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2017年10月アーカイブ

JAZZ@HALL Vol.3:ライブ情報 / LIVE INFO

「100年の歴史に残るジャズの名曲を一流のアーティストたちの名演で聴く」、
というコンセプトによる休日午後のホール・コンサート、「JAZZ@HALL」の第3回目。

即興により今の空気感をまとうジャズ・スタンダードの数々。
改めて名曲の良さを知ることができることでしょう。


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【JAZZ@HALL Vol.3】

【詳細】
2017年、ジャズ・レコードは誕生100年を迎えました。「ジャズ」という語も、ジャズ・レコードと時を同じくして生まれたといわれます。ジャズ100年はまたセロニアス・モンク生誕100年です。特異なジャズ・ピアニストでありモダン・ジャズ史上最大の作曲家モンクは、生涯1917/10/10~1982/2/17)に数多くの名曲を残しました。

2部構成のコンサート後半の最初には、モンクの楽曲を現代感覚で演奏するブリリアント・モンキーズBrilliant Monkiesが登場します。西口明宏(サックス、アレンジ)、石若駿(ドラムス)ら俊英を集めたモンク100周年記念クインテットで、7月には同タイトルのモンク曲集を発表しました。さらに出演者は男性ジャズ・ミュージシャン人気ナンバー1のTOKU。唯一無二のヴォーカルとフリューゲル・ホーンを聴かせてくれます。ステージに華を添えるのが美女にして実力派女性ヴォーカリストのShanti。TOKUとデュエットも聴かせてくれるはずです。

そしてコンサートのオープニングはNYを拠点に活躍する大林武司のトリオ。熱いアンコールの声にお応えして、前回(Vol.2)に続く登場です。フィナーレの1曲は、セロニアス・モンクの代表作〈ラウンド・ミッドナイト〉の出演者全員による演奏を予定しています。

【日時】
2017年11月23日(祝・木) /15:00開場・15:45開演予定 (19:00終演予定)

【会場】
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
http://www.shibu-cul.jp/sakurahall

【出演者】
TOKU(ヴォーカル&フリューゲル・ホーン)/Shanti(ヴォーカル)
大林武司(ピアノ)スタンダード・トリオ feat. 石若駿
セロニアス・モンク生誕100周年プロジェクト"Brilliant Monkies"
by 西口明宏(サックス)、石若駿(ドラムス)、アーロン・チューライ(ピアノ)、吉峯勇二郎(ベース)

◇プログラム予定(演目は変更になる場合もございます)
枯葉
虹の彼方へ
スターダスト
スマイル
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
ラウンド・ミッドナイト
ストレート・ノー・チェイサー
ブリリアント・コーナーズ
他、おなじみの名曲が多数!そしてとっておきの新曲も...

【料金】
全席指定席¥6,300(当日¥6,800)
プレイガイド各種にて発売中

【詳細】
http://jazz-at-hall.somethincool.net/20171123

西島芳、市野元彦、外山明のトリオ、SONONI(ソノニ)は西島さんのオリジナル曲を
空間的な音色で描く個性的なトリオです。

今年の夏、パリのアーティストであるレティシア・べナットとの共作でデッサンと
写真のコラボレーション作品「SONONI+Laetitia Benat」を発売。
視覚と聴覚を刺激する本当に素敵な作品となっています。

そしてこのアルバムの発売記念ライブが決定。
関西を中心に活動されている西島さんの公演、この機会に是非足をお運び下さい。


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【Grand Night Out / SONONI】



西島芳(にしじまかおり;piano/voice/compose)率いるSONONIは、市野元彦(g)、外山明(drs)をメンバーとし、2013年より漸次的に活動してきたトリオ。西島のシンプルな自作歌曲に市野・外山が独自のアプローチで、あぶり出すように陰影を醸す。

ファーストアルバムとして、SONONIによる音楽と、パリ在住のアーティスト;レティシア・ベナによるデッサンと写真のコラボレーション作品「SONONI+Laetitia Benat(CD+A5版64ページのデッサン・写真集付き)」をリリース。


【アルバム発売記念ライブ情報】
10/30 (月)東京新宿ピットイン
open19:30 start 20:00
¥3000 1drink付き
新宿区新宿2-12-4アコード新宿 B1
http://www.pit-inn.com/index.html


11/4 (土)大阪大正studio Tbone
open18:30 start 1930
予約2,500円/当日3,000円+ 1drink order
フード;アンクル・アントの農園で採れた有機野菜のおばんさい
大阪市浪速区木津川1-2-6児島ビル1F
http://www.tbone.jp


11/5 (日) 神戸三宮100BAN HALL
open13:30 start 14:00
¥3000 1drink付き
神戸市中央区江戸町100番地
http://www.100ban.jp/studio/hall.html



SONONIアルバム情報

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Title : 『SONONI+Laetitia Benat』
Artist : SONONI
LABEL : NITECO STUDIO & MUSIC ARTS
NO : NS-0916
RELEASE : 2017.8.9
形態 : CD+A5版64ページのデッサン・写真集付き



アマゾン詳細ページへ


Music by SONONI
Drawing & Photo by Laetitia Benat

SONONI are;
西島芳/Kaori Nishijima (piano, voice) 
市野元彦/Motohiko Ichino (guitar)
外山明/Akira Sotoyama (drums)


【SONG LIST】
1.ちいさい'つ'のうた (Syllabic Song)
2.Grand Night Out
3.Missing airport
4.瑞雨 (zuiu)
5.Dawn
6.Evening -Sytrsö-
7.With a Heavy Rain


レーベルもしくはライブ会場でのお買い上げには、特典としてポストカード3枚セットを差し上げます。レーベルのショップはこちら。
https://media005.stores.jp



Monthly Disc Review2017.10.15:Monthly Disc Review

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Title : 『Disoriental』
Artist : Genzo Okabe



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<Challenge Records>というレコードレーベルをご存知だろうか。

古くはEnrico PieranunziやBob Brookmeyer、Clark Terryなども録音を残したこのレーベルは、1994年にオランダで設立された。ジャズとともにクラシックも扱うこのレーベルは、透明感のある録音と美しい装丁でヨーロッパジャズファンのあいだではにわかに注目を集めている。近年の秀作として、ジャズ批評』で≪ジャズオーディオ・ディスク大賞2015≫ ヴォーカル部門を受賞したChiara Pancaldi『I Walk A Little Faster』(CR 73409)、Kenny WheelerとNorma Winstoneが参加した『The Banff Sessions - A Tribute to Kenny Wheeler』(CR 73403)、ポーランドのピアニストMaciej Tubisによるトリオ作『The Truth』(CR 73445)が記憶に新しい。


そんなChallenge Recordsのカタログを眺めていたら、日本人のリーダー作を見つけた。それが今月の紹介作品Genzo Okabe(岡部源蔵)『Disoriental』だ。


東京出身のアルトサックス奏者:岡部源蔵は、幼少期からクラシックピアノを学び、15歳でサックスを手に取る。イタリアのペルージャ国立音楽院でクラシック・サックスを、オランダのハーグ王立音楽院で今度はジャズ・サックスを学んだという経歴を持つ。2009年に結成されたこのバンドでは、OAP Recordsからすでに2枚のアルバムが出ており、今作が3枚目のアルバムとなる。


艶やかなトーンから熱気あふれるブロウまでシームレスに変化するサックスの音色の美しさにまず耳がいく。コンテンポラリージャズの「Castroni」、高速16ビートの「Ningyo」、ストレンジなリフがループする「Sms」、ルーズなブルースの「Still Blues」とリズム構造も多彩。タイトル・チューンの「Disoriental」ではサックスに掛けられたディレイと、ダークなトーンのピアノとの組み合わせによって、不思議なアトモスフィアを醸し出す。

ジャズとクラシック、日本とオランダという垣根を越えて届けられたこの作品。そう考えると、タイトルの『Disoriental』も意味深長だ。


文:花木洸 HANAKI hikaru


【Okabe Family - Castroni @ Bimhuis 11.03.2017】



GENZO OKABE 岡部源蔵 Official



Recommend Disc

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Title : 『Disoriental』
Artist : Genzo Okabe
LABEL : CHALLENGE
NO : OCR73442
RELEASE : 2017.10.3



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【SONG LIST】
01. Opening
02. Castroni
03. Stepped on the Sheet
04. Go Sleep
05. Ningyo
06. SMS
07. Still Blues
08. Disoriental




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【Okabe Family Japan Tour 2017】
10/17 Osaka Mister Kelly's
10/18 Yokohama Motion Blue Yokohama
10/20 Tokyo Pit Inn
10/21 Hitachi George House
10/22 Atsugi Cabin


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

2015.04 ・2015.05 ・2015.06 ・2015.07 ・2015.08 ・2015.09 ・2015.10 ・2015.11 ・2015.12 ・2016.01 ・2016.02 ・2016.03 ・2016.04 ・2016.05 ・2016.06 ・2016.07 ・2016.08 ・2016.09 ・2016.10 ・2016.11 ・2016.12 ・2017.01 ・2017.02 ・2017.03 ・2017.04 ・2017.05 ・2017.06 ・2017.07 ・2017.08 ・2017.09




Reviewer information

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

オマール・ソーサ、トリオによるJAPAN TOUR決定!:ライブ情報 / LIVE INFO

キューバ出身のピアニスト、オマール・ソーサが新作を引っ提げて日本ツアーを開催します。

アルバムで共演しているセネガル出身のコラ奏者、セク・ケイタ、
そして、ベネズエラ人のラテン打楽器奏者、グスターボ・オバージェスとのトリオによるライブ。

10月21日は徳島県の「拝宮農村舞台」、10月22日は、ピーター・バラカンさんのイベント『Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2017』 、そして10月24日のラストは東京「晴れたら空に豆まいて」にてライブを行います。

グスターボ・オバージェスのパーカッションが加わると、より奥行きがでて華やかに。
公演本当に楽しみです。


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【 OMAR SOSA & SECKOU KEITA
feat. Gustavo Ovalles JAPAN TOUR!】

キューバ、セネガル、ベネズエラから実力派が結集! 鬼才たちによる透明感溢れる「音」の対話


キューバ出身のピアニスト、オマール・ソーサはジャズとアフロ・キューバンを基軸にヒップホップからアフリカやアラブまで多様な音楽との邂逅を重ね、既に7回のグラミー賞ノミネートを含む30枚近いアルバムを発表する実力派。ダイナミックな表現力とハイブリッドなサウンド・スタイルは、注目を受ける新世代キューバ人演奏家たちの先陣を常に切ってきた。来日公演多数。セネガル出身のセク・ケイタは、アフリカの伝統楽器で、ひょうたんで出来た胴に弦を共鳴させて神秘的な音色を出すコラの名手。グリオと呼ばれる世襲制伝統音楽家の名門の家系に育ち、7歳から演奏をスタート、現在までに6枚の作品を発表。ロンドンを拠点にコラとアフリカ音楽の魅力を世界中に発信している。ベネズエラ人の打楽器奏者、グスターボ・オバージェスは、オマール・ソーサと何度も共演を重ねてきたラテン・リズムのマスター。その驚異のテクニックは必見です!


【日程】
2017年10月21日(土)
Kaminaka Republic Kagome October Session  
徳島・拝宮農村舞台
徳島県那賀郡那賀町拝宮字白人谷1(白人神社境内)
詳細


2017年10月22日(日)
Peter Barakan's LIVE MAGIC!
恵比寿ガーデンプレイス
詳細


2017年10月24日(火)
晴れたら空に豆まいて
詳細


【OMAR SOSA & SECKOU KEITA - DARY】



ツアー詳細(晴れたら空に豆まいて)

ピアニスト/プロデューサーのSWING-O さんがナビゲートするJJazz.Netの番組
「RADIO CST ウタウピアノ」のSpecial LIVEが10月21日(土)、
岡山県・イオンモール倉敷 1F セントラルコートで開催。

出演は、SWING-OさんとアシスタントのEmily Stylerさん、
そして先日ゲスト出演してくれた片木 希依(jizue)さん。
DJタイムもあります。

観覧は無料!
イベント終了後にCasio Sound TraditionのInstagramアカウントを
フォローしてくださったお客さまには「ウタウピアノ CD」(非売品)をプレゼント!!

お近くの方は是非足をお運び下さい。

「Radio CST ウタウピアノ Powered by CASIO」
//www.jjazz.net/programs/casio/
毎月第4水曜日17時更新


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【RADIO CST ウタウピアノ Special LIVE】

メロディーが歌うソウルなピアノミュージックの良曲をセレクト&その魅力に迫るトークを展開。実力派ピアニストをゲストにお迎えしてレアなセッション、生演奏をお楽しみください。使用しているCELVIANO Grand Hybridの素晴らしさもお届けいたします。


【タイトル】
RADIO CST ウタウピアノ Special LIVE


【日時】
2017/10/21 (土)
(1)13:00~13:30(2)15:00~15:30


【出演】
SWING-O [Piano]
片木 希依 [Piano]
Emily Styler [Vocal]
Ryosuke Yokoyama [DJ]


【場所】
イオンモール倉敷 1F セントラルコート


【料金】
無料


◆イベント終了後にCasio Sound TraditionのInstagramアカウントをフォローしてくださったお客さまには「ウタウピアノ CD」(非売品)をプレゼント!!
※先着100名さま限定


◆お問い合わせ先
島村楽器株式会社イオンモール倉敷店
TEL:086-430-5666
担当:有馬(アリマ)


【RADIO CST ウタウピアノ Special LIVE】(イオンモール倉敷)

bar bossa vol.74:bar bossa

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vol.74 - お客様:洞澤徹さん(The Bookmarcs)

【テーマ:今昔の心踊るAOR曲10選】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月は10月11日にデビューアルバムが発売されるThe Bookmarcsの洞澤徹さんをゲストにお迎えしました。


林;いらっしゃいませ。早速ですが、お飲物はどうされますか?


洞澤;モヒートをお願いします。


林;かしこまりました。では、お生まれと小さい頃の音楽環境を教えていただけますか?


洞澤;1971年に東京都日野市で生まれました。兄と姉がいて洋楽が好きだったので、その影響で洋楽を聴くようになりました。当時はノーランズとかABBAとかクイーンのレコードが家にあってよく聴いていました。楽器も兄が持っていたクラシックギターで遊んでいたのが始まりです。


林;なるほど。僕も69年生まれなのでその感じわかります。ギターもクラシックギターでしたよね。最初に買ったレコードは?


洞澤;自分で初めて買ったレコードはワム!の『ファンタスティック』(1983年)というアルバムです。町の小さなレコードショップで「ワム!」ありますか?と聞いたら「雅夢」を出された切ない思い出があります。


林;(笑)なるほど。12歳で洋楽なんですね。その後、中学にあがるとどうでしたでしょうか?


洞澤;中学でハードロックバンドを組みました。僕はギターを担当。ラウドネスとかアースシェイカーなどのコピーをしていました。ギターソロが難しくて、雑誌『プレイヤー』のTAB譜を見ながら必死にカセットテープを聴いて練習したのを覚えています。マイケル・シェンカーの「キャプテン・ネモ」という曲は今でも弾けると思います。


林;中学でバンドですか。東京はやっぱりすごいですね。ラウドネスやアースシェイカー、僕も高校の時、バンドでやりましたよ。


洞澤;当時の情報源はとにかくラジオで、ラジオ番組雑誌『FMステーション』は欠かさず読んでましたね。鈴木英人さんデザインの表紙が印象的でした。付録のカセットテープインデックスカードが嬉しかったのを覚えています。


林;やっぱり同世代だと「エアチェック」はしていますね。高校卒業後はやっぱりミュージシャン志望だったのでしょうか?


洞澤;ミュージシャン志望ということはまったくなくて、でも音楽は好きでしたからオリジナルのポップスバンドをやっていました。大学時代はとにかくバイトばっかりしていました。剣道をやっていたので道場で少年指導とか、パン工場や、コンビニなどなどとにかくたくさん。
音楽に触れるような仕事はしてなかったですね。音楽に関してはちょっとはすに構えているようなところがあって、大学の音楽サークルとかは意味もなく敬遠していたねじれた青年でした。


林;そうなんですか。中学の頃にバンドをやっていたのに意外ですね。


洞澤;大学の近くにジャニスという有名な貸レコ屋があったのでよく通っていました。ソフトロックのコーナーは棚借りしたり(棚に置いてあるソフトロックコーナーの端から端まで何度かに分けて全部借りる)してました。


林;ジャニスって確実に東京の音楽を変えていますよね。僕ももう少し後になってからですが、一時期通いました。The Bookmarcsはどういうきっかけで始められたんですか?


洞澤;今やっているThe Bookmarcsのスタイルは、僕がとあるイベントの打ち上げ会場でビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」を歌っている近藤くんを見て、声に惚れてナンパしたのがスタートです。僕は女性ボーカルユニットばかりやっていたので男性ボーカルユニットは新鮮でした。それからは、近藤くんの声質で歌ったら面白いだろうなという曲を作り続けています。


林;なるほど。男性ボーカルとの出会いっていうのが大きいんですね。録音でこだわられているところは?


洞澤;今は音楽の仕事を始めてから17年ほどですが、どんどんPCの性能が上がり音源も含めてほとんどPCで作れてしまうのでシンプルな仕事場になりつつあります。ただ、僕は打ち込みだけで成り立っているトラックがあまり好きではないので、ギターなど弾ける楽器はだいたい生で入れます。以前からコツコツ練習しているトランペットも最近は録音にちょいちょい使うようになりました。目下の目標はサックスも習得して一人多重録音でブラスセクションを入れるようになることです。


林;え、一人ブラスセクションですか。すごい野望ですね。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


洞澤;制作側の観点で言うと、プロとアマチュアの境がどんどん曖昧になってきてますね。みんなにチャンスがある分、職業作曲家みたいな立ち位置がだんだん難しくなってきています。サラリーマンの人も、他に職を持っている副業ミュージシャンもクオリティが高い人は本当にたくさんいて、PCやソフトの進歩でリリースレベルのものが誰でも作れるようになってきています。得意分野にフォーカスを絞れば、プロ混在でも誰でも勝負できるということです。音楽を職業としている身としては、面白くなりつつもいっそう緊張感が高まる昨今です。


林;なるほど。


洞澤;また、CDが売れないとか、配信では儲からないとか言われて久しいですが、これだけカジュアルに誰でもクオリティの高い動画制作が安価でできて世界に見せたがっている人がごまんといる状況を考えると、映像音楽という意味で決して音楽の需要がなくなっているのではなくむしろ高まっているのは明白です。素人だけど才能ある動画制作者とそこらへんでどう絡んでいけるかというのも地味な話ですがワクワクするとことです。


林;前向きでいいお話ですね。これからはどうされるご予定ですか?


洞澤;まずはThe Bookmarcsを世間に広めていきたいです。この音楽を絶対に待っててくれている人が大勢いると信じてます。仕事面では、映画音楽・映像音楽を今までよりもっともっとやっていきたいです。そのための準備もいろいろしてきましたし。
それと(気が多いのですが)面白い歌の人がいたら男女問わずどんどんプロデュースしたいですね。僕の周りの才能あるミュージシャンやデザイナーや写真家に協力してもらって僕ならではのプロデュースで打ち出していきたい思いはあります。


林;なるほど、楽しみですね。それではみんなが待っている選曲にうつりましょうか。テーマは何でしょうか?


洞澤;「今昔の心踊るAOR曲10選」です。


林;お、良いですねえ。ではいってみましょう。


01. On and on / Stephen Bishop



洞澤;The Bookmarcsを結成するときにまずこの曲が浮かんで、この柔らかなテイストで近藤くんの声質に合った曲を作ろうと思いました。大好きな曲は何かと聞かれたらまず答える曲です。アコースティックギターのアルペジオと右チャンネルから聴こえる浮遊感あるスティールギターがこの曲の世界観を作っています。


林;名曲ですよね。なるほどこの曲が最初のイメージですか。あ、確かにスティールギターが浮遊感を作ってるんですね。こういうのちゃんと言われないと僕みたいな素人のリスナーは気が付かないものですね。


02. Dondi / Ed Motta



洞澤;その名もずばりな『AOR』というアルバムからの1曲。相当マニアックな音楽ファンのエヂ・モッタならではのAOR曲。
イントロの艶っぽいギターフレーズからグッときますが、やっぱり16フィールのドラムグルーブに時折入る甘いブラスがたまりません。あと、この手の曲に欠かせないのがベースの手数少なめのどっしり感とたまに入るおかずのフレーズです。他にもエレピのグリッサンドとかブラスに重ねたフルートとか、各楽器のAORフレーズ図鑑みたいな曲です。


林;なるほど。プロはそういう聞き方をするんですね。エヂ・モッタはそういう聞き方をするとすごく面白いんですね。洞澤さんの聞き方が面白くなってきました。


03.Show You The Way / Thundercat



洞澤;ケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドをフィーチャーした僕にとってはボーカルヒーロー二人の完璧なバランスの曲。現在32歳のサンダーキャットが2人を起用するという流れがまず面白い。定番のオクターブユニゾンのパートが美しくてグッときますが、何と言っても後半のバースからのマイケル・マクドナルドの歌が最高です。かなり複雑なアレンジなのですが嫌味に聴こえないところがさすが。


林;アメリカってこういう風に世代間の受け渡しみたいなのが羨ましいですよね。そうかあ、これ確かにすごく複雑だけど嫌味に聞こえないって感じですね。ふむふむ。


04. Bags & Things / Dennis Lambert



洞澤;暖炉の写真のアルバムジャケそのままに、とっても温かみを感じる曲です。ワンコーラス50秒、全体でも3分弱と短い世界の中で、ストーリーのダイナミクスが感じられるところが良いですね。歌い出しの美声から心躍ります。2コーラス目のストリングスとともにリズム隊も静かに熱くなるところなんかはグッときます。


林;洞澤さん、本当に曲の構成の「どこが人の気持ちを揺り動かすのか」という個所をつかむのが上手いですね。ほんと、仰る通りです。


05. Toledo / Elvis Costello, Burt Bacharach



洞澤;僕にとって最高の大人の男性ボーカルユニットといったらこのコンビがまず浮かびます。なんかもう世界が違います。ここまでに成熟した音楽をいつかやりたいなぁ。何と言っても美メロに美声。必要最低限の音の厚みとアレンジ。イントロや間奏に入る柔らかでさりげないフリューゲルホルンの響きが大人の男の色っぽさを醸し出していて好きです。


林;この二人がやるって知った時、びっくりでしたよね。僕は実はかなり不安でしたが、こんなにはまるんですよね。


06. 私自身 / いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー



洞澤;日本の曲からセレクト。『アワー・コネクション』というアルバムの1曲。このアルバムはどれも素晴らしいのですがYouTubeに上がっていたのはこの曲のみでした。何でしょうこのホッとする歌声。"語り"から歌に入る手法なんかは、AORとするのはかなり拡大解釈な気もしますが、何とも心躍る曲です。演奏がティン・パン・アレイ。鈴木茂さんのギターのグルーブも大好きだなぁ。シンセリードの使い方も個人的にツボです。


林;ごめんなさい。勉強不足で知りませんでした。すごくカッコいいですね。レコード見つけたら買ってみます。高そうですね。


07: Out Of The Past / The fifth avenue band Feat. KENNY ALTMAN & MICHAEL THOMPSO
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洞澤;今回紹介しきれませんでしたが大好きなピーターゴールウェイが所属していたバンド。1枚目の『Fifth Avenue Band』も傑作だけど本作もAOR色が増してとても好み。アルバムが発売されたのが1990年なので、リズムやエレピの音色はもろに時代を反映してはいますが、譜割の少ないAメロのメロディの彷徨い方とサビに入った時の切なさの爆発感はこの上なく上質なAORです。


林;フィフスアベニューバンド、この流れだとすごく大好きそうですが、こっちのアルバムの方を選ぶのが洞澤さんですね。もうわかってきました(笑)。


08: Butterfly /Jason Mraz



洞澤;ジェイソン・ムラーズはAORの印象は正直なくて、この曲にしてもむしろファンクやソウルのイメージですが、僕からすればとてつもなく心躍るAORを感じるのがこの曲です。メロディはサビなどめちゃめちゃ歌謡な要素満載ですが、隙間の作り方とブラスの入り方がとってもセクシーでグッときます。歌い方やリズムの取り方は随分AORから遠いところにいるようにも思えるのに不思議です。


林;不勉強で、名前は聞いたことあったのですが、聞くのは初めてです。なんかすごくセクシーですね。うわあ、キャッチーで良いですねえ。


09: It's Not As Simple As That / Far Cry



洞澤;ドナルドフェイゲンを始め、スティーリー・ダン周りのミュージシャンが多数参加しているシンガーソングライターデュオFar Cryのアルバム『Far Cry』からの1曲。この曲以外にも美メロな曲が盛りだくさん。AORではおなじみのオクターブ重ねのコーラスが気持ちよい。この人たち、こんな名盤を出しているのにアルバムが1枚しかないというのが無念でならない。


林;これ、何かでジャケットだけは見たことあったのですが、こんなにカッコいいんですね。確かにスティーリー・ダンの香りはすごくしますが、これは洞澤さんの言うところの「オクターブ重ねのコーラス」のせいなのでしょうか。


10: When I'm With You / Marter



洞澤;最後に少し毛色の変わったものを。Marterという日本のアーティストなのですが、初め聴いたときは日本人とはにわかに信じがたいほど、声や歌い回し、グルーブが向こうのものでびっくりしました。これをAORというかは異論もありそうですが、このみぞおちのあたりにつき刺さるメロウなメロディラインとギターバッキングは、紛れもなく上質AORのそれだと思います。巷ではNeo Soulというジャンルに分類されているようです。


林;うわ、カッコいいですね。確かにこれはAORですね。日本人ですかあ、知りませんでした。すごく良い... さて、洞澤さん、この辺りでThe Bookmarcsのことをお話しいただけますか。


洞澤;10/11にフルアルバム「Bookmarc Music」がリリースされます。これまで配信リリースしてきた曲のリアレンジ・リミックスに新曲3曲を加えた渾身のアルバムになっていますので是非多くの人に聴いてもらいたいです。


【The Bookmarcs New album「BOOKMARC MUSIC」DIGEST】



林;アルバム、ほんと素晴らしいですね。今回の洞澤さんの選曲に「わかる!」と心震わせた方、たくさんいそうですが、これはThe Bookmarcsも是非、買ってほしいですね。


The Bookmarcs 
Official Site
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洞澤さん、お忙しいところどうもありがとうございました。The Bookmarcs売れると良いですね。
みなさんも是非、チェックしてみてくださいね。


さて、もうすっかり秋が深くなってきましたね。
そろそろコートやクリスマスのことも考える季節ですが、良い音楽は聴いていますか? 
それではまた来月、こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林伸次


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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

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■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

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【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

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■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

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「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

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bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
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