事だと思うな。これは仕事です」と言われていたので子供なりにプライドを持ってやっていたつもり。そういう意味では合唱隊の子供たちは態度が大きくて、現場では鼻持ちならない存在だったと思います。合唱隊、学校、サントリーホール、スタジオの往復。学校には友達がいませんでした。クラスに好きな男の子がいたのだけが救いでした。


林;そんなに... そのまま中学高校と続いた感じでしょうか?


太田;中学時代はまだ合唱隊が忙しかったです。高校時代はクラブでハウスを浴びてました。主なテリトリーは表参道のMIX。愛車のBMXで弟とナイトクルージングしてました。好きな雑誌はスタジオボイス。


林;おお、らしくなってきましたねえ。その後は?


太田;高3の時、合唱隊時代の親友とSUS4という女子2人ユニットでメジャーデビューして芸能活動スタートしました。キャッチコピーは「チャペルから飛び出した少女達」(笑)。全く売れませんでした。でも二人で歌ってるだけで十分楽しかった。
22歳でSUS4は解散して私はソロアルバムをリリース。アレンジは全て音楽家の林正樹君にお願いしました。しかし残念ながら私の力不足で作品は全く話題になりませんでした。


林;あ、そのときに林正樹さんとやってるんですね。その後は?


太田;25歳で音楽家と結婚しました。教会音楽という自分のバックグラウンドを認めてくれる初めての人で、映画、アートあらゆることを教わりました。音楽活動は続けるというより個人的にはこれしか出来ないし一応天命だと思ってるから続けています。


林;そうなんですね。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


太田;いわゆるメジャーな音楽はよりショービズ化していくんだろうし、総合芸術、新オペラみたいな感覚になるのかなぁ?
私が好きな世界観の音楽、非大衆音楽は、よりライブであることが、必要とされていくと思います。普段音楽を全く聞かないので、配信とかのシステムはイマイチわかってないです。


林;あ、そうなんですね(笑)。これからのご予定は?


太田;先にも話したけど、私にとって音楽は聴くものではなく「やるもの」です。新しい取り組みとしては、聖歌隊CANTUSとは別に、即興に個性が見出せる歌い手を集めて新しいコーラスグループを作る予定です。それと同時にア・カペラ曲を作るのも楽しいので、作曲活動も続けると思います。


林;これからも楽しみですね。それではみんなが待っている選曲ですが、テーマは何でしょうか?


太田;本当に普段音楽を一切聞かないので、音楽を知らないんです。だから、オススメのあの曲というのが思いつかなくて、「参加した思い出曲と、沢山の人に聞いて欲しい現代の音楽家の曲」を連ねます。


林;美帆さんらしいですね。それでは1曲目は?


01. 秋のワルツ / 中島ノブユキ



太田;レコーディングしたのは早稲田のアバコだったと思います。「いつもみたいに歌って」と言われて家の鼻歌の延長で30分位で録音しました。言葉もその場で載せました。オノマトペなのでライブの時はいつも思いついた言葉で歌ってました。「声も楽器の一部だから突出しなくて良い」といつも言われてました。その感覚は今でも大切にしています。


林;良い曲ですよね。この曲のファン、すごく多いですよね。


02. Mio Pianto / 高木正勝



太田;高木君も私に勇気を与えてくれた一人。いつでも優しくて柔らかくて。でも音楽に対しては1音も妥協を許さない人でリハーサルもすごくするし、映像も素晴らしいし、同年代の音楽家で一番影響受けました。


林;リハーサルすごくするんですか。なんかイメージではパッとその場で録音って感じがしますが。


03.光 / haruka nakamura PIANO ENSEMBLE feat.CANTUS



太田;harukaは可愛い弟分という感じだったけど今では音楽という灯の青い部分を表現するパートナーに変わりました。このPV映像のライブをした5日後、私は第一子を出産しました。


林;有名な演奏ですよね。うわあ、やっぱり感動的ですね。え、5日後!


04. 光 / haruka nakamura PIANO ENSEMBLE



太田;8月にリリースされたharuka nakamura piano ensemble最後のアルバム「光」のPV。最初に紹介した光から5年経ってます。同じ曲がこう変化していく様を作品化していくケースはあんまりないんじゃないかなぁと思います。


林;面白いですね。こんな風に変化するんですね。


05. Hodie / CANTUS



太田;今年の5月にインパートメントから2枚目のアルバムをリリース出来ました。全曲宗教曲。私達の源を表現したアルバム。タイトルの「オディエ」とはラテン語で「今日」という意味です。1日で収録した「今日」に捧げた作品。


林;あ、やっぱり全曲宗教曲なんですね。「今日」に捧げるんですか。深い。


06. Rhye"Open"Cover / 坂本美雨+武田カオリ+太田美帆



太田;今年の6月に「人間の声」というテーマでライブを自主企画しました。色々あってイベント自体は中止になってしまったのだけど、参加メンバーだった美雨さんとカオリさんが協力してくれて急遽ア・カペラ ライブを敢行しました。その時の音源です。三人の母の歌。人生最大級のピンチを迎えたおかげで沢山の方の人間力に触れました。ありがたすぎて言葉にならない。


林;三人の母の歌ですか。うわあ、すごい演奏ですね。こんなのあったんですか。


07: Pendulum / 林正樹



太田;林君、通称リンちゃん。リンちゃんはSUS4の頃から一緒に演奏している大切な人。同い歳。高校生の頃から天才って呼ばれてました。当然天才だと思ってるけどこの人は誰よりもピアノを弾いてるし向き合っていると思います。この音源ではわたしは歌ってませんけど、この曲が好きすぎて、リンちゃんの福岡、岡山ツアーに付いて行って歌わせてもらいました。


林;林正樹さんとそんな長い付き合いだったんですね。それも知りませんでした。天才だと僕も思います。


08: Moments musicaux - Thème / 阿部海太郎



太田;海太郎君も同い歳。蜷川さんの劇判を歌わせてもらったり、CANTUSのアルバムにもミサ曲を委嘱してもらいました。海太郎君の和声に対する感覚は粋。歌いながら毎回「くぅ、洒落てるねー!」と唸ってしまいます。そして彼の話すフランス語の綺麗なこと。良い男。


林;あ、美帆さん、この方とも共演されてるんですね。なんか美帆さん、すごいなあ。


09: in aquascape / 坂本美雨



太田;美雨さんの歌声は天女みたいだなと思います。この曲はお父様が美雨さんのために書かれた曲。美雨さんの原点、そして終着点が詰まってる気がします。この曲から生きる糧を享受する人は少なくないと思います。音楽だけではなく色々な表現の仕方で愛を表すことが出来る人。


林;一度、bar bossaでも撮影でお会いしました。猫好きで、渋谷の野良猫にすごく反応してて、うわ、本気だと思いました。


10: 私の赤ちゃん / 七尾旅人



太田;クラシック上がりの所以かピアノを弾く人と縁が多いけど、旅人さんはギターを操る魔法使い。そしてメロディセンスは他の追随を許さない。音楽のためならいくらでも身を削る、その姿勢に毎回頭が下がります。一緒にVOICE!VOICE!VOICE!VOICE!VOICE!VOICE!VOICE! という声のバンドを組んでます。旅人さんの曲ではこの曲が一番好きです。


林;いい歌ですね。こういう歌ってあるんですね。すごいなあ。さて、10曲終わりましたが、美帆さん、何かこれは宣伝しておきたいことってありますか?


太田;インスタがいま楽しい。「ura.cantus」を覗いてもらえたら嬉しいです。
https://www.instagram.com/ura.cantus/


林;ライブよくやってますよね。みなさんも是非、チェックしてみてください!


美帆さん、お忙しいところ今回はどうもありがとうございました。
もう冬ですね。いい音楽は聴いていますか? 
それではまた来月こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
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【林 伸次 近著】

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■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
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その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
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「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹


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林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●TEL/03-5458-4185
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bar bossa vol.74:bar bossa

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vol.74 - お客様:洞澤徹さん(The Bookmarcs)

【テーマ:今昔の心踊るAOR曲10選】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月は10月11日にデビューアルバムが発売されるThe Bookmarcsの洞澤徹さんをゲストにお迎えしました。


林;いらっしゃいませ。早速ですが、お飲物はどうされますか?


洞澤;モヒートをお願いします。


林;かしこまりました。では、お生まれと小さい頃の音楽環境を教えていただけますか?


洞澤;1971年に東京都日野市で生まれました。兄と姉がいて洋楽が好きだったので、その影響で洋楽を聴くようになりました。当時はノーランズとかABBAとかクイーンのレコードが家にあってよく聴いていました。楽器も兄が持っていたクラシックギターで遊んでいたのが始まりです。


林;なるほど。僕も69年生まれなのでその感じわかります。ギターもクラシックギターでしたよね。最初に買ったレコードは?


洞澤;自分で初めて買ったレコードはワム!の『ファンタスティック』(1983年)というアルバムです。町の小さなレコードショップで「ワム!」ありますか?と聞いたら「雅夢」を出された切ない思い出があります。


林;(笑)なるほど。12歳で洋楽なんですね。その後、中学にあがるとどうでしたでしょうか?


洞澤;中学でハードロックバンドを組みました。僕はギターを担当。ラウドネスとかアースシェイカーなどのコピーをしていました。ギターソロが難しくて、雑誌『プレイヤー』のTAB譜を見ながら必死にカセットテープを聴いて練習したのを覚えています。マイケル・シェンカーの「キャプテン・ネモ」という曲は今でも弾けると思います。


林;中学でバンドですか。東京はやっぱりすごいですね。ラウドネスやアースシェイカー、僕も高校の時、バンドでやりましたよ。


洞澤;当時の情報源はとにかくラジオで、ラジオ番組雑誌『FMステーション』は欠かさず読んでましたね。鈴木英人さんデザインの表紙が印象的でした。付録のカセットテープインデックスカードが嬉しかったのを覚えています。


林;やっぱり同世代だと「エアチェック」はしていますね。高校卒業後はやっぱりミュージシャン志望だったのでしょうか?


洞澤;ミュージシャン志望ということはまったくなくて、でも音楽は好きでしたからオリジナルのポップスバンドをやっていました。大学時代はとにかくバイトばっかりしていました。剣道をやっていたので道場で少年指導とか、パン工場や、コンビニなどなどとにかくたくさん。
音楽に触れるような仕事はしてなかったですね。音楽に関してはちょっとはすに構えているようなところがあって、大学の音楽サークルとかは意味もなく敬遠していたねじれた青年でした。


林;そうなんですか。中学の頃にバンドをやっていたのに意外ですね。


洞澤;大学の近くにジャニスという有名な貸レコ屋があったのでよく通っていました。ソフトロックのコーナーは棚借りしたり(棚に置いてあるソフトロックコーナーの端から端まで何度かに分けて全部借りる)してました。


林;ジャニスって確実に東京の音楽を変えていますよね。僕ももう少し後になってからですが、一時期通いました。The Bookmarcsはどういうきっかけで始められたんですか?


洞澤;今やっているThe Bookmarcsのスタイルは、僕がとあるイベントの打ち上げ会場でビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」を歌っている近藤くんを見て、声に惚れてナンパしたのがスタートです。僕は女性ボーカルユニットばかりやっていたので男性ボーカルユニットは新鮮でした。それからは、近藤くんの声質で歌ったら面白いだろうなという曲を作り続けています。


林;なるほど。男性ボーカルとの出会いっていうのが大きいんですね。録音でこだわられているところは?


洞澤;今は音楽の仕事を始めてから17年ほどですが、どんどんPCの性能が上がり音源も含めてほとんどPCで作れてしまうのでシンプルな仕事場になりつつあります。ただ、僕は打ち込みだけで成り立っているトラックがあまり好きではないので、ギターなど弾ける楽器はだいたい生で入れます。以前からコツコツ練習しているトランペットも最近は録音にちょいちょい使うようになりました。目下の目標はサックスも習得して一人多重録音でブラスセクションを入れるようになることです。


林;え、一人ブラスセクションですか。すごい野望ですね。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


洞澤;制作側の観点で言うと、プロとアマチュアの境がどんどん曖昧になってきてますね。みんなにチャンスがある分、職業作曲家みたいな立ち位置がだんだん難しくなってきています。サラリーマンの人も、他に職を持っている副業ミュージシャンもクオリティが高い人は本当にたくさんいて、PCやソフトの進歩でリリースレベルのものが誰でも作れるようになってきています。得意分野にフォーカスを絞れば、プロ混在でも誰でも勝負できるということです。音楽を職業としている身としては、面白くなりつつもいっそう緊張感が高まる昨今です。


林;なるほど。


洞澤;また、CDが売れないとか、配信では儲からないとか言われて久しいですが、これだけカジュアルに誰でもクオリティの高い動画制作が安価でできて世界に見せたがっている人がごまんといる状況を考えると、映像音楽という意味で決して音楽の需要がなくなっているのではなくむしろ高まっているのは明白です。素人だけど才能ある動画制作者とそこらへんでどう絡んでいけるかというのも地味な話ですがワクワクするとことです。


林;前向きでいいお話ですね。これからはどうされるご予定ですか?


洞澤;まずはThe Bookmarcsを世間に広めていきたいです。この音楽を絶対に待っててくれている人が大勢いると信じてます。仕事面では、映画音楽・映像音楽を今までよりもっともっとやっていきたいです。そのための準備もいろいろしてきましたし。
それと(気が多いのですが)面白い歌の人がいたら男女問わずどんどんプロデュースしたいですね。僕の周りの才能あるミュージシャンやデザイナーや写真家に協力してもらって僕ならではのプロデュースで打ち出していきたい思いはあります。


林;なるほど、楽しみですね。それではみんなが待っている選曲にうつりましょうか。テーマは何でしょうか?


洞澤;「今昔の心踊るAOR曲10選」です。


林;お、良いですねえ。ではいってみましょう。


01. On and on / Stephen Bishop



洞澤;The Bookmarcsを結成するときにまずこの曲が浮かんで、この柔らかなテイストで近藤くんの声質に合った曲を作ろうと思いました。大好きな曲は何かと聞かれたらまず答える曲です。アコースティックギターのアルペジオと右チャンネルから聴こえる浮遊感あるスティールギターがこの曲の世界観を作っています。


林;名曲ですよね。なるほどこの曲が最初のイメージですか。あ、確かにスティールギターが浮遊感を作ってるんですね。こういうのちゃんと言われないと僕みたいな素人のリスナーは気が付かないものですね。


02. Dondi / Ed Motta



洞澤;その名もずばりな『AOR』というアルバムからの1曲。相当マニアックな音楽ファンのエヂ・モッタならではのAOR曲。
イントロの艶っぽいギターフレーズからグッときますが、やっぱり16フィールのドラムグルーブに時折入る甘いブラスがたまりません。あと、この手の曲に欠かせないのがベースの手数少なめのどっしり感とたまに入るおかずのフレーズです。他にもエレピのグリッサンドとかブラスに重ねたフルートとか、各楽器のAORフレーズ図鑑みたいな曲です。


林;なるほど。プロはそういう聞き方をするんですね。エヂ・モッタはそういう聞き方をするとすごく面白いんですね。洞澤さんの聞き方が面白くなってきました。


03.Show You The Way / Thundercat



洞澤;ケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドをフィーチャーした僕にとってはボーカルヒーロー二人の完璧なバランスの曲。現在32歳のサンダーキャットが2人を起用するという流れがまず面白い。定番のオクターブユニゾンのパートが美しくてグッときますが、何と言っても後半のバースからのマイケル・マクドナルドの歌が最高です。かなり複雑なアレンジなのですが嫌味に聴こえないところがさすが。


林;アメリカってこういう風に世代間の受け渡しみたいなのが羨ましいですよね。そうかあ、これ確かにすごく複雑だけど嫌味に聞こえないって感じですね。ふむふむ。


04. Bags & Things / Dennis Lambert



洞澤;暖炉の写真のアルバムジャケそのままに、とっても温かみを感じる曲です。ワンコーラス50秒、全体でも3分弱と短い世界の中で、ストーリーのダイナミクスが感じられるところが良いですね。歌い出しの美声から心躍ります。2コーラス目のストリングスとともにリズム隊も静かに熱くなるところなんかはグッときます。


林;洞澤さん、本当に曲の構成の「どこが人の気持ちを揺り動かすのか」という個所をつかむのが上手いですね。ほんと、仰る通りです。


05. Toledo / Elvis Costello, Burt Bacharach



洞澤;僕にとって最高の大人の男性ボーカルユニットといったらこのコンビがまず浮かびます。なんかもう世界が違います。ここまでに成熟した音楽をいつかやりたいなぁ。何と言っても美メロに美声。必要最低限の音の厚みとアレンジ。イントロや間奏に入る柔らかでさりげないフリューゲルホルンの響きが大人の男の色っぽさを醸し出していて好きです。


林;この二人がやるって知った時、びっくりでしたよね。僕は実はかなり不安でしたが、こんなにはまるんですよね。


06. 私自身 / いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー



洞澤;日本の曲からセレクト。『アワー・コネクション』というアルバムの1曲。このアルバムはどれも素晴らしいのですがYouTubeに上がっていたのはこの曲のみでした。何でしょうこのホッとする歌声。"語り"から歌に入る手法なんかは、AORとするのはかなり拡大解釈な気もしますが、何とも心躍る曲です。演奏がティン・パン・アレイ。鈴木茂さんのギターのグルーブも大好きだなぁ。シンセリードの使い方も個人的にツボです。


林;ごめんなさい。勉強不足で知りませんでした。すごくカッコいいですね。レコード見つけたら買ってみます。高そうですね。


07: Out Of The Past / The fifth avenue band Feat. KENNY ALTMAN & MICHAEL THOMPSO
N




洞澤;今回紹介しきれませんでしたが大好きなピーターゴールウェイが所属していたバンド。1枚目の『Fifth Avenue Band』も傑作だけど本作もAOR色が増してとても好み。アルバムが発売されたのが1990年なので、リズムやエレピの音色はもろに時代を反映してはいますが、譜割の少ないAメロのメロディの彷徨い方とサビに入った時の切なさの爆発感はこの上なく上質なAORです。


林;フィフスアベニューバンド、この流れだとすごく大好きそうですが、こっちのアルバムの方を選ぶのが洞澤さんですね。もうわかってきました(笑)。


08: Butterfly /Jason Mraz



洞澤;ジェイソン・ムラーズはAORの印象は正直なくて、この曲にしてもむしろファンクやソウルのイメージですが、僕からすればとてつもなく心躍るAORを感じるのがこの曲です。メロディはサビなどめちゃめちゃ歌謡な要素満載ですが、隙間の作り方とブラスの入り方がとってもセクシーでグッときます。歌い方やリズムの取り方は随分AORから遠いところにいるようにも思えるのに不思議です。


林;不勉強で、名前は聞いたことあったのですが、聞くのは初めてです。なんかすごくセクシーですね。うわあ、キャッチーで良いですねえ。


09: It's Not As Simple As That / Far Cry



洞澤;ドナルドフェイゲンを始め、スティーリー・ダン周りのミュージシャンが多数参加しているシンガーソングライターデュオFar Cryのアルバム『Far Cry』からの1曲。この曲以外にも美メロな曲が盛りだくさん。AORではおなじみのオクターブ重ねのコーラスが気持ちよい。この人たち、こんな名盤を出しているのにアルバムが1枚しかないというのが無念でならない。


林;これ、何かでジャケットだけは見たことあったのですが、こんなにカッコいいんですね。確かにスティーリー・ダンの香りはすごくしますが、これは洞澤さんの言うところの「オクターブ重ねのコーラス」のせいなのでしょうか。


10: When I'm With You / Marter



洞澤;最後に少し毛色の変わったものを。Marterという日本のアーティストなのですが、初め聴いたときは日本人とはにわかに信じがたいほど、声や歌い回し、グルーブが向こうのものでびっくりしました。これをAORというかは異論もありそうですが、このみぞおちのあたりにつき刺さるメロウなメロディラインとギターバッキングは、紛れもなく上質AORのそれだと思います。巷ではNeo Soulというジャンルに分類されているようです。


林;うわ、カッコいいですね。確かにこれはAORですね。日本人ですかあ、知りませんでした。すごく良い... さて、洞澤さん、この辺りでThe Bookmarcsのことをお話しいただけますか。


洞澤;10/11にフルアルバム「Bookmarc Music」がリリースされます。これまで配信リリースしてきた曲のリアレンジ・リミックスに新曲3曲を加えた渾身のアルバムになっていますので是非多くの人に聴いてもらいたいです。


【The Bookmarcs New album「BOOKMARC MUSIC」DIGEST】



林;アルバム、ほんと素晴らしいですね。今回の洞澤さんの選曲に「わかる!」と心震わせた方、たくさんいそうですが、これはThe Bookmarcsも是非、買ってほしいですね。


The Bookmarcs 
Official Site
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洞澤さん、お忙しいところどうもありがとうございました。The Bookmarcs売れると良いですね。
みなさんも是非、チェックしてみてくださいね。


さて、もうすっかり秋が深くなってきましたね。
そろそろコートやクリスマスのことも考える季節ですが、良い音楽は聴いていますか? 
それではまた来月、こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

bar bossa vol.73:bar bossa

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vol.73 - お客様:花崎章さん

【テーマ:自分の人生の10曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月は大和広告代表取締役の花崎章さんをゲストにお迎えしました。


林;いらっしゃいませ。早速ですがお飲み物はどういたしましょうか。


花崎;Nega Fuloでカイピリーニャをおねがいします。


林;ネガフロ、お好きなんですよね。かしこまりました。さて、お生まれと小さい頃の音楽の環境を教えていただけますか?


花崎;1969年。広島県の福山というところで生まれました。母親がクラシック好きで、とくに壮大なオーケストラものが大好物でした。胎教~乳幼児期まではよく聴いてたようですね。幼い頃ピアノを習ってましたが、リズムプログラムが使えるエレクトーンに俄然惹かれてしまい、途中からはヤマハエレクトーン教室に通ってました。


林;僕と同い年ですよね。ピアノからエレクトーン、わかります。最初のレコードは?


花崎;小学校時代はじめて買ったレコードは、たしかゴダイゴの「銀河鉄道999」だったと思います。


林;おっと、僕も999です。僕は映画のサントラでしたが。時代ですね。中学はどうでしたでしょうか。


花崎;中学に入学してからは洋楽をメインに聴くようになりました。FMをエアチェックして、気に入ったアーティストや楽曲を地元のレンタルレコード屋(YOU&I)で借りて、ライブラリを増やしていってましたね。当時はおおらかで、借りたレコードをそのまま近くのダイイチという地元の家電量販店に持ちこんで、友達と一緒に展示品のミニコンポでダビングしてそのまま当日返却させてもらってました。


林;ええ!


花崎;中学1から2年年頃はFMレコパルとFM STATION、その後高校生まではFM STATIONとFM Fanを愛読してました。鈴木英人さんのイラストを眺めては、アメリカ西海岸に自分が暮らしてるシーンなんかを妄想してたりしましたね。

中高生時代は、両親の会社の同僚の「関戸さん」というオーディオマニアの影響でハイファイオーディオに興味を持っていきました。自宅のオーディオルーム(納屋?)の屋根裏に吸音材詰めたり、扉に鉛入れたり、スピーカーの上にシーサーを置いたり、ウーファーとスコーカーとツイーターそれぞれに別のパワーアンプをかませて音の変化をよろこぶ。音楽ごとにカートリッジを替える。

そんな オーディオ変態の関戸さんの影響で、私は「ミノルムセン」というお店に出入りするようになりました。こうして私は中学生の分際で、おじさま達のじつに味わい深いオーディオ談義に触れる機会を得たのです。


林;林 なるほど。


花崎;このおかげでフュージョンへの興味が強くなってきました。カシオペアや松岡直也、渡辺貞夫、George Benson、Weather Report、Earl Klughなどをよく聴いてたと思います。 とくに重要なアーティストとの出会いはPaulinho da Costaですね。今考えると彼の「Sunrise」というアルバムがブラジルに興味を持つきっかけになりました。

とはいえ、基本は全米ポップチャートで、FM東京系列で放送されていたAmerican Top 40など聴きながら、徐々に好きなジャンルが絞り込まれていったように思います。当時はまだヒップホップがポップチャートに登場するのは稀でよく知りませんでしたが、RogerやCameoからファンク(ブラックミュージック)が好みの音楽だってことは高校生のときになんとなくわかってきました。


林;花崎さんの原体験で、オーディオでどう響くかって大きそうですね。さて高校を卒業してどうでしたか?


花崎;高校を卒業して東京に出てきました。志望大学には受からなかったんですが、もう気分が上京モードだったんですね。東京での浪人生活スタートです。

私が上京した1988年はちょうどJ-WAVEが開局した年でして、バイリンガルのMCと洗練された選曲で田舎者の私には衝撃でした。聴きまくってました。受験勉強どころではありません。とくに「サウージ サウダージ」はブラジル、中南米の音楽に本格的にのめり込むきっかけに。日曜日の夕方という時間帯も最高でしたね。


林;全く同じ時期に「サウージ サウダージ」聞きましたよ。


花崎;大学時代にはブラックミュージック界隈にハマりました。ちょうどニュージャックスイングとかニュースクールが流行っていて、やがて六本木に通うようになりました。Droopy Drawersやサーカスでよく踊ってましたね。帰りにはWinnersでお店でかかっていた曲を手に入れるのが定番コース。六本木までの定期が欲しくてバイト先も六本木にしちゃいました。

その後もっとラクに通えるバイト先を求めて、環八の近くにあったSomething Elseというライブレストランバーで働き始めました。ここでは毎日いろんなジャンルのバンドが入れ替わりでライブをやるお店で、バイトしながらいろんな音楽に触れられるいい職場でした。六本木より仕事ものんびりしてましたし。PAさんとも話す機会があって、あたらしい音楽について教えてもらえることもありました。

このお店でもやはりブラジリアンの魅力を再認識できましたね。出演者とオーディエンスとの濃密かつ独特な一体感がたまらないのです。まずはこのお店で知った音楽を千歳烏山のYou&Iで借りてみて、その中で本当に気に入った作品を少しずつ買い足していきました。当時の烏山You&Iには当時でいうところのワールドミュージックがなぜか充実していて、ほんとうに助かりました。


林;あの時期、レンタルCD店は本当に助かりましたよね。


花崎;社会人になって初めてのボーナスでターンテーブルとミキサーを買いました。ここから10年は給料の大半をレコードにつぎ込みました。

DMR,Record Finder,HotWax,El Sur,Ultraなどなどよく通ってましたが、そういえばBar Bossaのお店を知ったきっかけは、Mr.Bongoにあったフライヤーでしたね。以来20年林さんにはお世話になってます。


林;そうなんですよね。僕、Mr.Bongoに「フライヤーおいてください」って営業に行ったんです。それで来てくれたお客様、もしかして花崎さんだけなのかもです。でも今思うと、あの時、営業して良かったです。ところでこれからの音楽はどうなると思いますか?


花崎;未来読みというよりも希望を一言。新しい音楽との素敵な出会いが一人でも多くの人に一つでも多く訪れるようなディストリビューションを実現してほしい。個人的には、セレンディピティこそが音楽ファンにとって最大の醍醐味と思っています。


林;これからはどうされる予定でしょうか。


花崎;引き続き生きていきます。命あるかぎり。


林;生きましょう。さて花崎さんの選曲ですが、テーマは「自分の人生の10曲」ということですね。では行ってみましょう。


01. Mateo Stoneman / Sabor a Mi



花崎;なぜマテオのCDが我が家にあるのか?いつどのように知り、入手したのか?まったく記憶にございません。きっとどこかで酩酊ちゅうに聴き惚れたんでしょう。赤ワインでも飲みながらこの曲がかかったら、そりゃそうなるしかないですね。


林;あれ? 花崎さん、こういうロマンティックなのも聞くんですね。意外でした。


02. Lisa Ekdahl / I get a kick out of you



花崎;39:45あたり (※Spotifyでアルバムバージョンを聴くことができます。)
スウェーデンのブロッサム・ディアリー。と言われてるかどうかは知りませんが、とにかく彼女の声と歌い方はクセになります。
99年。東京での生活をひと区切りつけた私は、イタリアとフランスを2ヶ月間フラフラしていました。その道中、シチリア・パレルモのCDショップ店内でかかっていて即買いしましたね。そのショップの近所にある魚介の美味しいリストランテのおじさんを思い出します。


林;ああ、イタリア語を習って、ヨーロッパに行ってた時期ありましたね。なるほど、こういうの聞いてたんですか。


03. Maria Rita / Coracao a Batucar



花崎;ブラジルが誇る天才エリスとセーザル・カマルゴ・マリアーノの娘の彼女。いい曲はいっぱいありますけど、この曲のとくにライブDVD「O Samba em Min」でのパフォーマンスは観客との一体感、キーボードの渾身のソロなどなど身震いポイント多数。
CDじゃなく断然DVDがいいですね。CDは演奏終了後の観客の大合唱がカットされてます。


林;花崎さん、アナログレコードもDVDもスポティファイもYou&Iも全部、並列に使ってますね。僕としてはそれが花崎さんらしい感じがします。


04. Paulinho da costa / I'm going to Rio



花崎;オーディオ変態なおじさま方との交流のなかで、雑誌「オーディオアクセサリー」上のリファレンス音源として紹介された本作を発見。
ほのかに漂う程度のブラジル風味ですが、中学生(高校生かも)にはインパクト十分。いまに通じるブラジル音楽への入口になった、一生忘れられない作品です。当時発売された日本盤はパウリーニョ名義ではなくL.A.ザ・セッションというネーミングがじつに味わい深い。


林;10代にこれに出会ってるんですね。環境って本当に人によって違うものですね。


05. Guy / Groove me



花崎;いまやメガネ男子の私の知られざる過去といえば、元ダンサーだったってこと。
とくにニュージャックスウィングには格別の思い入れがありまして、テディ・ライリーには感謝してもしきれません。

バブルな六本木の夜にはNJSがいちばんハマります。しかし今あらためて観てみると...なんだかちょっと恥ずかしいな...


林;いやいや、同世代として全然恥ずかしくないですよ。やっぱりニュージャックスウィング、カッコいいです。キャッチーでクールですよね。これから何度も再評価くる音楽だと思います。


06. Roger / I want to be your man



花崎;高校生のころに聴き倒した曲です。たしか80年代から90年代にかけて何度かZappとして来日していて、2回ほど行きました。根っからのエンターテイナーですね。ロジャーとのコール&レスポンス、楽しかったなあ。

はじめて行ったZappのライブの帰り、一枚のフライヤーを受け取りました。これが、当時ディスコをたまり場に遊ぶ謎の集団Macro Clubに私が参加するきっかけになったのです。


林;ああ、僕もZapp好きでした。六本木で遊ぶ花崎さんが目に浮かびます。


07: De la Soul / Say No Go



花崎;ホール&オーツのわかりやすい元ネタで「あーヒップホップでこういうことなのね」ということを直感的にわからせてくれた曲です。ヒップホップなら断然ニュースクール。ニュースクールなら俄然デ・ラ・ソウルです。個人的に。クラブチッタ川崎のオールナイトイベントが懐かしい。


林;やっぱり同い年だとなにかと重なりますね。デ・ラ・ソウル、僕も大好きでした。


08: Luis Carlos Vinhas / Boss's Tres, Leny Andrade, Peru Ribeiro
Rio de Sol Maior- Rio- Coisas do Dia- Estamos Ai- Feitinho Pro Poeta- Garota de Ipanema




花崎;イパネマのヴィニシウスバーでルイス・カルロス・ヴィーニャス本人に会ったことがあります。たまたま宿泊したホテルの一階でパフォーマンスしていたミュージシャンに連れられていった彼のライブは素晴らしかった。ライブが終わると、とっても気さくに話してくれました。手売りのCDにサインもしてくれました。いい人でした。Gemini Vなどなど、彼がらみのメドレーは名演が多いですよね。


林;ルイス・カルロス・ヴィーニャスと話したことがある日本人って何人いるんでしょう。なんかいい人そうですね。


09: Marcos Valle / Nao pode ser



花崎;マルコス・ヴァーリが好きなもので、なにか選ばないわけにはいきません。
90年代後半にバールボッサによく来ていた東大軍団のひとり、◯◯君(不覚にも名前忘れちゃいました)とこの曲が好きだという話題で盛り上がったのを、なぜかよく覚えています。曲後半の空中自由に飛び回るような目眩く展開が気持ちいいですね。

そして同時に、林さんと一緒に◯◯君に会いに駒場祭に行ったことも思い出されます。あの日下北沢のカレー屋で汗噴き出して大爆笑された苦い思い出とともに。


林;それ、伊崎くんですね。東大法学部出て、東芝を辞めて、実家のお素麺の会社を継いでますね。このアルバムの最後の曲ですね。ほんと良い曲です。僕も確か一緒に盛り上がったの覚えています。さて、最後の曲ですが。


10: Jackie Paris&Anne Marie Moss / I believe in you/ You've made me so very happy



花崎;夫婦デュオ好き、ライブ好きの私としては選ばざるを得ないですね。
彼らやジャッキー&ロイのような夫婦デュオは、どんな曲を歌っても独特の親密感とか、多幸感を感じることができていいですね。どちらもおしどり夫婦だったに違いない。そのはずだ。たぶん。


林;なんか最後に含みがありますが、確かにこういう演奏、すごく多幸感ありますね。ライブ録音ならではです。


花崎さん、今回はお忙しいところどうもありがとうございました。誰にも選曲できない花崎さんならではの10曲でしたね。

花崎さんが代表を務める会社はこちらです。 
https://www.daiwa-ad.jp/


さて、みなさん、やっと9月になりましたがいかがですか。
まだまだ暑い日が続きますが、良い音楽を聴いて乗り越えましょう。
それではまた来月こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
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vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン


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1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
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