feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

2018年5月アーカイブ

My First Jazz Vol.2-ai kuwahara:My First Jazz

Title : 『MUSIC』
Artist : Michel Petrucciani

michelpetrucciani500.jpg


「Michel Petruccianiの"Music"は、私の今までの音楽人生で最も影響を受けた作品のひとつです。高校1年生の夏、当時Petrucciani氏を知らなかった私に、師匠であるユキ・アリマサ先生は『君は絶対彼を気に入るよ』と言い、まずは"Music"を聴くよう薦めてくれました。

小さな頃から、本当に素晴らしい様々なアーティストさん、ピアニストさんを聴いてきて『すごいなぁ...』と思ったことは数え切れない程ありました。ですが、彼の音楽に触れた瞬間まず思ったことは、『こんな音楽を奏でる人は、どんな人だろう』でした。音を聴いて『会いたい』と思うその感覚が、生まれて初めてだったのです。そして、私の中でその感覚は、当時からものすごく大切なものでした。

それからは、彼の音楽を漁る日々でした。少しでも触れたくて近づきたくて、聴きすぎて、彼の奏でたアドリブも今ではかなり弾けるようになりました。Petruccini氏には、音のすみずみまで、彼特有の意思のようなものがあると思います。テクニックや知識はもちろんですが、伝えたい気持ち、今しかだせない想いが「もうわかったよ」ってくらい、ビシビシ伝わってきます。最高にJAZZだと思う。

今でも彼の音楽から学び、自分がどんなピアニスト、アーティスト、人間になりたいか、いつも道しるべをしてくれます。もう大好き。ありがとう。やっぱりライヴを経験できなかったことが、死ぬほど悔しいなぁ。」

桑原あい

Ai Kuwabara Official


【Michel Petrucciani - Looking Up】




My First Jazz

michelpetrucciani200.jpg

Title : 『MUSIC』
Artist : Michel Petrucciani
LABEL : Blue Note
発売年 : 1990年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.Looking Up
02.Memories Of Paris  
03.My Bebop Tune
04.Brazilian Suite #2
05.Bite
06.Lullabye
07.O Nana Oye
08.Play Me
09.Happy Birthday Mr. K.
10.Thinking of Wayne



Monthly Disc Review2018.5.15:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


Title : 『ふるさと』
Artist : 佐藤洋祐✕ヤン・ラングレン



furusato500.jpg


グレゴリー・ポーターのバンドで日本人がサックスを吹いているのを観た時は驚いた。


佐藤洋祐は東京都出身。いくつかの楽器を経て大学卒業後にアルトサックスに転向し、北海道でプロとして活動をスタートした。2008年には渡米しグレゴリー・ポーターのバンドに参加。数々のジャズフェスティバルに出演し、アルバムでは『Water』(2010)、『Be Good』(2012)、『Liquid Spirit』(2013)、『Take Me to the Alley』(2016)に参加と、まさにデビューからグラミー賞受賞までグレゴリーのキャリアに寄り添ってきた人物だ。現在はバンドを離れ、帰国。千葉県を中心に活動している。


今作はそんな彼がスウェーデンのピアニスト、ヤン・ラングレンとのデュオで録音した作品。「ヤシの実」、「ふるさと」、「ずいずいずっころばし」などの童謡から、多くの歌手にカバーされる財津和夫の名曲「切手のないおくりもの」など、誰もが聴いたことのある楽曲で構成された全9曲。モーダルにアレンジされた「かごめかごめ」、スウィングの「七つの子」などアレンジも豊富だ。


日本の楽曲を題材にしながら、ゲーム的なバップスタイルではなくメロディを重視して独自のラインを紡いでいく様子は、近年のヤン・ラングレンのスウェーデンのトラッドな音楽に着目している姿勢と上手くクロスしているようにも思える。雰囲気としてはノスタルジックでありながら、どんどん新しいハーモニーをつけていくヤン・ラングレンのピアノとそれに反応していく佐藤のサックスが溶け合っていく様には、熱量と美しさの両方を感じずにはいられない。


文:花木洸 HANAKI hikaru


佐藤洋祐
Jan Lundgren



Recommend Disc

FURUSATO.jpg

Title : 『ふるさと』
Artist : 佐藤洋祐✕ヤン・ラングレン
LABEL : MOCLOUD RECORDS
NO : MCLD-011
RELEASE : 2018.4.27



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
1.みかんの花咲く丘
2.ヤシの実 
3.かごめかごめ
4.ふるさと
5.七つの子
6.ずいずいずっころばし
7.浜辺の歌
8.海
9.切手のないおくりもの




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

jtnc4450.jpg

■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

アマゾン詳細ページへ


毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

2015.04 ・2015.05 ・2015.06 ・2015.07 ・2015.08 ・2015.09 ・2015.10 ・2015.11 ・2015.12 ・2016.01 ・2016.02 ・2016.03 ・2016.04 ・2016.05 ・2016.06 ・2016.07 ・2016.08 ・2016.09 ・2016.10 ・2016.11 ・2016.12 ・2017.01 ・2017.02 ・2017.03 ・2017.04 ・2017.05 ・2017.06 ・2017.07 ・2017.08 ・2017.09 ・2017.10 ・2017.11 ・2017.12 ・2018.01 ・2018.02 ・2018.03 ・2018.04




Reviewer information

hikaru500.jpg

花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

Akira Nakamuraメールインタビュー:インタビュー / INTERVIEW

180504.jpg


現在ベルリンを拠点に活動する日本人ドラマー、Akira Nakamura。
バークリー音楽大学を2001年に卒業後、フリーランスのドラマーとしてアメリカで活動をスタート。上原ひろみ、Big Yuki、ハナレグミ、Monday満ちる、Marterとの共演、そして自身のバンドでは独自の世界観で表現する異色のドラマーです。

そんな彼が率いる"東京"をテーマにしたバンドTrickstwart Bandのリリース記念ライブが6月に決定。

今後、ますます注目されるであろうAkira Nakamuraとはどういう人物なのか?
来日を前にメールインタビューでお答えいただきました。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


【Akira Nakamura メールインタビュー】


■いわゆるジャズのメインストリームというよりは独自の活動をされている印象があります。ご自身が目指している音楽スタイルを教えてください。

[Akira Nakamura]
サウンド面のスタイルは、僕は自分の楽曲を演奏するバンドを3つ持ってるのですが、バンド別ではっきり分けています。Trickstewartでは、ロック、ファンク、エレクトロ寄りのサウンド。今回のアルバム"櫂"のミックスでは、生音中心かつそれプラスαを目指してたので、お願いする時はリファレンスとしてRadioheadの"the King of Limb"、Me'shell Ndgeochelloの"Comet ,Come to me"、 D'angeloの"Voodoo" などを持って行きました。

作曲のスタイルとしてはthough composed (繰り返しが出てこない)が好きで、そういう曲が多いです。そこに即興の要素も組み込みます。ジャズスタンダード的な方法(ヘッドー即興ーヘッド)の曲も書きますが、感じたことを曲にしようとすると(生活の中から感じたことを曲にすることが多い)繰り返しがない流れになることが多いです。


■NY時代はBig YukiさんやTakさん(田中拓也)とのJP3としても活動。このバンドについて教えてください。またその当時について振り返ってもらえますか?

[Akira Nakamura]
JP3はまだボストンに住んでた時です。YukiもTakくんも仕事、私生活共に仲良くしてて、常に近くにいて"何がかっこいいか"を話しあったり演奏しあったりしてました。なのでバンドやろうぜ!ってよりかはお互いに試したいことを試す仲間だったかなと。オリジナル曲をつくる作業はもちろんの事、フレディー・ハバードのskydiveとかハービー・ハンコックのButterflyなどのスタンダードな曲のアレンジ作業もとても楽しかったですね。誰かが一本線を描いたらそこから繋げていく絵の描きあいというか。当時からエレクトロが好きな3人だったのでJungle, House, 2 step など生演奏で曲に盛り込んでいました。

あと当時デビット・フュージンスキーと演奏してた時期で、彼は新しいビートないか??とよく聞いてくる探究心旺盛な方で、その影響もあって聞いたことのないビートをつくる、という発想からできた曲もありました。ライブも楽しかったですね、アレンジの時と同じように、絵の描きあいから常にお互いへのサプライズもあって。最近でもYukiと会うと、そのうちまたやろうね、なんて話しています。


■東京をテーマにしたバンドTrickstwart Bandを結成。
このバンドを結成した理由。そして体現している"東京"の音とは?

[Akira Nakamura]
Trickstewart Band は2009年に僕が東京に引っ越してから始めたもので、バンドというより僕個人のプロジェクトです。メンバーは1枚目のアルバムと2枚目ではほぼ違います。Bandとつけているのは、例え短い時間の付き合いだとしても、さも長年一緒にやっているバンド仲間の様に心をオープンに向き合いたいという僕の思いからです。

このプロジェクトをやり始めた理由は大きく2つあります。1つは、単純に東京での経験を元に書いた曲たちをここに暮らしている大好きなミュージシャンと演奏したいという思い。もう1つは、東京で暮らしているミュージシャンたちの音楽との向き合い方を感じたいということ。自分の曲を一緒に演奏してもらうと、言葉のコミュニケーション以上にその人たちを感じられることがありまして。

"東京の音"の体現ですが、あるサウンドを目指すという行動ではなくて、東京に住んでいる人たちで一つの表現をすること自体が体現している状態なのかなと思ってます。生活と音楽はごまかせないくらい直結していると思ってるもので。そういう意味で"東京の音"はメンバー、組み合わせ次第で限りなくあると。ちなみに僕の中では東京のミュージシャンたちに共通する"東京の音"があると感じてます。言葉では説明できないんですけどね。今度それを題材に作曲して音楽で表現してみようかな。


■2018.2月にTrickstwart Bandのセカンドアルバム『櫂』をリリース。
全曲オリジナルの今作のテーマは?象徴的な一曲がありましたら理由も含めて教えてください。

[Akira Nakamura]
テーマは、100%の個性に乗っかる100%の協調性。
今回のアルバムは音楽だけがテーマの矛先になってなくて、アルバムをリリースするという行為全体を一つのプロジェクトとして捉えています。録音時のそれぞれの演奏だけでなくミックスエンジニア、マスタリングエンジニア、アルバムジャケットの画家、ミュージックビデオの監督まで関わる人たちみんなを含めたプロジェクト。

それぞれが100%自分の表現をしながら他の創造心もしっかり思いやる。今回それをジャンルを超えて試しました。メンバーの演奏、アルバムの音の出来はもちろんのこと、ジャケットの絵(小西博子/画家)、MVの映像(高山耕平/映画監督)まではるかに自分の想像を超えたアンサンブルが生まれたと自負してます。


【AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band feat. 高山康平(映画監督)/Kohei Takayama 】



象徴的な1曲はアルバム1曲目の「7/23/08 19:20-7/24/08 Morning」です。高山耕平さんにも、小西博子さんにも、音楽に寄らずに100%あなたの創造をしてほしいとお願いしました。音楽を聴きながら両方眺めてみてほしいです。また、新たな芸術の楽しみ方に出会うかもしれません。


■現在ベルリンを拠点に活動されていますが、ベルリンをベースにするようになった経緯、
また現地のジャズシーンはどんな感じでしょうか?

[Akira Nakamura]
僕は音楽に携わりながらいろんなところに住む理由の1つに、将来ふるさとの沖縄で音楽学校をはじめるためというのがあります。常々音楽は文化の一部だなと思うことがありまして、西洋の音楽をもっと知りたいならまずはその文化に身を置くことから始めよう、というのがキッカケです。

なぜベルリンかというと、もともとヨーロッパのどこかの国に住む計画は立てていて、2013年に下調べに来たときにこの街のあり方がとても刺激的だったんですね。新しさもあり、古さもあり。その両方が自由に共存しているというか。全く新しい感覚でした。それとその滞在時に見た二つのクラシックのコンサートもここへ住むと決めた大きな理由になっています。サイモンラトル指揮のベルリンフィルとダニエルバレンボイムのピアノのコンサート。その感動を細かく書きたいのですが長くなるので(笑)、とりあえず、自分の経験を完璧に超越した創造、とでも言っておきます。「聞いてる時、幽体離脱した!」とまわりによく話してます。そんな音楽を当たり前のように生活の一部にしてみたいと強く思いました。

ここのジャズシーンですが、びっくりするくらい活気があります。実験的ジャズからスタンダードなものまで。ジャズのジャムセッションも毎日どこかでやっていて、ドアチャージとかないってのもあると思いますが大体どこも満杯です。ジャムセッションによっては楽しそうに踊ってるお客さんも度々みかけます。


■6/12にMotion Blue YOKOHAMAで開催されるリリース記念ライブについて教えてください。どんな内容になりますか?

[Akira Nakamura]
6月12日の内容はアルバム収録曲全曲と1枚目のアルバムから数曲、そして未収録の曲もやる予定です。録音が1年以上前のことなので、あの時の演奏をおっかけるのではなく、いまの僕らをジャムり合いましょう、とメンバーで話しています。


■最後に今年夏以降の予定について教えてください。

[Akira Nakamura]
Trickstewartの予定はまだ未定ですが、僕個人としては今年の夏から秋にかけてはベルリンローカルの仕事から、ドイツの他の都市、ウクライナやベルギーなどへも演奏に行く予定です。ユーロ圏内だとローカルギグかのようなノリで違う国での仕事がくるのが刺激的です。あと、冬にはぼくのジャズ・アコースティック寄りの楽曲を演奏しているバンド、Element of the Momentのツアーを日本でやりたいなと思ってます。あとは沖縄ではじめる学校のカリキュラム作りも始めていこうと思っています。


【Official Teaser Long- AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band 2nd album「櫂(kai)」】



【AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band『Kai』 Release Live】


【DATE & SHOWTIME】
2018.6.12.tue.
open_6:00pm / showtime_7:30pm
※ステージの長さは約100分を予定しております。
※ステージの間に30分程度の休憩を挟みます。


【PLACE】
MOTION BLUE YOKOHAMA
〒231-0001
横浜市中区新港一丁目1番2号 横浜赤レンガ倉庫2号館3F
045-226-1919 (11:00am~9:00pm)
http://www.motionblue.co.jp/about/access/


【MEMBER】
中村 亮(ds)、Fasun(vo,g)、柴山哲郎(g)、浦 宏徳(as)、元晴(ss,ts)、高橋佳輝(b)


【MUSIC CHARGE】
自由席 ¥4,000(税込)
BOX席 ¥16,000+シート・チャージ ¥4,000 (4名様までご利用可能)
※BOX席はインターネットからのみご予約いただけます


公演詳細(Motion Blue YOKOHAMA)



アルバム情報

kai200.jpg

Title : 『櫂 (kai)』
Artist : Akira Nakamura Trickstwart Band
LABEL : Bagus Records
NO : DQC1598
RELEASE : 2018.2.7



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01. 7/23/08 19:20-7/24/08 Morning
02. From Dusk till Dawn
03. Home to You
04. Rise
05. From the Red Point
06. Be Here
07. 75 Burger
08. A Guy in Grey





Akira Nakamura600.jpg


中村 亮 Akira Nakamura

バークリー音楽大学を2001年に卒業後、フリーランスのドラマーとしてアメリカで活動をスタート。古典ブルースから、変拍子やドラムン・ベースまで柔軟な音楽性と様々なリズムアプローチを武器にジャズ、ロック、ポップスからワールドミュージックまで様々なミュージシャンのドラマーとして活躍中。

在米時はデビッド・フュージンスキーのトリオやスクリーミングヘッドレストーソス、サム キニンジャー (ソウライブ、レタス)、上原ひろみのトリオやKokolo afrobeat orchestraなどにメンバーとして参加。またBigyuki、田中拓也とのトリオでjp3を結成し日本でのツアーも行なった。その後、沖縄、中国などでも演奏家として活動。

2009年に東京に拠点を移してからはドラムのみならず作編曲なども手がけ、自身のバンドでの活動も開始。メンバーとして参加した沖縄とジャズを融合したElement of the Momentや、自らがリーダーを務めるTrickstewart Bandなどではドラムに限らず視野の広いコンポーザーとしての側面を見せる。またハナレグミ、Monday満ちる、Marterなど、多方面に渡るアーティストのライヴでサポートドラマーとして活躍。他にもフィッシュボーンのアンジェロ・ムーアの来日公演時にサポートドラマーとしてステージを共にし、現在も様々なアーティストから信頼されるドラマー。並行して幅広い年齢層に向けてリズムやアンサンブルワークショップを行なうなど音楽の普及にも携わっている。

現在はベルリン在住。

Akira Nakamura オフィシャルサイト

ジャズギタリスト、エルヴェ・サム待望の初来日公演決定!:ライブ情報 / LIVE INFO

セネガル出身でフランスとの二重国籍を持つギタリスト、エルヴェ・サム。

デヴィッド・マレイやミシェル・ンデゲオチェロ、小沼ようすけらのレコーディングに参加するなど、ワールドワイドに活躍している彼が6月に初のJAPAN TOURを行います。

パリで活性化しているというクレオールジャズやアフリカのリズムを取り入れたジャズ。
そんなワールドジャズの未来を担う注目のジャズギタリスト、エルヴェ・サムの初来日公演、お見逃しなく。
大阪、岡山、名古屋公演には、ギタリストの小沼ようすけさんも参加!


hervesamb600.jpg


【Herve Samb "Teranga" Tour de Japon 2018】


2018/6/13 (水) カモメ
13 Juin KAMOME, Yokohama
開演 20:00 前売/当日 4,500円
231-0013 神奈川県横浜市中区住吉町6-76
Tel 045-662-5357
http://www.yokohama-kamome.com


2018/6/15 (金) 晴れたら空に豆まいて
15 Juin Mame Romantic, Tokyo
開場 19:00 開演 20:00 前売 5,000円 当日 5,500円
150-0034 渋谷区代官山町20-20モンシェリー代官山B2
Tel 03-5456-8880
http://mameromantic.com


2018/6/16 (土) ボンズロザリー
16 Juin Bonds Rosary, Kyoto
開場 18:30 開演 19:30 2 sets (前売¥5,000 当日¥5,500)
605-0077 京都府京都市東山区廿一軒町236鴨東ビル3F
Tel 075-285-2859
http://www.bondsrosary.com
Opening Act :KOJI MURAKAMI GROUP


2018/6/17 (日) ミスターケリーズ
17 Juin Mr.Kelly's, Osaka
開場 17:30 開演 19:00 (1 show 4,000円 2 shows 通し6,000円)
Guest: 小沼ようすけ
530-0002 大阪府大阪市北区曾根崎新地2丁目4−1
Tel 06-6342-5821 
http://www.misterkellys.co.jp


2018/6/18 (月) 蔭凉寺
18 Juin Inryoji Temple, Okayama
開演 19:30 前売5,000円 当日5,500円
Guest: 小沼ようすけ
700-0836 岡山県岡山市中央町10-28
Tel 086-223-5853
Opening Act:KOJI MURAKAMI GROUP


2018/6/19 (火) スターアイズ
19 Juin Star Eyes, Nagoya
開場 18:00 開演 19:30 (前売5,000円、予約・当日5,500円)
Guest: 小沼ようすけ
464-0836 愛知県名古屋市千種区菊坂町3丁目4−1 Gハウスビル1F
Tel 052-763-2636
http://www.stareyes.jp 


ツアー詳細(MOCLOUD MUSIC)


【Herve Samb - THIOSSANE ( Official Video)】






アルバム情報

teranga200.jpg

Title : 『Teranga』
Artist : Herve Samb
LABEL : MOCLOUD RECORDS
NO : MCLD-009
RELEASE : 2017.8.13



アマゾン詳細ページへ


Herve Samb (guitar, b.vocal, musical direction)
Pathe Jassi (bass, upright bass, b.vocal)
Alioune Seck (sabars percussions, tassou)
Abdoulaye Lo (drums)


【SONG LIST】
01. Thiossane
02. My Romance / Sama Leer feat. Adiousa
03. Saaraba feat. Souleymane Faye
04. Dem Dakar
05. Tasé feat. Faada Freddy & Nongo D
06. The Days of Wine and Roses
07. Niouk
08. Giant Steps / Bëg Tekki feat. Nongo D & Mike Ladd
09. Bereum Yaasin Boubou
10. There Will Never Be Another You / Bara Mbaye
11. Denianke feat. Ndiouga Dieng




上原ひろみ、Sam Kininger、David Fiuczynskiなどのドラマーを務め、
Big Yuki、Tak(田中拓也)とのバンド、JP3としても活動していた新世代のドラマーAkira Nakamura。

現在ベルリンを拠点に活躍している彼が率いる"東京"をテーマにしたバンド、Trickstwart Bandの新作が今年2月にリリース。そして6月には、そのアルバムのリリースを記念したライブが行われます!

レコーディングメンバー、元晴(ex. Soil & Pimp Session)、Fasunらが集結し行われる凱旋ライブ。
是非ご注目ください。


Akira Nakamura Trickstewart Band600.jpg


【TITLE】
AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band『Kai』 Release Live


【DETAIL】
バークリー音楽大学を2001年に卒業後、フリーランスのドラマーとしてアメリカで活動をスタート。変拍子やドラムン・ベースまで柔軟な音楽性と様々なリズムアプローチを武器に、ジャズ、ロック、ポップスからワールドミュージックに至るまで、幅広いジャンルで活躍してきた中村 亮。在米時、上原ひろみのトリオにメンバーとして参加。また、国内ではハナレグミ、Monday満ちる、Marterなど、多方面に渡るアーティストのライブでサポートを務めるなど、その実力を広く世界に知らしめてきた。そんな彼がモーション・ブルーに約3年ぶりの凱旋。自身が主宰する"東京"をテーマにしたバンド、Trickstwart Bandの2ndアルバム『櫂(Kai)』のリリースを記念し、元晴[ex. Soil & Pimp Session]などレコーディング・メンバーが総出演するスペシャル・ライブを開催する。飽くなき追求、さらなる進化を続ける中村の現在進行形を目の当たりで体感したい。


【DATE & SHOWTIME】
2018.6.12.tue.
open_6:00pm / showtime_7:30pm
※ステージの長さは約100分を予定しております。
※ステージの間に30分程度の休憩を挟みます。


【PLACE】
MOTION BLUE YOKOHAMA
〒231-0001
横浜市中区新港一丁目1番2号 横浜赤レンガ倉庫2号館3F
045-226-1919 (11:00am~9:00pm)
http://www.motionblue.co.jp/about/access/


【MEMBER】
中村 亮(ds)、Fasun(vo,g)、柴山哲郎(g)、浦 宏徳(as)、元晴(ss,ts)、高橋佳輝(b)


【MUSIC CHARGE】
自由席 ¥4,000(税込)
BOX席 ¥16,000+シート・チャージ ¥4,000 (4名様までご利用可能)
※BOX席はインターネットからのみご予約いただけます


公演詳細(Motion Blue YOKOHAMA)


【Official Teaser Long- AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band 2nd album「櫂(kai)」】



【AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band feat. 高山康平(映画監督)/Kohei Takayama (Film Director)】




アルバム情報

kai200.jpg

Title : 『櫂 (kai)』
Artist : Akira Nakamura Trickstwart Band
LABEL : Bagus Records
NO : DQC1598
RELEASE : 2018.2.7



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01. 7/23/08 19:20-7/24/08 Morning
02. From Dusk till Dawn
03. Home to You
04. Rise
05. From the Red Point
06. Be Here
07. 75 Burger
08. A Guy in Grey




bar bossa vol.81:bar bossa

barbossabanner201507.jpg


vol.81 - お客様:三枝伸太郎さん

【テーマ:自分に影響を与えた10曲】


いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今月はピアニストの三枝伸太郎さんをゲストに迎えました。


林;こんばんは。早速ですがお飲み物はどうされますか?


三枝;ちょっと個性的な感じの面白い赤ワインをお願いします。


林;かしこまりました。でしたら、アンジュ・ヴィラージュはいかがでしょうか。白檀の香りがしますよ。


三枝;ではそれを。


林;ではこちらになります。三枝さんの簡単なプロフィールと小さい頃の音楽環境を教えていただけますか?


三枝;1985年生まれ、母親の実家近くの病院で生まれたので、一応大阪生まれということになりますが、家は横浜にあったので、生まれてすぐ横浜に帰ってきて、ほぼ横浜育ちですね。母親がピアノの先生をしていたので、自然とピアノには触れていました。練習は嫌いだけど人前で弾くのは好き、という子供だったみたいです。小学校五年生の時に親の転勤で札幌に引っ越しをすることになり、札幌でピアノを習っていた先生が田代慎之介さんというピアニストなのですが、ハンガリーのリスト音楽院で勉強された方で、ベラ・バルトークという作曲家の作品を得意にされていて、そこで僕もバルトークの音楽をたくさん弾くようになって、これは今まで聞いたことがないしかっこいいぞ、と、改めて音楽の魅力というものを感じました。


林;なるほど、お母さんがピアノの先生だったんですね。初めて買ったCDは?


三枝;小学校の時は学校でとんねるず が流行っていて(仮面ノリダーとか)、初めて買ったのはとんねるず のCDだったのですが(笑)、それはノーカウントとすると、最初に買った記憶があるのは矢野顕子さんの「スーパーフォークソング」だったと思います。多分テレビで矢野さんの曲が流れていて、CDショップとかでなんとなく手に取ったのだと思いますが、記憶があんまり。。。今でも矢野顕子さんの中ではこのアルバムが一番好きです。学校ではみんなミスチルとかゆずのシングルを聞いていて、僕は全く意味がわからなかったという記憶があります。ダサいな、と感じたとかじゃなくて、意味がわからない、みたいな感じで、自分がおかしいのかも、と思っていました。(ちなみにこれは高校卒業するくらいまでそうで、みんなが好きなものなんだから良さが分からないってことはないはずだし、頑張って聞こう、と思って、テレビの歌番組とかもきちんとチェックしていました。)


林;そういう環境だとミスチルやゆず、分からないのかもですね。その後は?


三枝;そのうち色々音楽を聴くようになるのですが、The Residentsというバンドがあって、音楽もですがビジュアルがかなり強烈でそれにはまってしまって、そこから急激にアヴァンギャルドよりなものを聴くようになりました。当時札幌には個性的なレコードショップが何件かあって、一番覚えているのはMONTONSONというノイズミュージックと現代音楽を主に扱っていた店なんですが、そこで色々聞かせてもらって、一時期はノイズミュージックばっかり聞いていたりとか。。いわゆる現代音楽みたいなものもたくさん聞きました。

同時にジャズも好きで、ビル・エヴァンスのCDを聞きながら見よう見まねで真似してみたりとかやってました。高校受験を機に横浜に帰ってくることになって、都内の高校を受験しようと思って調べていると、青山学院の付属高校にはモダンジャズ部というのがあるのを知って、そこを受けました。後から聞くと、矢野顕子さんとか桑田佳祐さんとかはそこの出身らしく、結構歴史のある部活だったらしいのですが、僕が入学したころには実質はただの軽音楽部になっていて、みんなMr.Bigとかをやっているような感じでがっかりした記憶があります。でも一応在籍はしていて、ロックって、あんまりキーボーディストは目立たなくて困るので、色々自分で探して友達にプレゼンして、かっこいいオルガンソロがあるディープパープルとか、イエスとかの曲を混ぜてもらってやっていました。あとはブラバンの人たちと一緒に、ちょっとジャズっぽい、当時流行ってたエゴラッピンとかオレンジペコーとかをやったりして。


林;そこ、有名な部ですよね。そんな感じなんですね。さて、高校の後はどういう展開になったでしょうか?


三枝;高校に入ってから作曲の勉強を始めて、大学は青山に行かずに音大の作曲学科に行くことになりました。作曲を学んでいたのですが、同時にピアノも弾いていたし、もし音楽でうまくいかなかったら普通に就職活動しよう、くらいに思っていたのですが、ある時、先輩の紹介でバンドネオン奏者の早川純さんのグループに入ることになって、アルゼンチンタンゴという音楽に出会いました。そのグループで扱っていたのは、タンゴの中でもかなりモダンなもの、ピアソラよりも新しいもの、という感じで、ピアソラ、モサリーニ、ロビーラ、ディエゴスキッシのアレンジなんかもありました。その後、早川さんの師匠にあたる小松亮太さんの現場にも行くようになって、小松さんはタンゴ への愛がとても深い方で、タンゴって何、みたいなことをしばらくみっちり教えて頂きました。

あとは、のちにサンダンス映画祭で短編部門のグランプリを取ることになる長久允くんっていう高校の同級生がいて、彼が映画を撮りたいっていうことで連絡をくれて、映画音楽を初めて作ってみたりとかして、その繋がりで演劇やダンス、映画のための音楽も少しずつ作って行くことになりました。


林;そういう形でタンゴに出会ったんですね。


三枝;大学院まで行かせてもらって、いろんな現場で勉強もしながら、仲間がやっているバンドにも参加したりしながら、のんびりとやっていたのですが、自分のバンドをやりたいな、という思いはずっとあって。アルゼンチンタンゴを演奏する機会がたくさんあったんですが、でも自分はジャズも好きだし、ブラジル音楽も好きだし、映画音楽も書いていたし、好きなものを全部ひっくるめてやれるような音楽を目指してて、キップ・ハンラハンのビューティフルスカーズってバンドとか、ピアソラのコンフントヌエベってバンドとか、要するに大編成のバンドがやりたかったので、実際に動き出すのは大変だなあと思って足踏みしていたのですが、当時よく共演していた沖増菜摘さんというヴァイオリニストが、いいからとりあえずやってみろ、という風に言ってくれて、自分のバンドを作ることになりました。

これは現在でも続いているのですが、まずはピアノ、バイオリン、チェロのトリオ、のちにピアノ+バンドネオン+弦楽四重奏、やがて現在の形の、ピアノ+バンドネオン+弦楽四重奏+ベース+パーカッション+ボーカル、という形に、少しずつ増やして行く形で活動してます。三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanzaというグループです。





ピアノもひいて、自分で譜面も書く、メンバーも集める、みたいなことが最近は多いです。映画や舞台の音楽の仕事でもそうだし、歌手のサポートをする、みたいなコンサートでも、そういう形で参加することが多いです。必要に迫られれば、指揮みたいなことも最近はします。けど難しいです。


林;大編成のバンドがやりたいって、現代だとすごくレアな発想ですよね。三枝さん独特ですね。さて、これはみんなに聞いているのですが、これからの音楽はどうなると思いますか?


三枝;これからの音楽がどうなるか、というような大きな話は自分にはなかなかできません。僕はまだ配信では一曲も音楽を買ったことがなく、ずっとCDを買い続けています。けど、仕事の資料集めとかの関係で、今年に入ってからApple Musicを使い始めました。使ってみると確かに便利で、これはCDも買わなくなりそうだな、という気はします。便利になることは悪ではないので、この流れは止められないだろうとは思いますが。

僕がなんとなく思うのは、音楽って、ほかの五感と組み合わさったときに印象がより強くなるっていう気がしていて、例えばその音楽を聞いていた時の季節だったり、パッケージのアートワークとか紙の手触りとか、時間が経ってボロボロになって行く感じだったり、よく行っていたレコードショップへの道のりだったり、あるいは誰から借りたCDだとか、そういう物と一緒になって記憶してたりするのが、フィジカルの良さだとは思うので、そういう配信技術が削ぎ落としている無駄な部分、みたいなものをどうやって残して行くか、みたいな努力は必要かなと思います。まあみんなが言っているような話だとは思いますが。。。

逆に、若い人たちがそういう要素をどこから感じているのかってことは気になります。

あとは、PAの技術の進歩についてはすごく興味があります。僕のバンドはいつもPAを入れずに、完全に生音でやる事が多いのですが、メリットとデメリットがあって、メリットはダイナミクスレンジの広さ、音色のゆたかさ、デメリットは音量の限界やバランスの調整が難しい事、など。僕のバンドでやっている音楽はクラシック音楽みたいな繊細さも、ポップスのような迫力やノリも両方欲しいので、やがて技術的に、どちらもできるようになるといいなあ、と思っています。


林;配信、買ったことないんですか... さて、今後の予定は?


三枝;今年3月に小田朋美さんとのデュオのアルバムを出しました。そしてこの秋にはOrquesta de la Esperanzaの2枚目のアルバムを録音します。曲がまだ二曲くらい足りてなくて、書かなきゃ。。な感じです。ホドロフスキーの最近の映画、「リアリティのダンス」「エンドレス・ポエトリー」の二本にすごく感動して、私小説的なんだけどすごく外に開かれている、みたいな組曲を書きたいなと思ってずっと作っています。人の一生を花の成長になぞらえています。しかし僕は今33で、そのあとのことは分からないので、途中からいきなりフィクションになって行く、みたいな構成になっていて、種があって、芽が出て、花が咲く、そこまではいいんだけど、そのあとは鳥になって、宇宙に行って星になって。。。みたいな。

あと、アコーディオンを手に入れる予定があって、アコーディオン始めようと思ってます。ここ数年、日本のシャンソンの女王と言われる越路吹雪さんにまつわるコンサートに関わって、演奏したりアレンジしたり音楽監督みたいなことをやっているのですが、去年、越路さんの事務所を整理していたら、古いアコーディオンが出てきて、越路さんの旦那さんであり音楽監督であった内藤法美さんの遺品だったんです。事務所の方が、自分で直すなら弾いてもいいよ、と言ってくださって。これも何かの縁だと思うので、練習して、やがて人前で演奏できるようになりたいな、と思っています。

決まっていない予定としては、もっと大きな規模のものをやってみたいです。オーケストラもそうだし、舞台作品みたいなものも作ってみたいです。あとは「忘れないと誓った僕がいた」という作品以降長編映画はやっていないので、映画音楽もやりたいです。フェデリコモンポウという作曲家の自作自演のレコーディングが好きで、自分もそろそろソロピアノをやろうかな、という気持ちもあります。とはいえ、思わぬ方向に行く方が面白い人生だとも思うし、今までもそうだったので、変な出会いがあるといいな、と思っています。


林;33歳から新しい楽器を始めるっていいですね。今後も期待しております。それでは選曲ですが、テーマは?


三枝;「自分に影響を与えた10曲」です。肌触りとか、嗅覚とか、そういう感覚に働きかけて来る音楽が好きです。そんな10曲。


林;いいですねえ。面白そうです。


01. Akiko Yano - Super Folk Song - 3. Someday
https://youtu.be/8ZOhp8x9T8U


三枝;ピアノの弾き語りというジャンルで、圧倒的に一番好きなのが矢野顕子さんです。いつ聞いても打ちのめされます。だいたい原曲より先にこのアルバムのバージョンを聴いていて、のちに原曲を聴いてハッとしたりしていました。リハーモナイズの思想とはかくあるべき、という意味でも素晴らしいです。


林;これ、僕はもちろん原曲が先で、矢野顕子ヴァージョンが後だったので、すごく驚きました。素晴らしいですよね。


02. Bill Evans - Symbiosis 2nd Movement (Largo - Andante - Maestoso - Largo) - A



三枝;クラウスオガーマンはとても好きなアレンジャーですが、作曲も素晴らしい。手に入らないアルバムも多いので全てを聴いている訳ではないのですが、聴いた中ではこれが一番好きです。二楽章が特に。トリオとオーケストラでクラシックの曲をやっているアルバムも素晴らしくて、エヴァンスとオガーマンで10枚くらい作ってほしかった、と思います。


林;いやほんと、10枚くらい作ってほしかったですね。激しく同意です!


03. Fred Frith Iva Bittova Pavel Fajt Morning Song



三枝;中学の時すごく聴いていたチェコのシンガーソングライターのイヴァビドヴァ。ヴァイオリンやヴィオラを弾き語りするアーティスト。歌声だけでなく、ヴォイスパフォーマンスとしていろんな表現をする人で、しかし常にナチュラルに音楽、というのが素晴らしいです。また元々女優さんですごく美人なのもポイントです。フレッドフリスのドキュメンタリーからのワンシーン。ほっこりします。


林;これ、中学の時ですか。早熟すぎです! でもカッコいいですね。


04. Morton Feldman - For John Cage



三枝;大学の時ずっと聴いていたフェルドマン。ビロードの絨毯をずっと撫でている様な音楽。フェルドマンは、特に後期は長い曲が多く、中には五時間以上かかる曲もあって、演奏者がオムツをつけて演奏したりもするそうです。。触覚的、という言葉が一番似合う音楽だと思います。こういうゾクゾクする響きを自分の音楽でも出したいです。


林;おお、ビロードの絨毯をずっと撫でている様な音楽ですか。すごい表現ですね。


05. Astor Piazzolla - Musica popular contemporanea de la ciudad de Buenos Aires (Vol. 1)



三枝;ブエノスアイレス市の現代ポビュラー音楽、という変なタイトルのアルバム(ちなみに二枚あります。これは一枚目)。
一曲目の弦のトゥッティからもう痺れます。タンゴの弦楽器奏者にしか出せないビブラートというのがあるとずっと思っています。一曲目のタイトル「ドブレアーの悲しみ」のドブレアーとはバンドネオンの有名なブランドの名前だそうです。僕のバンドの楽器編成はこのバンドをモデルにしています。


林;うわ、すごい切ない良い曲ですね。タンゴの弦楽器奏者にしか出せないビブラートですか。そういうのあるんですね。


06. Maria de Buenos Aires ? Astor Piazzolla & Horacio



三枝;ピアソラがオラシオフェレールと一緒に作ったオペラ。アメリータバルタール、地獄から呼んでいるような声。こういう舞台作品をいつか作ってみたいです。


林;もちろん日本語オペラですよね。三枝さん的世界観のオペラ、すごく面白そうです!


07: Mompou: Damunt de tu, nomes les flors.



三枝;スペインの作曲家、フェデリコ・モンポウの自演。間奏が素晴らしい。死の匂いが漂って来るようでゾクゾクします。モンポウには、自作自演のソロピアノ集が4枚あり、どれも素晴らしいです。よく聞くと、楽譜と違うことを平然と弾いていたりして、クラシックだって結局のところは自由なものなんだということを再認識させられます。録音技術が発明される前の作曲家の自作自演はどうだったんだろう、とか想像すると楽しいです。


林;モンポウ自演好きな人、僕の周りにすごく多いです。クラシックの本来の自由さって僕もよく気になるテーマです。その辺りのこと、もっと知りたいです。


08: CINEMA PARADISO -LOVE THEME -Hamilton de Holanda e Andre Mehmari



三枝;アンドレ・メマーリというブラジルのピアニスト。大好きで、来日の際にはよく観にいっているのですが、凄すぎて、年下だと思うとゾッとします。うますぎて鼻につく、というような側面がないこともないですが、タッチの正確さ、ダイナミクスと音色のコントロール、ブラジル音楽ならではのグルーヴ、など、どれを取っても完璧。


林;ああ、三枝さん、メマーリ好きなんですね。すごくわかります。


09: he Residents - One-Minute Movies



三枝;小学校高学年の時はまっていたバンド。PVが変すぎて痺れます。去年二度目の来日をして、やっと生で観れたのですが、もう明らかにおじいちゃんになっていて、こんな変な事を40年以上もやり続けるってすげえなあ、と思いました。音楽的には初期の頃の感じが好きですが。


林;変ですね。こういうのに三枝さん、痺れるんですね...


10: くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝 / Quruli - Amber Colored City, The Morning of The Shanghai Crab (Japanese ver.)



三枝;最近のヒット。スタンディングで盛り上がるような音楽にずっと憧れがありますが、自分がやるのは中々難しいなあ、と感じています。ブラックミュージックのフィールに日本語を普通に乗せるのって結構難しいんだろうなあと思いますが、これはすごくうまくいっていると感じます。


林;クラシックを勉強してきた人にとってポップ・ミュージックって難しいらしいですね。くるり、素晴らしいです。では、最後に三枝さんと小田朋美さんのアルバムについて教えていただけますか?


三枝;日本語って、しゃべるときは普通にみんなしゃべるのに、歌うと急にみんな変な発音になるのはなんでだろう、と常々思っていて、あとは、桜が舞い散ったりとか、会いたいけど会えないとか、じゃなくて、もっと大人がちゃんと共感できる言葉で歌モノを作りたいなあ、という事で、小田朋美さんという天才アーティストとデュオでアルバムを作りました。テクストとして、主に戦後の文芸詩を扱っています。と、書くとお堅く感じられそうですが、茨木のり子や萩原朔太郎のような先人たちから、僕と同じ1980年代生まれの詩人の三角みづ紀さんや映画監督の長久允くん、まで、あとは僕と小田さんの作詞が一曲ずつ、という感じで、時代やジャンルを超えて同じ言葉を使っていて、それが今の歌モノとして聞 こえる、ということが新鮮に感じられるようなアルバムになりました。皆様ぜひ聞いてみてください。






『わたしが一番きれいだったとき / 三枝伸太郎&小田朋美』

mieda_oda500.jpg

■タイトル:『わたしが一番きれいだったとき』
■アーティスト:三枝伸太郎&小田朋美
■発売日:2018年3月21日
■レーベル: OTTAVA Records
■品番:OTVA-0022

アマゾン詳細ページへ


http://shintaromieda.jugem.jp
三枝伸太郎Twitter


三枝さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
このアルバム、本当に素晴らしいです。
三枝さんのこれまでの音楽体験のことを知ると、もっと楽しめますね。みなさんも是非。

GW真っただ中ですが、みなさん良い音楽は聴いてますか? 良い音楽を。
bar bossa 林伸次


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!

barbossa500.jpg

■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646

アマゾン詳細ページへ


【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn


【林 伸次 近著】

barbossa_cover450.jpg

■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本

アマゾン詳細ページへ


「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!

「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より


「bar bossa」アーカイブ

vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸 ・vol.65 林伸次 ・vol.66 高原一実 ・vol.67 松岡祐子 ・vol.68 宿口豪 ・vol.69 石亀政宏 ・vol.70 愛知アンディー有 ・vol.71 三原秀章 ・vol.72 キム・ジノン ・vol.73 花崎章 ・vol.74 洞澤徹 ・vol.75 太田美帆 ・vol.76 金野和磨 ・vol.77 林伸次 ・vol.78 永山マキ ・vol.79 脇田洋二 ・vol.80 三橋有


bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

bar bossa
bar bossa
●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
お店の情報はこちら

アーカイブ